- Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062126182
作品紹介・あらすじ
指一本触れないまま、「あなた」を想い続けた12年間。"現代の純愛小説"と絶讃された表題作、「アーリオ オーリオ」他一篇収録。注目の新鋭が贈る傑作短篇集。第30回川端康成文学賞受賞。
感想・レビュー・書評
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距離感の物語か、これは。とにかく、自分が日向子の立場なら耐えられん。アーリオオーリオだけでよかったな。
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この文体結構好きだな。俺もサプライズがない平穏な毎日が送りたいだけなんだ。少し村上春樹の雰囲気を感じた。事件はおこらないんだけど。
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「袋小路の男」絲山秋子著、講談社、2004.10.29
166p ¥1,365 C0093 (2022.06.01読了)(2006.07.09購入)(2006.01.26/10刷)
三つの短編が収録されています。「袋小路の男」と「小田切孝の言い分」は、登場人物が一緒なので、合わせて一つの作品といいのかな、と思います。
男女で在っても、人間と人間として色んな関係がありうるのかなと思います。だから、小田切孝さんと大谷日向子さんのような関係もありうるのかなと思います。
「アーリオ オーリオ」を読むと、作家の方は色んな事を調べながら書くんだろうな、と思います。プラネタリウムとか天体のこと、清掃工場のこと、若者のこと、など。
三つの作品の中では、「アーリオ オーリオ」が一番興味深く読めました。
【目次】
袋小路の男
小田切孝の言い分
アーリオ オーリオ
(アマゾンより)
大型新人作家による話題の川端康成賞受賞作。
高校時代に出逢った「あなた」とは指一本触れないままの12年間、袋小路に住む男にひたすら片思いを続ける女を描き、選考委員に絶讃された究極の「純愛小説」。 -
純文学というのは正直体質に合わないのですが、たまに妙に心地よく読めてしまう人がいます。最近発見したのですが絲山秋子さんはその一人です。そもそも芥川賞取っているので発見もへったくれもないのですが、僕的には発見。
本作は、一人の男と18年身体的接触が無いまま執着ともいえる関係を続ける女と、プライドを保つために、自分に執着する女を縛り付けておくために、細い希望をちらちらと見せる作家志望の男。
表題作は女が出会いから10数年執着し続ける姿を描き、2話目は男と女がどう思いながら18年を過ごしていたかの対比です。こういうの結構イライラする性格なのですが、すっと水を飲むかのように受け入れられました。なんでだかは難しいので分かりません。性的な接触が無くてもつながっていられるという所が受け入れられたのかも。
3作目のアーリオオーリオが一番好きでした。世間的にはうだつが上がらない叔父と、叔父を慕う姪との手紙のやり取りが可愛い話です。姪のほんのりとした恋心を感じてしまうのは僕だけでしょうか? -
??袋小路の男、小田桐孝の言い分:袋小路の家に住む男との袋小路の関係。ハンサムな小田桐に激しく惹かれた日向子だが、話したりデートはしてもらえるものの、一貫して彼女にはしてもらえず。ストレートに迫っても日向子にはわからない理屈ではぐらかされてしまう。他の男に走れば察して頻繁に連絡してくるが、戻ってくるとまた素っ気なくされる。けれどもお互いの考えてることはだんだんとわかってくる。そして、もう一編で、小田桐側の言い分、日向子からすれば勝手な言い分が語られる。最後の背中を向けたところに、長い付き合いから喜んでることを感じ取るシーンがいいな、と思う。最後まで詰まらなそうだけど、ちょっとずつちょっとずつ距離を縮めて行く感覚。以下備忘録。あなたが持っている最後の担保はカッコよさなのに、そんなのはひどい、裏切りだ/もっとも豊かな愛は時の仲裁に服するものである/おまえと縁を切るつもりはないけれど、俺は本当にいろんなことを諦めているんだ。これで答えになるのかな/けど追い詰めたりしない。しずかな気持/??アーリオオーリオ:清掃工場に勤める、理系のこと、特に星座が好きな主人公が、中学生の姪をプラネタリウムに連れていき、そこから文通がはじまり。人との関わりが苦手な三十代といろんなことに疑問を持ちストレートにぶつけてくる十代のやりとり。しつらえはほぼ違うのに、理系の父と娘のやりとり、池澤夏樹「ヤー・チャイカ」似た、涼やかな読後感。「人間は何もかも説明しようとするが、宇宙空間に言葉や数式は転がっていない。」