- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041800010
感想・レビュー・書評
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解説を読むことで、ばなな作品に惹かれる要因がわかった。
ばなな作品には強く惹きつける何かがある。
それは淡い何かで、キッチンを読んで以来、ばなな作品を読むときはそれの正体を追い求めていた。
今までずっと分からなかったのだが、今回その一端を掴めた気がする。
本来は自分で見つけ出したかったけれど、長い長い時間が必要だったことだろう。
編集者石原さんは以下のことを綴っている。
「吉本ばななの描く人々が背負う微熱を持った不幸」
「剥き出しの魂のままに生きる」
これは登場人物が持つ魅力を説明するのにぴったりの言葉だと思う。
「微熱を持つ幸福」に惹かれていると思っていたけれど、なるほど、「微熱を持つ不幸」はとてもぴったりと胸に収まる。
また、ばなながあいまいさを嫌った結果、登場人物の心理やディテールの輪郭が読む側に届くようになったとの記述もしっくりくる。
温かさと影を持ち合わせた微妙な心理がくっきりと私の心に届く文章に惹かれていたのだろう。
この解説に出会えて感謝。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ゆきのさんの哀しみは、とても美しい。
お腹がすいたら食べ、眠たくなったら眠る。
自然な美しさがそこにはある。 -
初めて読んだのは中学生の時。
その時だった。
哲夫が私を抱きしめた。
という一文にドキドキしたことを覚えています。
よしもとばななさんの小説はいつ読んでも不思議な雰囲気が漂っている気がします。その雰囲気に癒されます。 -
文字を読むとこれほどまでに映像がなだれ込んでくるのは久しぶりの体感。主人公は女性(異性)だが見事にハマる物語。もしや私はトランスジェンダー加入?
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未完成で人間関係は非常にドロドロしており、ありえない設定もありながら、物語が流れるように美しく感じました。これでいいのかなと思えるのは、無駄がなく、例え方や文章がとても綺麗だったからでしょうか。
普段よく「知らぬが仏」なんて軽口を叩いておりますが、この本の「わからないままでいいことなんでひとつもない」好きなフレーズです。はっとさせられました。
吉本ばななの本をもっと読んでみたいと思いました。 -
昔読んだのを再読。ありえない設定なんだけど流れる空気感が好き。話にあるように希望を感じられて前向きになれた。夏に読めて良かった。
ばななさんの作品、また読み漁ろう! -
こんな本が昔に出てたなんて。
今更ながらですが、読めて良かったです! -
ーー終わってしまったからこそ価値があり、先に進んでこそ人生は長く感じれるのだから。ーー
ばななさんの描く世界観と日本語っていいなって改めて思いました。私は定期的にばななさんの作品に触れないと何かが不足してしまいます(笑)