続氷点(下) (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 98
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041003855

感想・レビュー・書評

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  • 前編はひらすら「罪」、「罪」とすべての登場人物が罪という言葉を自らに問いかけていたけど、続編はひたすら「ゆるし」を問いかけ続けていた。
    キリスト教という薄いベールに包まれつつ、ゆるし、ということを問い続けていた。それぞれの立場で許し、という言葉の意味も感じ方も度合いも違うけど、それらを超越した陽子の心情が最後の流氷のシーンに表れていた。とても美しい光景。大好きな貫井徳郎の「神のふたつの顔」のラストシーンとなんとなくかぶる。「神の二つの顔」牧師の父と子のラストシーンも「ゆるし」がテーマだったのではないか、と今になって理解できたような気がする。

  • 氷点に続く続氷点。こちらは初めて読む。陽子が助かってほっとしたけれど、その先も悩めること山積みの陽子の人生。登場人物も産みの親の三井恵子一家が加わり、さらに人間関係が複雑に。
    殺人犯の子ではないとわかったけれど、不義の子を産んだ恵子に対しての許せない気持ち。自分が望まれて生まれてこなかったことに対する悲しみ。自殺後は母夏枝の態度は軟化、父啓造は過去を悔いて徐々に陽子の理解者になる。そして愛を持って陽子を見守り続ける徹と北原。
    このまま静かな生活が続くかと思いきや、異父姉弟の達哉の出現で陽子の生活も引っ掻き回され、思わぬ結末になる。この達哉、自分勝手で衝動的な行動ばかりでイライラする。そしてこんな結末とは。
    でも最後の最後、どうなるのかはっきり書かないのはもやもやする。さすがにもう続はないだろうし。
    氷点での嫌な人ランキング:夏枝、村井、達哉。好きだったのは高木先生、北原、それから辰子。もちろん陽子もだけどいい子過ぎて。順子も同じく。啓造、徹、恵子は良かったり悪かったりだけど、罪深いと感じることも。罪のない人間はいないってことらしいけど。テーマは原罪と赦しなんだそう。結局最後は宗教に救いを求めるしかないのか。

  • デビュー作’’氷点’’の昼ドラマとしての傑作ぶりに感嘆して、続編を手にとったのですが、登場人物がやたらと増えすぎて(あいかわらず自分勝手な人たちも健在)、しかも、かかわりが表層的で、韓流ドラマばりにご都合主義が多すぎて、とっちらかっちゃった印象。キリスト教っぽいにおいも苦手。それでもラストだけは気に入りましたが

  • 罪をゆるす、がテーマなんだけども。お互いにだいぶやっちまった感のあるドロッドロな人間関係をおおむね笑顔で続けていけている時点で、登場人物のみなさんはその域じゃないよなぁ。とずっと思いながら読んでた。哲学的でおもしろかった。

  • ゆるすことは難しい、しかしゆるすことにのみ罪を犯した者は救われる。

    物語は、誰も幸せにならずに終わった…

  • あなたがたの中で、罪のないものがまず石を投げなさい

  • なぜなのだろうと疑問を持ち、自分なりの答えを導き出せる人と、その場の感情でのみ動いてしまう人とでは、長い人生を終える時に大きな差になっていくのだろう。常に相手に過失を見出してしまう習性の人は、その思いに囚われ、冷静に自分を見ることができなくなってしまう。
    宗教観が随所に光るが、それがなければ深みのない作品になってしまっただろうし、キリスト教の事はよく知らないが、それでもその哲学が味わい深い。
    この本を通して、心に残るは啓造・夏枝夫妻。この二人は実に人間らしく、愚かであり、また純粋でもある。

  • 2015.8.14読了

  • 学生であった10年以上前に読んだときにも影響を受けた本だったが、今回はさらに心が揺さぶらた。
    自分を正しいと思いたい思いが、人を見下げたり、人を責めたりする。
    愛のない正義ー
    まさに、今の自分だと思った。
    自分の罪に目を向けずに、自分を正当化しようとしてきた自分。
    そのことにきちんと向き合って生きていこうと、心から思った。

  • 聖書の言葉に触発されてのゴタゴタ劇。やっと教会行って、イエス登場。長かったが、あれよあれよとイッキ読み。

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著者プロフィール

1922年4月、北海道旭川市生まれ。1959年、三浦光世と結婚。1964年、朝日新聞の1000万円懸賞小説に『氷点』で入選し作家活動に入る。その後も『塩狩峠』『道ありき』『泥流地帯』『母』『銃口』など数多くの小説、エッセイ等を発表した。1998年、旭川市に三浦綾子記念文学館が開館。1999年10月、逝去。

「2023年 『横書き・総ルビ 氷点(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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