獄門島 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304037

感想・レビュー・書評

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  • 東西ミステリーベスト100』において、国内一位をキープしている本格ミステリの金字塔。映像ではお馴染みだが、小説として読んだことがなかったので、今更ながらの横溝長編初体験。過去のシリーズ映画がごっちゃになったため、結末を思い出せないまま読めたのが幸い。

    映画と脳内リンクさせながら読んでしまうのは仕方のないところだが、映画でのおどろおどろしい雰囲気とはうってかわって、作中の印象は淡々とした感じ。60年以上前に書かれた文章も結構読みやすくて好きだったりする。昔の作家さんって、映像化したものを文章に起こす現代作家と違って、純粋に筆力で表現して勝負してるから、読書に無駄なイメージがぶら下がってこないのよね。

    多くのミステリ作家に影響を与えたという評価には納得。本格の王道ともいうべき展開で寄り道せずにさくさく進む。手掛かりや伏線も抜かりなく、複雑な人間関係や、過去が尾を引く事件背景などは、映画よりもわかりやすくて面白い。

    覚悟はしていたが、真相はやはり荒っぽさを感じてしまった。横溝夫人のアイデアを採用したらしいが、この動機を前代未聞と見るか、それともこじつけと見るかは読者次第。私は残念ながら後者。欲を言うなら、横溝本人が予定していたラストも読んでみたかった。

  • 本当なら罪を犯さなくて良かった人間への慈愛と、不条理が読了後に残ります。

    トリックと、複雑ともいえる登場人物をそう感じさせない細やかな描写に『獄門島』という舞台。
    初見で犯人を言い当てられる人が果たしていたのだろうか…と、感服してしまいました。


    そして、獄門島に蠢く恐ろしい憎念と犯人を犯罪へと駆り立てた、哀しい宿命のような執念に圧倒されました。
    個人的には、横溝作品の中でもトップクラスに好きな作品です。

    本筋とは大きく関わりがないのですが、『夜はすべての猫が灰色に見える』という言葉が、読了後にとても印象的な一冊でした☆

  • ―きちがいじゃがしかたがない

    ミステリ史に残る名セリフを生み出した名作。
    新刊が届かないので蔵書を再読しました。
    出会ってから20年以上。何度目か覚えていないくらい読んでいます。
    少し前にNHKで横溝正史の特集をやっていて、ちょっと横溝熱がぶりかえしていたのです。

    そして迷わずこの作品を手に取りました。やっぱりこれが一番好きかなぁ~。
    何度読んでも面白い。

    村の濃いキャラや遺体のさらし方、村の伝承などでおどろおどろしいイメージが先行していますが、それだけではなくやっぱり物語としても面白いんです。
    特にこの作品では復員船での始まりと、ラストで明らかになる事実によって非常に切ないドラマになっています。
    そしてもちろん濃いキャラ、美しい見立て殺人、三人娘を救えず無力感にうちひしがれる金田一と、これぞ横溝作品という要素てんこ盛り。

    ひさしぶりに堪能しました。

  • かの有名なあのセリフはちゃんとありました。
    本土から隔離された島という舞台が上手く活かされています。
    本書は見立て殺人です。
    三姉妹が殺される度に死体が装飾されていまして、見立て殺人大好きな私は終始興奮しっぱなしでした。
    綺麗なプロットには関心させられるというか素晴らしいですね。

  • この小説の初版が昭和46年という事実に衝撃です。何年経っても色褪せることの無い傑作がこの本だと思います。
    今では、昔よりも面白いミステリー小説がたくさん登場しましたが、この小説はそれらに負けず、終戦後と獄門島の独特な雰囲気が唯一無二であると言えます。

  • 3.4

  • あの有名な探偵、金田一耕介の二作目。ミステリー小説の金字塔的作品で、古めのミステリーランキングでは一位をとっているような作品です。今読むと、トリックなどに古さは感じられますが、探偵金田一のキャラや作中の雰囲気は色褪せていない名作です。

  • 南北朝時代は海賊の根城となり、江戸時代には流刑地となった獄門島。復員船で死んだ戦友に遺言を託され、金田一耕助はこの瀬戸内海の孤島へ向かう。
    「三人の妹が殺される……おれの代わりに獄門島へ行ってくれ。」
    そして、その言葉のとおり、異様な殺人事件が次々と起こる…

    先に読んだ『本陣殺人事件』『八つ墓村』と同じく、因習が色濃く残る閉鎖的な地方が舞台になっているが、金田一耕助をはじめ、床屋の清吉や警官の清水などコミカルな人物が登場するためか、そこまでおどろおどろしくはなく、最後には寂しい余韻が残る。
    また上記二作とは違い、金田一耕助の目線を中心に物語が進むため、全編にわたって活躍する姿が描かれている。

  •  作者がアガサクリスティに影響を受けて書いた傑作。国産の「見立て殺人」の作品かつ横溝正史の作品としてはNo.1と言っていいくらいの作品。

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著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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