聖なる黒夜(下) (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 133
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  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043428090

感想・レビュー・書評

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  • 誤認逮捕ってほんと人生狂わすよね…そこから生まれたゆがみが切ない…麻生と練の二人は幸せになってほしいけど、そうもならないんだろうな、って感じるラストがよい。

  • 1000p越えの長編小説は本当に久しぶりに読んだけれど、全く長いとは感じなかった…!犯人の目星が徐々に現れ出したあたりからは徹夜を決め込んで一気に読み切りました。読み終わった後の満足感は半端じゃない。とにかく、凄いものを見た。知ってしまった。という感じ…。

    徐々に明かされる過去の事件の真実や、暴かれる陰謀、裏切り。全くもって予想出来ない展開に、愛憎渦巻く人間ドラマなどは刑事モノの小説としてこれ以上無いほど楽しめました! 一方、恋愛小説として一部の層から熱烈な支持を受けている作品でもあることにも大いに納得できます。かく言う私もそういったレビューを多数見かけて気になって読み始めた口だったけれど、想像以上に濃厚な描写には驚きました。

    ここでクローズアップしたいのが、やはり“山内練”という人物の存在。30代半ばで個人企業会社の社長。栗色の柔らかい髪。女のような顔立ちだがボクシングで鍛え抜かれた強靭な肉体を備え持つ。体臭は白檀の香り(重要)。ヤクザの世界に半分以上足を浸からせ、頭の回転は誰よりも速く、一旦怒らせると手が付けられない。裏の世界の頂点に立つことも過言ではないほどの脅威を持つ男。警察や周りのヤクザからは「悪魔」とも呼ばれている。 その反面、夜が怖く、深い眠りにつけない夜を過ごし続けている。元からアルコール中毒だったようだが、韮崎が死んでからは益々拍車が掛かっている様子。韮崎との思い出を回想しては涙を流していて寂しがり屋なのかも。しかも淫乱で、気になる相手とは片っ端から寝たいのだとか…。ただ、それも独りの夜の寂しさを紛らわせる為のものなのかもしれないなぁ…と思うと切ない。

    自分が殺されるかもしれないという一大事に麻生の家で料理を作って玄関でお迎えしていたところなど、本当に、ただただ「愛しい」と感じてしまいました。上巻は割とツンツンしていたのに、麻生が構ってくれないと拗ねたり、下巻はやたらと麻生にくっついて甘えている姿が多く見られて愛しさも倍増。突然「お前が欲しい」と直球な告白を麻生にぶつけたり。屈託のない子供のような無邪気さで話していたりしている姿は色んな意味で胸が締め付けられるほどかわいい…。突然現れては散々相手の心を掻き乱し、気付いたらいなくなる。まるで気紛れな野良猫みたい。いや、「天使」かも? 「悪魔」と「天使」両方の顔を持つような彼、だからこそ周囲の人々は皆、山内練にどんどん惹きこまれてしまうのか、ほぼヤクザみたいな存在だけど、裏でどれだけ汚いことをしていたとしても、命を懸けてでも彼のことを「守ってやる」と言った麻生の気持ちも分かってしまう…。

    サイドストーリー『歩道』については、内容は少し出来すぎな気もしますが、もうすでにこの時から物語は始まっていたのかと思うと色んな意味で胸熱…まさか初恋だったとは…。 また、逮捕される前の学生時代の練の過去にも触れられていて、静かながらも平穏で、ささやかな幸せや未来への期待などを淡く抱いていた日々。それら全てをこれから失うことになるのかと考えると本当に辛すぎます…。 『ガラスの蝶々』は麻生視点のお話。韮崎事件後、練の姉・雛子と共に練の故郷を訪れます。 練の姿と重ね合わせたような、ウスバシロチョウの描写は美しかったです…。

    儚くて気紛れで、いつ手元から離れていくのかわからない存在。そして、一度見失ってしまうと二度と見つけられなくなってしまいそうな存在。
    がんばれ麻生…。 そして、どうかこの2人に幸あれ…。

  • 読み終えて、すごかったな、とただ一言。上下合わせて、様々なテーマが組み込まれてるように思えました。あとがきでしをんさんが書いているように、背景にあるテーマは「冤罪」が大きいですが、それ以外にも性のことだったり、社会のことだったり現代にある問題が描かれていたと思います。男性同士の生々しい表現が多くて少し驚きますが、それを気にさせないくらい素晴らしいお話でした。登場人物が多くて、無駄になる役もあるのではないかと思いましたが、最後にはすべて繋がってすっきり。とりあえず、練が死ななくて良かった…。

  • 愛と憎悪と暗闇。抜け出そうとする人たち。光はどこにある?闇はどこにある?全て自分の中なのか‥

  • ずっと、読んでみたかった作家の作品。
    長いけど、一気に読んだ。
    点と点が繋がっていく計算されたストーリーは、スピーディーでわかりやすく、こうやって捜査が行われているのか、と妙にリアルだった。
    ただ、今ひとつ理解に苦しむのが登場人物たちの心情。
    あまりに自分の世界とかけ離れたものなので、想像でしか理解できそうにない。
    そういうもんかなぁ、とか、そうなんだぁ、とか、どっか他人事のようにしか受け取れない。
    無理もない。
    わたしには、あの人たちのような恋愛感情は、倫理観や道徳観が先に立って、抱くことができない。
    他の作品にも、主要人物が出てるものがあるらしいので、ちょいちょい読んでみるのもいいかも。

  • 途中で、フラグを見つけてしまったが最後まで面白く読めた。BL的な要素はマイナスだけどそれを引いても面白い。

  • 面白かった。
    サイドストーリーもいい。

  • 予想できなかった結末。
    圭吾は結局何処に行っちゃったの?
    でもこれは鈍感でも甲斐性なしでも麻生さんが
    もてるのわかる気がする。

  • ※再読

  • すごい厚い本で読めるかなと思ったけど、最後まで面白くて読みごたえがあった。練は優しい。

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著者プロフィール

 小説家、推理作家。
『RIKO-女神の永遠』で第15回横溝正史賞。
 猫探偵正太郎シリーズ、花咲慎一郎シリーズ など。

「2021年 『猫日記 Cat Diary』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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