- Amazon.co.jp ・本 (570ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061853829
感想・レビュー・書評
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何度も読んでしまう。
日本で鬱屈として疲れ切った村上春樹が、イタリア、ギリシャに行き、40歳までに書かなければならないと思った小説を書いた日々。
自分がやるべきことがわかっていて、それを毎日実行できるから、この人はやっぱりすごい。
この日々で『ノルウェイの森』と『ダンス・ダンス・ダンス』を書き上げているわけだし。
ローマの蜂の描写はそういうことあるなぁと思うし、ギリシャで会ったおじさんが羊男っぽかったり、パレルモをさんざんに悪く言っていたりするのも面白い。
タイトルのもとになった、トルコの詩もとても好き。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
旅行気分というか、ヨーロッパ長期滞在気分を味わえた。声に出して笑った!楽しい!
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1980年代の終わり、『ノルウェイの森』『ダンスダンスダンス』を書いた30代をしめくくり40歳ごろのヨーロッパを巡る旅。小説家になって10年くらい、物書きとして板につきながらも、さまざまな孤独や苦労や疲労感があり、憂鬱な秋の海や悲惨な嵐の描写から伺える。ヨーロッパの街並みや食べ物などの情報の合間に、何の変哲もないのに癖のあるおじいさんやおばさんとの出会い、夫婦げんかや車の故障などのトラブルにたじろく村上春樹さんがおもしろい。やれやれ。遠い太鼓が聞こえる。
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あまり村上春樹の本を読んだことがないのですが、旅行記ということで読んでみました。
イタリア、ギリシャを中心に国として、地域の特徴を上げつつ、様々な個性豊かな人物が登場します。
時折文中の主語が国となり、いささか大げさに聞こえるものの、1つの国でも様々な人物が出てくるので結局国で判断はできないということを暗に示しているように感じました。
とりあえず、ワインやホットブランデーを飲みたくなります。 -
自粛中の年末年始に一気によんだ。
村上春樹は小説はすきだけど紀行ものははじめて。
イタリアの空気がぶわっとかおってくるような紀行文。とてもよい。
ひとつひとつの都市がそれぞれの顔をもってる。
たまに笑わせてくる。
全然ちがう地図の上にキスをしたイラストと、鍵が壊れて、戸棚ごと壊した下り、妻とのちょっとした喧嘩が笑えて心に残ってる。
午前三時の文かな?死がちかくにやってきた文も心に残っている。
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以前ギリシャ旅行をした時のお供として、友人の勧めで。
東京でセカセカと仕事を終わらせて旅立ったギリシャの島。
嘘みたいに静かで蒼く美しい海をたたえていて、人々はのんびりとしていて、重たいスーツケースもどこからか現れた少年達が隣町まで歩いて運んでくれるような…素朴な雰囲気がヨーロッパとは思えない、世界の裏側感を感じた。
春樹さんが80年代バブルまっさかりの日本を離れてギリシャを点々としていた事は、彼の中でかなり大きなことになっているのだろうと思った。
石垣が嵐で倒れても、また倒れるだろうことは予想できるのに、また同じ場所に石垣をみんなで作る
効率優先、無駄な事と認識されるものが排除されていく現代において、無駄に見えることを一生懸命にやる人達。
税金を払わず美味しいものをたっぷりと食べて、ワインを呑んで人生を謳歌する人達。
春樹さんは、まいったな、という感じで愛すべき(ときにはウンザリしながら)彼らと付き合いながら異国で日本人として淡々と生活を送る。
そんな春樹さんも登場するギリシャやイタリアの人達も私は好きだなと思った。
また再読したい一冊。
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何度読んでもいい。ヴァンゲリスと港 という章が特に好き。こういう経験を30代にしているかどうかは大きいと思う。描写が細かく情景が目に浮かぶところも良い。
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日常に普通に起こることを、丁寧に見て書いており、そこにいるかのような映像や、寒さ、生暖かさ、温度まで伝わってきます。
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以前に単行本で読んだのですが、大好きな本で、また読みたくて文庫本を買いなおしました。
イタリアや地中海のあちこちを旅している様子が目に見えるようで、とても楽しめます。