覇者と覇者 歓喜、慙愧、紙吹雪

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (483ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048738941

感想・レビュー・書評

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  • 世界観とか、設定とか、そういうものは若干軽いかな。
    表紙のイラストもあってライトノベル色が強い。
    でも、主人公の視点なんかは、ちゃんと打海文三。


    作者の逝去が悔やまれる。
    未完。

  • 裸者と裸者を読み始める前から
    未完とは知っていたのですが、やっぱり残念。

  • 未完の大作とはこの作品のことではないだろうか?
    作者がお亡くなりになられてしまい、結末は誰もわからないが
    海人には幸せになってほしい。
    いい作品に出会えた。

    作品の紹介
    戦争孤児が見る夢を、佐々木海人も見る。小さな家を建て、消息不明の母を捜し出して、妹と弟を呼びよせて四人で慎ましく暮らすという夢を。八歳のころから見つづけてきたささやかな夢だ。―応化十九年六月、ふたたび戦争の季節がおとずれる。未完の遺作、ついに刊行。『裸者と裸者』『愚者と愚者』に続く、「応化クロニクル三部作」完結編。

  • 戦争が終わったって戦いは続く。

    内紛に加担しなかった北海道軍を旗軍にすることで、アメリカからの全面的な援助を得た常陸、奥州、北海道軍連合。圧倒的な物量で首都圏に再侵攻した常陸軍は、「我らが祖国」との最終決戦に挑む。
    内乱が始まって20年。遂に戦争終結。


    この巻では一言も喋ってないけどイリイチが良い。戦争狂の戦後としてはこれが最善で最上っていう選択だと思う。どれほど悪事を働いていてもイリイチの善悪の触れ幅は等しい。非常に良い。

    ↓ややネタバレ





    未完で終わったのは非常に残念。軍を引退した海人がこの後どう絡むのか、マフィアから企業に転進する椿子がこの後どうなったのか気になるが、上々な終わり方だったことは疑いようがない。

  • 応化戦記三部作の最終巻。ただし、執筆中に作者がなくなったため未完のまま発行となった。が十分に感動できる。

  • 凄惨な内戦状態にある近未来の日本を描いた応化戦記三部作の最終巻だ。
    複雑に絡み合い、決裂と統合、勃興と衰退を繰り返した複数の武装勢力も次第に淘汰され、いよいよ戦局は終盤を迎える。
    それまで蚊帳の外にいたアメリカ、北海道も内戦鎮圧に乗り出し、ひとつの戦火は収束するが、また新たな火種が燻りはじめる。それでも世界は明るい方向へ転換しはじめた。
    著者が急逝したため椿子の賞の途中で話が途切れてしまっているのが残念だが、海人にも椿子にも朗らかな未来があるだろうと夢想できて、長い長い戦史を読んだ充足感が胸に落ちた。

  • 面白い!
    簡潔に述べてしまうならこれに尽きる・・
    未完のまま作者が没してしまった事が始めての経験であまりの事に愕然としていたところ、途中までで出していただいて本当にありがたかった・・・

    完結していたらと思うと、寒気がするほど面白い一冊です。

    本当に、作者がお亡くなりになった事が残念でなりません・・・

  • 孤児たちの戦争シリーズ第3部。完結編にして、作者急性の為未完の作品。最後の戦争を書いた上巻と、戦後処理を書いた下巻部分に分かれる。下巻の半分弱で終わってしまうところが何とも残念だ。この後更なる混沌と大団円が待っていたはず。

  • 未完で終わっているけど、不思議と残念な感じはしない。常に潔く生きている彼らが主人公だからだろうか。だから続くそれらがある日ぷっつり途切れたところでどうってことはない…そういう事かも。

  • ポリティックな狂熱も、勝利で獲得するものもない戦争。
    欺瞞的な大義名分すら許されず、終焉に向かうためだけの消化試合のような戦争。
    破滅が混乱を、混乱が破滅を呼び水にする、
    ただただ自滅と淘汰のためだけの戦争。

    エンターテイメントのテーマとして成立しないものだ、
    と思ってた。

    いつもいつも、ハリウッドの軍隊モノや警察ものの映画を見るたびに、あるいは日本人の作る「生きるために」という美意識に酔っ払っただけの映画や小説に、なんとなーくグロテスクさを感じてしまう。

    この小説は3部作、
    徹底的にそういうものを排除して、ただただ“それ”をストイックに語りつくす。
    (ismへのアンチテーゼすら排除して。)
    圧倒的なリアリティ、生々しさ、リアリティ。
    そして、意図せず未完となったこと。
    未完すらこの本のリアリティになりうる。


    打海文三はそんなに有名な作家ではない(なかった)らしい。
    でも、たぶん、
    10年後にも語られ、勧め続けられる本だろう。
    亡くなってしまい本当に残念。
    10年後にも、この作家を誰かに紹介し続けよう、と決めている。

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著者プロフィール

1948年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。92年『灰姫鏡の国のスパイ』が第13回横溝正史賞優秀作を受賞し作家デビュー。2003年『ハルビン・カフェ』で第5回大藪春彦賞を受賞。07年10月逝去。

「2022年 『Memories of the never happened1 ロビンソンの家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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