水曜日の手紙

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041073162

作品紹介・あらすじ

家族が寝静まった夜更け、日課として心の毒をこっそり手帳に吐き出していた井村直美は、そんな自分を変えたいと夢を叶えた理想の自分になりかわって空想の水曜日をしたため、「水曜日郵便局」に手紙を出す。一方、絵本作家になる夢を諦めた今井洋輝も婚約者のすすめで水曜日の手紙を書いていた。会うことのない2人の手紙は、やがてそれぞれの運命を変えていき――。『夏美のホタル』『虹の岬の喫茶店』の著者が贈る、ほっこり泣ける癒やし系小説!

水曜日郵便局とは……
水曜日の出来事を記した手紙を送ると、かわりに知らない誰かの日常が綴られた手紙が届くという、一週間に一度・水曜日だけ開くちょっと不思議なプロジェクト。

感想・レビュー・書評

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  • 水曜日の手紙ってどういう意味だろうと思いますよね。


    誰かの言葉があなたを変える
    あなたの言葉も誰かを変える
    そうして世界は変わっていく
    今日はどんな言葉を口にする?


    自分の水曜日の出来事を手紙に書いて水曜郵便局に送ると、そこの局員さんが全国各地から集まった手紙をシャッフルして、別の誰かに送ってくれるというサービスを利用した、40歳の主婦、井村直美と、33歳のサラリーマン今井洋輝の書いた手紙が、水曜郵便局に勤める光井健二郎によって、お互いの手紙が交換され送り届けられます。

    井村直美は本当はパート勤めで、二人の息子をもつ主婦で、毎日いら立っていますが、自分の昔の夢だったパン屋を開くという夢が叶った姿を手紙に、本当のことのように書いて投函します。

    今井洋輝は、イラストレーターになるという夢をあきらめて会社勤めをしていますが、とある事柄から夢を思い出し自分の夢を叶えたいという思いを手紙にしたためます。

    そんな二人の手紙が、光井健二郎の手によって、故意に交換され、二人の人生は大きく変わっていこうとします。

    私は、もう夢があったなんてことも忘れてしまったくらいの、当たり前の繰り返しの毎日を送っていますが、井村直美が久しぶりに食パンを二斤焼いて、幸せを感じる場面は、忘れていた何かを思い出すような、あたたかい気持ちがわいてきました。

    • まことさん
      kanegon69さん♪

      他の作品も読みたいと思っています♬
      kanegon69さん♪

      他の作品も読みたいと思っています♬
      2020/07/25
  • この本は「水曜日の手紙」の存在を知り、誰に届くかはわからないけど、自分の心の内を手紙に書いて人生を見つめ直し再生していく話だ。

    人の悩みは人それぞれで、それを心の内にためてしまうとダメになってしまう。どこかでそれを外に出さないと。
    手紙を書く、という行為がきっかけで目の前が一気に晴れ考え方が変わり、『生きてる』っていうことを感じ、未来を見るという事ができた。私もそういうきっかけに出会ってみたいな。

    最後の章で、一人が笑えばそれがどんどん周りに広がっていき、ハッピーになる(かなり要約してしまった)みたいな事が書いてあり本当にその通りだと思う。

    一冊を通してハッと気付かされる事が多かった。

    私が「水曜日の手紙」を書くと何を書くのだろうか?と考えてみた。今だったら間違えなく愚痴ばかりになってしまう。この負の手紙を受け取っても、受け取った人は困ってしまうだろうと思ったら悲しくなってしまった。

  • 水曜日郵便局。実在したプロジェクトがモチーフ。
    ネットで鮫ヶ浦水曜日郵便局で検索して、実際の情景を見てから読むとより感慨深くなるかも。
    ひとが一歩踏み出すときは、きっと何かのきっかけがある。何かのきっかけがあれば、ひとは大きな一歩を踏み出すことができる。気持ちの持ちようで、悩んでる人にはきっときっかけが訪れる。
    そんなポジティブになれる素敵な作品。

  • 「水曜日郵便局」とは…水曜日の出来事を記した手紙を送ると、
    かわりに見知らぬ誰かの日常が綴られた手紙が届くという、
    一週間に一度・水曜日だけ開くちょっと不思議なプロジェクト。
    家族が寝静まった夜更け、日課として心の毒をこっそり手帳に吐き出していた井村直美は、
    そんな自分を変えたいと、夢を叶えた理想の自分になりきって空想の水曜日をしたため、
    、「水曜日郵便局」に手紙を出す。
    一方、絵本作家になる夢を諦めた今井洋輝も婚約者のすすめで水曜日の手紙を書いていた。
    会うことのない二人の手紙は、やがてそれぞれの運命を変えていき―。

    以前お話を聞いた事があり、その後テレビで宮城の小さな郵便局が放送されてた
    のを観た事があります。
    このお話は、その宮城の郵便局がモチーフなのですね。

    恵まれて幸せな人生を送っているかに見える友人を妬み。
    自分の生活や境遇に不満を持ち毎日日記に毒を吐き続ける直美。
    絵本作家の夢を持ちながらサラリーマンを続け、プロになるために
    退社した友人の才能を羨む今井。
    婚約者がいることを言い訳にしてサラリーマンを続けている。
    水曜日の郵便局の局員も震災で妻を亡くし重い物を抱えて娘と二人暮らし。
    三人が三人とも色んなものを抱えあがいている。
    それが普通の人の人生ってものだよね。
    手紙を書く事で自分の本当の気持ちに気付く事が出来たり、
    誰かの言葉や生き様で一歩踏み出すきっかけになったりする。
    隣の芝生が青く見えたり、人の幸せを妬んだり自分の不遇に悲観になったり
    するけれど、そこを気づき進んでいく。
    知らない誰かの人生を垣間見て…想像して…変わっていく。

    森沢さんらしい優しくて温かくて切なくてやはり涙が零れました。
    色んな過去の本の登場人物が登場して嬉しかったですが、
    私は今井の部屋の下の部屋で猫のお墓を作っていたキラキラ眼鏡の彼
    号泣した事を思い出しました。

    ・自分の心に嘘をつかない。
    ・よかれと思うことはどんどんやる。
    ・他人を喜ばせて自分も喜ぶ。


    大切なのは、頭じゃなくて、心に従って行動すること。
    そうしていれば、物事が上手くいっても失敗しても、後悔することはないんだって。
    自分の心に耳を傾けて、その感情に素直に従って生きてさえいれば、
    死ぬ時も、きっと晴れやかな気持ちでいられる…。

    ごく普通の人達が、小さな普通の人生を歩んでいて、
    それぞれに色んな思いがあって、必死にいきているんだなって。

  • 夢に向かって一歩踏み出せずにいる人や
    主婦だから...となにか始めることを
    諦めている人の背中を押してくれる本☆
    私も最近やりたいことを見つけたので
    『今から(30代)でも遅くないよ』
    と言われたような気がして前向きになれた◎
    良いタイミングで出会えた1冊!

    『誰の人生でもなくて、自分の人生なんだから』
    『死ぬときに後悔しないために』

    水曜日郵便局...本当にあったんですね!
    誰かが頑張っていることで
    また誰かが頑張れるなんて素敵な連鎖☆
    今実在したら絶対に手紙を書くだろうし
    局員さんとして働きたいなと思うほど
    心温まる繋がりのある物語でした☆

  • 知らない誰かが知らない誰かを勇気付ける。
    私には文章力がなく、Twitterの短い文章だけでも誤りがあるほど…。なかなか落ち着かない日常なので、心に余裕ができたら知らない相手を勇気づけることはできないけど、手紙を書いてみようと思えるそんな作品でした。

  • 誰かの水曜日の手紙が、知らない誰かの背中を押す、前向きな気持ちになれるお話でした。
    知らない誰かだからこそ、素直に受け止められたのかな、よかれと思うことはどんどんやろう。

  • 「水曜日郵便局」なるプロジェクトをベースにした物語。五篇の短編で構成されています。

    水曜日の出来事を記した手紙を「水曜日郵便局」宛に送ると、かわりに見知らぬ誰かの日常が綴られた手紙が届くという・・これは実際にあったプロジェクトで、検索してみると、本書にも登場する〈鮫ヶ浦水曜日郵便局〉がちゃんと存在していた事がわかります。
    残念ながら今は閉局していますが、私も参加したかったなぁ・・と思いながら読みました。

    本書に登場する、主婦の直美さん、サラリーマンの洋輝さん、〈水曜日郵便局〉で働く光井さん・・三者三様のお悩みがありますが、直美さんと洋輝さんが〈水曜日郵便局〉に出した手紙を読んだ光井さんの手によって交換されてお互いの人生の新たな一歩を踏み出すきっかけになるという展開です。
    森沢さんの作品には、自己啓発本を彷彿とさせるようなポジティブフレーズがよく出てくるのですが、本書にも思わずメモりたくなるような前向きなワードがいくつもありました。
    個人的に刺さったのは、以下の台詞。
    「自分の心に耳を傾けて、その感情に従って生きてさえいれば、死ぬときもきっと晴れやかな気持ちでいられるよ」
    「せっかく生まれたからには、遊ばなきゃ損だと思うわけよ。やりたくないことばかりやっているうちに人生が終わっちゃうなんて、絶対に嫌じゃん?」(←のフレーズは、だいぶ前に読んだホリ〇モンの本にも似たような事が描いてあった記憶が・・・)
    これらの言葉は、私の心の隙間にグイっと入ってきましたね。
    本書は、色々抱えながらも、頑張って(頑張っていなくても)生きている人達への応援ストーリーといえるかも・・と思った次第です。
    因みに、同著者の『癒し屋キリコの約束』、『虹の岬の喫茶店』とのリンクもあるので、それもお楽しみですね~。

  • 水曜日郵便局…ホントにあったんですね(°_°)
    ちょっと出してみたいな♪

    不満、妬み…自分の人生を作るのは自分。
    自分を変えたいと思う事がまず一歩、その先に進む勇気を「水曜日郵便局」の誰かの手紙で背中を押してもらうお話。

    カッキーさんは「癒し屋キリコ」のお方ですね!
    まだ読んでないから読まなくちゃ!

    • ひまわりめろんさん
      ふふふふ
      順調に狂っておりますな
      自分も『水曜日の手紙』の方が先だったからなんかうれしい
      嫌な奴〜!って思われてもなんかうれしい!w
      ふふふふ
      順調に狂っておりますな
      自分も『水曜日の手紙』の方が先だったからなんかうれしい
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      2022/08/01
    • みんみんさん
      原点回帰!
      おすすめ順にフラッとしそうになるけど!
      青森三部作図書館予約だべっ\(//∇//)\
      原点回帰!
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      2022/08/01
  • 水曜日郵便局に手紙を送った人、手紙を仕分けた人の日常が手紙によって変わっていく物語

    刺さる言葉がいっぱいありましたね
    なかでも一番の衝撃は著者近影やな(そこかい!しかも言葉違うし!)
    なんかちょっぴりワイルドな感じでこの人からこんなほんわかした物語が産み出されるのかぁとちょっとだけほっこりしました

    それと娘が幸せになるのが一番の親孝行ってのはその通りだなと思いました
    そして娘のために何かするのは娘の喜んでるところが見たい自分のため
    本当そう!
    森沢明夫さんは娘さんがいらっしゃるのかな?
    気になりましたがもちろん調べたりしません
    想像するのが楽しいのです

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著者プロフィール

1969年千葉県生まれ、早稲田大学卒業。2007年『海を抱いたビー玉』で小説家デビュー。『虹の岬の喫茶店』『夏美のホタル』『癒し屋キリコの約束』『きらきら眼鏡』『大事なことほど小声でささやく』等、映像化された作品多数。他の著書に『ヒカルの卵』『エミリの小さな包丁』『おいしくて泣くとき』『ぷくぷく』『本が紡いだ五つの奇跡』等がある。

「2023年 『ロールキャベツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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