- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041050651
感想・レビュー・書評
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小川ワールド。ちょっと飽きる。そして、ちょっととっつきにくい。
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913
3/9の選書ツアーにて購入 -
メルヘンな中にダークな結末が多くて
ちょっと怖かった。
すごくミステリアスな内容なのに
どのお話も実在する人物と関わりがあるって
いうところが驚き。 -
不思議。
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たくらみに満ちた豊穣な世界文学の誕生!
盲目の祖父は、家中を歩いて考えつく限りの点と点を結び、その間の距離を測っては僕に記録させた。足音と歩数のつぶやきが一つに溶け合い、音楽のようになって耳に届いてくる。それはどこか果てしもない遠くから響いてくるかのようなひたむきな響きがあった――グレン・グールドにインスパイアされた短篇をはじめ、パトリシア・ハイスミス、エリザベス・テイラー、ローベルト・ヴァルザー等、かつて確かにこの世にあった人や事に端を発し、その記憶、手触り、痕跡を珠玉の物語に結晶化させた全十篇。硬質でフェティッシュな筆致で現実と虚構のあわいを描き、静かな人生に突然訪れる破調の予感を見事にとらえた、物語の名手のかなでる10の変奏曲。
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さまざまな場所のさまざまな時間を束の間旅する心地に浸れる物語たちである。ひとつの物語が終わる度に、物語が生まれるのに影響を与えた人物が紹介されているのだが、その影響の受け加減がまた絶妙で、思わずうなる。物語のエッセンスが胸に沁みこんでくるような一冊である。 -
10話の短編集。『散歩同盟会長への手紙』がいちばんすき。
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静かで狂気をはらんだような不思議な世界に入りこみます。
臨時実験補助員、肉詰めピーマンとマットレス、十三人きょうだい、が余韻から抜け出せません。 -
ちょっとしたヒントをもとに、様々な物語を紡ぎ出す。作者の才能がすばらしい。その物語は独特の世界で、不思議な気分にさせてくれる。
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2016年「本の旅人」に掲載された10短編
次のものにインスパイアされて書かれた短編らしい。
3人の世に知られない外国の作家
放置手紙調査法
ピアニストのグレングールド
埋もれた写真家
バレーボールのオリンピック米国代表
女優エリザベス・テイラー
ギネス認定の世界最長ホットドッグ
牧野富太郎が妻の名をつけた笹の新種
ふたつ目までは直接的に繋がるが、グレングールド以降はどこからその話になるの???という感じ。
共通するのは、無感動の穏やかな不気味さ。 -
誘拐の女王…精神を病んだ姉を突き放すことはなく、優しい憐れみに包み込んでいた。
散歩同盟会長への手紙…どこかが少しズレている。
カタツムリの結婚式…着眼点があまりにミクロで遠近感が狂う。
臨時実験補助員…評価はこの作品。噴出する母乳が目に浮かびなかなか消えてくれず大変だった。
測量…測れば測るほど寂寥感が増す。
手違い…靄のかかった記憶を手繰り寄せると湖面が現れた。
肉詰めピーマンとマットレス…異国で我が子が立派に成長した姿を見て頼もしい反面どこか寂しさもある。
若草クラブ…気の強そうなのに囲まながら必死にメルヘンを守る。
さあ、いい子だ、おいで…小鳥が気の毒で溜息が出た。
十三人きょうだい…おじさんの肩身の狭い気持ちに触れてはならない。