ぼくは川のように話す

  • 偕成社
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本棚登録 : 744
感想 : 80
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  • Amazon.co.jp ・本 (42ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784034253700

感想・レビュー・書評

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  • 苦手な音があって、舌に絡みついたり、喉に引っかかったりするのを口の中に気持ち悪く詰め込んで学校へ行く。「みんなとちがう、ぼくのしゃべり方」を笑われる「ぼく」の苦しさ。切ないです。
    お父さんの言葉が感動的です。ページを扉のように開くと、キラキラ光るまぶしい川面の絵に、書かれているのです。胸を打たれ、ハッとします。
    「おまえは、川のように話してるんだ」
    川は、日本語にある「立て板に水」みたいに同じペースでさらさら流れているわけじゃない。自然の水は、「あわだって なみをうち うずをまいて くだけている」のが当然。人間の心だって、そうですよね。だから、上手く、ではなく、「川のように話」しましょうよ。

  • 最近疲れ気味で、でも本が読みたいときは絵本を取り寄せている。
    何名かのブク友さんの本棚で見かけたので、気になって読んでみました。
    ゆっくり読むと、美味しい水のように染み入る文章で、ほろりとする。
    主人公の心の機微を繊細に表現されたコマ割りと色彩の美しい挿絵。
    おとうさんとのお散歩、川のあわと、なみと、うずに不安が溶けていく。
    何度か音読して、心のわだかまりが浄化された夜でした。
    ブク友さんのおかげで素敵な本に出会うことができました。
    ありがとうございます。

  • 吃音の子の話。
    少し違うけど、うちの子には構音障害がある。
    こんな気持ちの時もあるのかなと思いながら読んでいた。
    これから先、もし話す事がコンプレックスになってしまった時、このお父さんのようでありたいと思った。

  • 吃音がある男の子
    うまくしゃべれないので
    学校でも縮こまってビクビクしている。
    そんな息子を
    お父さんが川につれていった。
    だまって歩く二人。
    川を見ながら肩をだきよせ
    「ほら、川の水を見てみろ、
    あれが、おまえの話し方だ。」
    川は、あわだって、うずをまいて
    なみうち、くだけていた。
    川だってどもっている。
    ぼくとおなじように。
    ぼくは話す。川のように。。。

    父の愛が感じられる。
    きみだけじゃないんだよ。
    個性なんだよ。
    言葉少なく認めてくれる父の愛があたたかい。

    絵が素敵。

  • 静かな色彩で描かれた絵がとてもすばらしい。男の子の胸の内で、世界はこんなにも美しく見えている。それを表現するのにぴったりな話し方だと思った。

    岸にぶつかり、しぶきをあげるたび、川面にはきらきら、光のつぶ。

  • みんなと違う喋り方のせいで、
    いつもびくびくしている様子が伝わってくる。
    色んな言葉がつっかえたまま、
    喉の奥に松の木が生えたみたいに苦しい。
    お父さんが優しい。
    川に連れて行ってくれるが、
    学校の様子を思い出してしまう。
    みんながクスクスゲラゲラ笑った。
    涙が出る。悲しい。
    川がキラキラしていてきれい。
    心が静かになる。
    川も流れるだけではなく、泡だったり、渦を巻いたり、どもる。
    例えば、有名な、みんなの前で話す人だって、
    誰だって噛んじゃうことあると思う。
    それを笑ってはいけないと、思った。
    うちの息子は、高校生の時に生徒会長だったのだが、壇上に上がって話をする時に、緊張して噛んでしまうことが多かった。
    友達に「今日は3回も噛んだ」とよくからかわれていた。
    その頃は笑って話していたが、心の傷ってどうだったのか?
    落ち込んだ?
    思い出してしまう。
    流れるように話すこと。
    川のように話すこと。
    からかわれた時には、川を思い出そう。

  • 大好きな暮しの手帖16号「あの人の本棚より」画家、絵本作家の堀川理万子さんが紹介されていました。
    【吃音の男の子が、主人公なのですが、その子が学校で発言するときに、みんなが振り返って彼を見るんですね。その絵がぼやけているのは、男の子の視界が涙でにじんでいるから。】
    このシーンがどうしても見たくて本を借りました。

    実際にページをめくると、確かにそうなんです。涙でにじんでお友達がぼやけているんです。
    でも堀川さんに言われなければ私は気づけませんでした。絵本って何気なく見てしまいますが細かい表現が沢山ある事に気付かされました。

    クライマックスは両ページが観音開きになっていて、男の子の目を伏せた顔が大きく描かれているのですがその頁を開くと、、、、、、ほんと息をのむ美しさでした。

    手元に置いておきたいと思う絵本でした。

    うちの子が東日本大震災とその直後の引っ越しをキッカケに吃音になりました。始めは緩やかに始まりあれっ?っていう位でしたがだんだん酷くなり最初の一言を言うのに顔が歪む位になりました。顔が歪むくらい苦しそう、でも最初の一言が出ないのです。吃音障害があるとお話することが苦しい時があるんです。それを皆にわかって欲しいけど、小学生位じゃ無理かなぁ、、、。



  • 表紙がずっと気になってた。
    こんな内容とは知らなかった。
    吃音の人が感じている世界。
    朝の描写にどきっとした。

  • 重荷を宝物に変えることば。それがその人の根源にかかわるようなものでも、ゆっくり沁みわたり、本物の宝物になる。
    それはほとんど魔法の呪文だ。
    でも、誰にでも使える。相手の全てを尊重する深い思いやりさえあれば。

    こんな言葉を紡ぐことが、いつか私にもできるだろうか。

  • 勝手に思い描いた、おだやかでなめらかな川のように話すのではない。荒ぶったり、雨や天気によって水かさをましたり、波打ったり、渦巻いたり、天候によって流れが変わったりするような、まさに自然のままの川。そんな川のように話す。あるがままな自分を受入れたい。

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著者プロフィール

1978年生まれ。カナダの詩人。
2018年、これまでの業績に対してThe Latner Writers’ Trust Poetry Prizeを受賞。シドニー・スミスとともに、『ぼくは川のように話す』によりシュナイダー・ファミリーブック賞、ボストングローブ・ホーンブック賞を受賞。

「2023年 『おばあちゃんのにわ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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