雪冤

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048739597

感想・レビュー・書評

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  • 雪冤…

    冤罪をはらすという意味です。

    父が死刑が求刑された息子の無罪を信じて、
    死刑執行までになんとか、と事件の真相を探るお話しです。
    真実が解き明かされ、めでたく息子は釈放。
    父子の絆を取り戻す…
    という感動のミステリーを想像してください。

    その想像はみごとに裏切られます。

    終盤、真実が急に沢山明らかになりすぎて、混乱、というか面倒くささはありましたが、

    暗さと、ビックリ度が高く、とても好みでした。

  • 横溝正史ミステリ大賞+テレビ東京賞受賞作。
    死刑制度をテーマにすえた作品だけど、とにかく濃い。けど重いかと言われると、少し違う気がする。
    2人を殺した罪で死刑判決を受けた息子の冤罪を信じる父親、そして殺された女性の妹の、2人の目線からストーリーは進む。その2人のもとに、真犯人を名乗る人物からの電話が入ることから話が動き出す。
    じゃあ息子の冤罪が晴れるのか(=雪冤)かど思いきや、その息子は話が半分くらい進んだところで死刑執行されてしまうという…。
    とにかく主題は「事件の真相とは?」の一点。ラストの真相が二転三転するところ、もう驚きの連続。言葉は変だけど、”真の真相”にきちんと納得できるのも良い。
    ただ選評で坂東眞砂子氏が書いているように、「登場人物が煩雑すぎて、読み進むうちに誰が誰やらわからなくなってしまうという欠点もある」。特に”やっさん”のとこ。
    けど無駄な人っていうのはいないかな。特に八木沼さんに昔弁護された男に父親を殺された持田君(偽名だけど)は、ストーリーに深みを出してると思う。

  • ちょっと描写がわかりにくかったけど、まあまあ楽しめた。慎一の気持ちをもう少し溜められていたら感動したのかなと思うが、そこが浅く残念。

  • こないだ読んだアンソロジーで知った人。横溝正史ミステリ大賞受賞作となるデビュー作。死刑制度と冤罪がからんだ話。ミステリというより、死刑制度についての本というくらい、その議論が沢山出てくる。被害者側、加害者側、ともに切ない。確かに死刑にやられたらやり返す的なことを求めてる人は多いだろう。自分だったらどうか。やっぱり自分の好きな人を殺した犯人が生きてるなんて許せないと思うだろうなぁ。でも、確かに犯人が死んだからといって苦しみが変わるわけではない。まぁデビュー作だからいろいろ不満はある。真犯人を名乗る電話、いつの間にか地声はメロス、ボイスチェンジャーはディオニスになってたとこ。悪の化身のような長尾と、慎一や恵美がどうして一緒に活動していたのか。長尾弟の悪行はほんとに菜摘には知られなかったのか。何か人物がごっちゃになって、いまいちすっきりしない。

  • 死刑制度について、著者の思いみたいなものはよく伝わってきました。
    しかし、ミステリーとしては最後の方でこねくり回し過ぎのような感じでしたね。

  • テーマは重く、ちとややこしく、難しい。

  • 冤罪の問題と死刑存置論をごちゃまぜにしてはいけない。たしかにそう思った。
    最後までハラハラドキドキ。読んでソンはないと思う。
    個人的に、京都のなじみ深い地名が頻出してきて、舞台となる場所はほぼ知っているので、イメージしやすかった!

  • お気に入り作家の太宰治先生の「走れメロス」を題材にしているというのでどんな作品なのかと期待して読んでそれを情熱で返してくれたって感じで本当に読みごたえがありました。
    どんでん返しの繰り返し。最後まで読まないと本当にわからない。
    仮説が出てそれも打ち消され、なかなか真犯人が浮かび上がらない。ドキドキしながら最後までじっくり読みました。
    結構文章は荒かったし、登場人物のキャラクタが解りにくく、あれ?どこにこの人いたっけ?とか、たまにわけわかんなくなったりもしました。
    また、一番気になったのが、京都を舞台に選んだ理由がわからなかった。「死刑制度」とか「冤罪」ってことなら東京でのストーリーのほうがスケールが大きく、読んでいる方もすごく引き込まれる。正直、関西弁は嫌いじゃないけれど読みにくくて仕方がない(苦笑)
    裁判員制度ができる前の作品だと思うのですが、これを読んでまた深く考えることができたと思います。是非いろんな人にこの本を読んでもらいたいと思います。

  • 自分の記憶力と読解力のせいかもしれないけど、ちょっとわかりにくい、というか、ごちゃごちゃしすぎて、最後のドドーーン!!という感じを受け損ねた感。
    え、それ辻褄合ってるか?え、そゆことになってるの?とか思っちゃうとこも多々あり。

    でも、それ以上に考えさせられるメッセージがおおきい!
    ミステリ以上の面白さというか、深さ。

    ポップに「社会派ミステリ」って書いてあったのに納得。
    こゆ系のお話好き。

著者プロフィール

1974年三重県生まれ。龍谷大学文学部卒。『雪冤』で第29回横溝正史ミステリ大賞、及びテレビ東京賞をW受賞。ほかの著作に、『罪火』『確信犯』『共同正犯』『獄の棘』など。

「2023年 『正義の天秤 毒樹の果実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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