自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術 (朝日新書)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022734907

感想・レビュー・書評

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  • ○自衛隊でメンタルの共感を務める下園氏の作品。
    ○著者の指導経験や自身のメンタルヘルス経験を踏まえ、いかに「心の疲れ」を乗り越えるのかを解説したもの。
    ○事例が具体的で、まねできそう。とても参考になる。
    ○ポイントは、離れて冷静になること。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:498.39||S
    資料ID:95140206

  • ギリギリ限界までやるな! というのを、功利的な組織運営の立場から説かれると、救われたような気がします。私のように常に前のめり、ギリギリ限界になったことに気づくのは、体の症状も出尽くし、ついには精神症状があらわれ、見かねた医師がドクターストップをかけるころ、になっても、私はまだやれます! ストップ解除してください! とわめきたててさらなるストップをくらってしまい、結局長期的に自宅でもんどりうつハメになる人間には、「無理しないでいいのよ」「疲れたら休みなさいよ」「甘えていいのよ」みたいな柔らかい表現なんかじゃなく、「そのほうが合理的だから、余力を残した状態で撤退しろ」と言われたほうがはるかに効きます。

    気力を振り絞ってやり遂げることを美徳とする日本社会の気持ちの悪さを、昔ながらの農耕社会に落とし込んで解説したところは何とも、日本的努力論の醜さと言いますか不毛さと言いますか、そういうものをよく表現していると思います。はたから見た自分たちはこんなふうに見えているのかと思うことで、なんとも非合理的な組織運営に見えてきます。倒れるくらいなら余剰人員を用意し、全員が倒れないプランを組んだほうが、はるかに無駄がない。穴が開けば、その穴を誰かがまた無理して塞ぎ、結局無理の連鎖が止まらない。こんなものを協調性と呼ぶのはどうかしていると思わないと、この無駄は社会から消えていかない。

    あの人より自分のほうが苦労しているんだとか、おまえの苦労よりもっと酷い苦労があるんだぞとか、そういうのは、結局のところ優越感に満ち満ちた言葉だなあと思うことがあります。自分より苦しい人を見て尊敬したり、あるいは自分を軽蔑したり、そんなことで自分を奮い立たせる言葉も日本には多いのですけれど、そしてその言葉達は必ずしも悪いことでもないのですけれど、これが行き過ぎて、個々の事情も無視して押さえつけてしまうのはあまりに一面的で、その一面的なあり方に近ごろでは見直しの視線が入ってはいますが、やはりまだまだそんなふうに思う人が多いと思うのですよね。私たちはこんなに頑張っているのにあの人は、という言葉も、結局のところ自分の無理を評価してほしいから出てくる言葉で、要は嫉妬ですよね、これ。

    個人的に思うことはさておき、スムーズに組織を動かすには、全員に余力を残した状態での勤務が可能なように仕事を割り振り、余剰人員も確保すること、これを実際の組織でやるのは難しいところもあるかもしれませんが、やはり最大の特効薬は、個人レベルでの努力より、組織の仕組みの見直しだろうなと思います。

    2倍モード3倍モードの考え方も面白く、新型鬱とは従来鬱の入り口であるという考え方もおもしろい。ストレスがたまると誰しもイライラして攻撃的になるという認識、そしてその状態は本来のその人の状態ではないという考え方も非常にうれしい。ストレスがたまってイライラしているときについ感情を爆発させると、それをこそ「この人の本性はこれだったのだ」とする風潮がとくに女性などには多いと思いますが、そうではないのだ、イライラすると誰もが「別人」になってしまうのだという認識は、「あの人の本性はこれだからすぐ離れなさい」という態度のような、常に穏やかで誰かを包み込める存在であるようプレッシャーをかけ続ける人々に対しても有効かと思います。精神的な病にある人間をすぐさま見限って離婚だ訴訟だと騒ぎ立てる人々も世の中には多く、精神的な病にある=回復不能の異常者、であるかのように堂々と自説をぶつ人々にはうんざりしますが、誰にでもなる可能性があり、しかもその間はそれまでのその人とは違ってしまうが、回復可能であるという態度を、自衛隊というマッチョな組織で働く人にあたりまえのことであると説かれると、安心感があります。

    とはいえ、精神的な病で立ち直れずにいることを社会は基本的に許さない。身体的な病気に対してもまだまだ差別的なのに、精神的な病となると本当にもう、隔離すべき異常者であるかのような扱いを平気で行う人々が多すぎる。異常者異常者異常者と言われ続けて私は非常に疲れました。異常者異常者異常者異常者と言われ続けて、世の中を恨んでいます。異常者異常者異常者異常者異常者異常者異常者異常者と言われ続けて、異常者と思うのならば異常者と罵る人間たちの血税で人間の処分場を造り、異常者を虐殺でもしろ。それもせず、何の事情も知らない人間が異常者異常者異常者と罵るのはお前らこそが異常者だとは思わないのか。異常者に自殺すべきと勧めるのなら、せめて責任を持って異常者を殺すくらいのことはしろ。人を殺す責任感も持たずに、人に死ね死ねと言う人間たち、自らの無責任さに気づかない殺人者ども、自らの血税で人間の処分場を作れ。

  • 疲れてくるとつい気持ちがささくれ立ってしまう、他人に失礼なことをされると瞬間的にカッとなってしまう。
    そんな自分に気付くことが、ままあります。
    「いつも平穏な気持ちで過ごしたいなあ」という反省の意味を込めて、気になった関連書籍を読むようにしています。
    この本の著者は、陸上自衛隊の「コンバットストレス教官」。
    自衛隊という独特の環境下にある集団の中で、長期に渡り厳しい局面にさらされる隊員の心を、どのようにケアしているか。
    「ムリ」「ムラ」「ムダ」という切り口で、人間の感情の動きを理解し、対処する方法が解説されています。
    「ムリをしすぎる」の話の中で特に印象に残ったのが、「7~3バランス」。
    自分にとって”良いこと”を、長期に渡ってストレスを感じずに続けるには、そのことを無意識にできるようになる必要があること。
    そしてその”良いこと”を「面倒だな」と思う意識をムリに抑え込まず、7対3の割合でほどほどにやるくらいが良い。
    何かをやろうと決めても、なかなかやり続けられない自分にとって、肩の力を抜いてもらえたように感じました。
    また「感情のムダを無くす」の話の中では、”睡眠を意識してとる”、”腹式呼吸をくり返す”といったあたりを、あらためて実践してみたいなと思いました。
    また、怒ることなくその場をやりすごした際は、攻撃されたままのイメージではなく、上手に対処したイメージを加えて記憶するというのも、「なるほど、やってみよう」と思う手法だなあと感じました。
    著者が自ら学んだこと、そして自衛隊の中で実践してきたことが、概念図を交えて説明されているので、この分野に初めて触れる読者にも理解できる内容ではないかと思います。
    体と同じく、一生付き合っていく、自分の「心」。
    長く健康を保てるように、今後も関連書籍を継続して読んでいきたいと思います。

  • 精神科医が書いた本の後に読んだ為か、やはり本人が「体型だった教育を受けたわけではない。あくまで実地での経験から纏めたもの」と言う通り、書かれている理論?の説得力、機序が今ひとつかなと。
    逆に著者の特異なバックグラウンドである、自衛隊での実際、をもっと書いてくれればより面白かったかなと。
    とは言え、自分自身の毎日の生活におけるティップスとしては得るものが少なからずあるかなと
    ⭐年齢を重ねることによる体力の変化に気づかず、昔はこのくらい出来たから今も出来るはず、と見誤り、知らず知らずに疲労を溜めてしまいがち
    ⭐子供の頑張り、大人の頑張り、の二種類。子供の頃のように知力体力が成長するわけではないので、あるいは一つの正解があるわけではないので、闇雲に根性でひたすら努力をするだけではダメ

  • 題名に自衛隊と入っているから、自衛隊独自のやり方や理論を期待したが、なんのことはないメンタルヘルスの初心者向けの内容であった。

  • ランニングを本格的に始めるようになって感じる肉体的疲労と仕事による精神的疲労について、毎日どのように向き合っていけばよいかを考えさせてくれた本でした。休むことの大切さ、また、上司が部下をマネジメントする時の部下のその仕草、態度から疲れを感じていることをいち早く察知するそのやり方を解説してくれています。リーダーだけでなく、誰もが読んでほしい本で、お勧めです。

  • 長期戦を戦うための疲労コントロール法を自衛隊でのコンバットストレス教官として教育している著者が教えている。

    ・ムリをしない

  • 心の疲れをとるためには、早めの休息と70点で良しとする考え方が大切。

  • 新たな視点で自分を見ることができてよかった。「ムリ」のとことか自分に当てはまりすぎて、ほんともう……グサグサ刺さります。心が疲れた時は音ゲーに逃げるとかじゃなくて、ゆっくり休むことが大事なんですね。

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著者プロフィール

【下園 壮太】(シモゾノ ソウタ)

メンタルレスキュー協会理事長、元陸上自衛隊心理教官。陸自初の心理幹部として多数のカウンセリングを経験。その後、自衛隊の衛生科隊員(医師、看護師、救急救命士等)やレンジャー隊員等に、メンタルヘルス、カウンセリング、コンバットストレス(惨事ストレス)対策を教育。本邦初の試みである「自殺・事故のアフターケアチーム」のメンバーとして、約300件以上の自殺や事故にかかわる。平成27年8月退職。現在はNPOメンタルレスキュー協会でクライシスカウンセリングを広めつつ、産業カウンセラー協会、県や市、企業、大学院などで、メンタルヘルス、カウンセリング、感情のケアプログラム(ストレスコントロール)などについての講演・講義・トレーニングを提供。著書50冊以上。

公式HP: http://www.yayoinokokoro.net/

「2023年 『ワーママが無理ゲーすぎてメンタルがやばいのでカウンセラーの先生に聞いてみた。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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