検事の本懐 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 187
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041066591

感想・レビュー・書評

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  • 短編5話のお話で、1話の半分くらいまで警察官が主役?と思わせる書き出しが、次第に主役の佐方検事を浮かび上がらせ、2話、3話と読み進めるうちにすっかり佐方検事の人間形成の過程を描き切っていく面白い書き方の様な気がする。
    風貌や仕草でヒーローのキムタク演じる久利生検事を思い出したが、さすがに月9ほどには軽くないところが中々良かった。本書より先に書かれている「最後の証人」を最初に読むべきだったのか、本棚に登録する本が増えた。

  • 佐方の人格が形成される生い立ちが分かり、非常に面白い。よく練られた展開。

  • 第一話でやめました。
    やっぱり短編だからかなー?
    人間描写の深みが欠けてなかなか一度閉じると読む気にならなかったです。

    前回が良かっただけに
    シリーズ通して読みたかったんですが。

    短編は毎回やめておこうと思うけど、たまーにハマるものがあるからつい手に取ってしまうのです…

  • ちょっと待って。この本はそんなに泣ける本だったの?そんなこと書いてあったっけ?
    あ、裏表紙には書いてあった。
    【権力と策略が交錯する司法を舞台に、追い込まれた人間たちの本性を描いた慟哭のミステリー】
    あぁうっかりしていたな。「最後の証人」が面白くて、佐方シリーズの2作目、との前知識だけで、電車に持ち込んで読んでみたら・・・ダメだこれは電車では読めない。

    佐方の新人検事時代を描きながら、佐方と言う人の人間性の土台がどこにあるのかが、高校時代の同級生との間に起きた出来事・父の横領事件の真相を通して描かれている。
    佐方のこれまでの人生を知り、だから正義感に溢れ、人に寄り添うことが出来る人なのか、と納得することは簡単だけど、ともすれば父親のことで辛い思いをして、人や社会に敵意を抱く人間になっていたかもしれないし、高校時代に自分と同級生の処分の差を目の当たりにして、だからこそ自分は強い権力を持たなくては、と思う人間になっていてもおかしくはない。
    でも、佐方は真実を追い求め、人を肩書やカテゴリーで見るのではなく、その人自身を見る、愛のある人になった。

    解説で、大沢在昌さんは、柚月裕子さんの芯について「不公正なことに対する怒り」が彼女の本質にはあり、「怒り」が物語を書かせている、と述べている。
    私も、この作品のなにが、こんなに自分の胸を打つのだろうと考えた時、佐方が、不公正なことに屈しない強さを持っているからだと思うし、同時に、現実には、佐方のように生きることはとても難しく、自分は決してこうなれない、と分かっているからだと思う。

    次は「検事の死命」。楽しみだ。次も電車で読むのはやめた方が良いだろうか、、、

  • 情報量が多すぎる。
    短編集だけれど、佐方シリーズとして、ひとつひとつが長編になり得るほどの内容とボリューム。
    佐方の過去や家族についてのストーリーが盛り込まれている。
    もったいないほど。

    再読だけれど、読書は、自分の年齢やタイミングで作品に対する評価が変わるものだ、というのを改めて、良い意味で体現した。

  • 佐方検事シリーズ第2弾の短編5話。
    「最後の証人」よりも前の話になる。
    第5話の佐方の父親の話から、佐方の生き方、正義感、公正さがどこからきているかが、朧げにわかった気がする。

  • 短い話が5つでした。悪くはないけど、やっぱり長編の方が良いかな。

  •  「最後の証人」を読んだ直後だったので、佐方貞人がどんな人物なのか気になって読み始めました。が、結局よくわからなかったかな……。短編集なので読みやすかったです。

  • 本懐 心に抱く本当の気持ち

    前作「最後の証人」で弁護士であった佐方貞人という人間を検事時代、高校時代、弁護士であった父親の話しを通して内面外面を表していく短編集です。
    佐方貞人という、人に寄り添い真っ直ぐに生きようとする人物像に打たれる、真摯で真っ直ぐすぎて不器用にとられる佐方が高校時代のエピソード「恩を返す」で感情が爆発するシーンは印象的、そこからラストのエピソード「本懐を知る」はよかった。

  • 佐方貞人シリーズの新刊が出たので、読む前にシリーズのおさらいがてら再読。随分前に読んでもう細部は忘れていたけれど、読みだすとどんどん思い出してくる。そして、何度読んでも感動は薄れない。

    高村薫の合田雄一郎、今野敏の竜崎署長と並び敬愛する主人公の一人である佐方貞人。ヤメ検の佐方が弁護士として扱った事件を描いた「最後の証人」から始まるこのシリーズ、遡るように佐方が検事時代の事件を描いた作品も新刊が既に4冊目。
    「罪はまっとうに裁かれなくてはいけない」を自らの芯として愚直に取り調べに邁進する検事・佐方の姿が描かれるこちらの作品の方が好き。

    事件を案件としてではなく一人一人の人間として裁く佐方。そこから見えてくる罪を犯した人間たちの姿。
    そんなものは青臭い正義心だとか、実際にはできっこないと言って逃げを打ちながら日々を小賢しく生きる者が大多数の世の中だから、せめて小説のなかだけでも、青臭かろうが、嘘くさかろうが、そういう眩しさを見ていたいのよね~

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著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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