ぼくは川のように話す

  • 偕成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (42ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784034253700

感想・レビュー・書評

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  • ぼくは、うまく話すことができない。口の中に、なにかつまっているみたいに。だから、心まで小さくちぢこまってしまっていた。ある日、またみんなの前でうまく話せなかった日、おとうさんがぼくを川へ連れていってくれた……。

    まず、たくさん描かれている川、水のイラストの美しさに驚いた。白く泡立つ波が、水面に映る風景が本物のように見える。
    同級生で吃音があった子のことを思い出した。吃音ではないもののわたしも舌足らずだと言われていた。「ち」の音を話すのが苦手だった。名前がその音を含んでいるから、自己紹介するのがいやだった。
    この主人公は話すのが苦手かもしれない。だけど、うちに秘めた表現力がすばらしい。自分の口の中を松やカラスに例える表現、自分の胸の内を嵐に例える主人公だからこそ、川に自分の話し方を投影できたのだなと感じた。

  • 岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
    http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00615428

    吃音をもつカナダの詩人、ジョーダン・スコットの実体験をもとにした絵本。
    デビュー以来、作品を発表するごとに数々の賞を受賞して注目を集めるシドニー・スミスが、少年の繊細な心の動きと、父親の言葉とともに彼を救ってくれた美しい川の光景を瑞々しいタッチで描いている。
    (出版社HPより)

  • 話し方を川の流れにたとえることで、ありのままの自分を認められるようになった少年。

    川は、なめらかに流れているようで、あわだったり、うずをまいたり、くだけたり…。

    どもることは、ちっとも不自然では無い。むしろ、川の流れを見ていたら、どもること自体が自然なことではないか、と思える。

    父の優しさと、眼差しの深さ、自然が自然であること、自分が自分らしくあること。優しく、力強い絵本。

  • 「吃音は怖いくらいに美しい」。筆者の個人的体験を物語にぴったりの美しいイラストとともに語る。

  • 吃音を抱えながら生きる子供のお話。
    上手に言葉を発することが出来ず、友人に笑われたり日常生活の中での苦しさを語る。そんなときに父親に川へ連れて行かれ、こう言われた。
    「ほら、川の水を見てみろ。あれが、おまえの話し方だ。」
    川は一直線に流れているようで、実は違う。泡立って波を打って渦を巻いて流れて行く。川だって途中で吃ることはあるけれど、遥か遠くの海を目指して弛まず流れて行くのだ。そんな川と吃音同じように思えた。
    そして僕はこう思う。
    「僕は話す、川のように。」

    自分の話し方に劣等感を抱いていた少年だったが、父親に言われた言葉をきっかけに自分の話し方は個性なんだと気がついた。それは決して悪いことではなく、僕には僕なりの話し方があり、それこそが自分らしさなんだと。
    人とは違う部分に関して一人で悩んでしまうと劣等感を抱いてしまう。だから他の人がそれを個性だと気が付かせてあげることって大切なんだと思う。
    物語のストーリーそして水彩とアクリル絵の具などで描かれた柔らかい絵が良かった。

  • 吃音についての絵本。めちゃくちゃ良い本。

    吃音のどもりって普通に話せる人からしたら、不自然に感じるよね。

    きっと吃音のある人はみんなそれが嫌で、話さなくなったり、自信を失ったりすることが多いんだと思う。

    でも、川の流れを見てごらん。
    すーっと綺麗に流れる川なんてものはなくて、
    渦巻いたり、波打ったり、泡だったりして、流れている。

    それが普通なんだよ。

    自分らしく、自分の吃音と付き合って。
    川のように話すことが、1番君らしい。

  • 2023.9.9市立図書館
    CasaBRUTUSのこどもの本特集で紹介されていたのをみて、興味を持ったので借りてみた。

    「川のように話す」とは?
    「流れるように話す」とは?
    カナダの詩人と画家が組んでつくった絵本。主人公の少年は吃音があって気が重い学校生活を送っている。それを見守るお父さんが川遊びに誘って伝えてくれ、自分でつかみ取ったこと。巻末の文(すごくいい)を読むに、詩人本人の体験に基づいた作品らしい。読み終えて、典型的でめだつ吃音の周辺にはめだちにくいけれど吃音的な言語現象があり、だれしも濃淡あれど吃音と無縁ではないのだろうと改めて思えた。

    シドニー・スミスの絵がすばらしい。写真とみまごうような表紙、場面と主人公の心情に寄り添うようにピントがくっきりあったりぼやけたり、水や光の表現がとてもうつくしくて感銘をうける。

    いい作品だなあと何度か読み返して表紙に戻って、このタイトルの書き文字もすてきだな、と思ったら、それは荒井良二さんの手になるものだった。

    吃音については多少の知識はあるものの、英語話者と日本語話者で事情が似ているのかさまざまな言語差があるのかはわからない。苦手な音は共通なのではないかと思うが、翻訳に苦労はなかったのだろうか。原書の方もいつか読んでみたいなと思う。

  • 川とは、いいたとえだな。
    こんな風に、子どもの支えになれる親でありたい。
    静かな場所に行きたくなる。絵も素敵。

  • みんなちがってみんないい、川の流れも色も、山の大きさも緑の色も、みんなちがう。
    他者を受け入れる人間でありたい。

  • 吃音もちのぼくが学校で疲れていると、父親は「しずかなところへいこう」と川に連れて行ってくれる。そして、ある日父親はぼくの話し方はこの川のようだと言った。あわだち、うずをまき、なみをうち、くだける。ぼくは思う。ことばが出てこない時は、どうどうとしたこの川を思いうかべよう、と。
    こんな父親みたいでありたいなあと思う。
    シドニースミスの絵が本当にすばらしい。

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著者プロフィール

1978年生まれ。カナダの詩人。
2018年、これまでの業績に対してThe Latner Writers’ Trust Poetry Prizeを受賞。シドニー・スミスとともに、『ぼくは川のように話す』によりシュナイダー・ファミリーブック賞、ボストングローブ・ホーンブック賞を受賞。

「2023年 『おばあちゃんのにわ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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