- Amazon.co.jp ・本 (722ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062162227
感想・レビュー・書評
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久しぶりの(私の中で)宮部さんの現代物のヒット作品でした。
登場人物がユニークで会話が面白くてするすると物語に入って行けました。くどい表現がやや気になったものの、いつもの宮部さんの語り口で、さらりと辛い暗い話を織り込んでくるところはいつもながらさすがだと思います。
前半は心霊写真やらに興味がないのでするするとはいきませんでしたが、それに関わる人たちの話とか解釈の仕方とかは興味深くて、そして後半は一気に読みました。
後半はぐっとくる部分が多かったですね。特にピカちゃんと英一の心の影を話す部分は読んでいて辛かったです。
最後はちょっと物足りないかなぁと思ったけれど、いい終わり方でした。
読み終わってからカバーの写真の意味がわかりました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昔の小説が、次々ドラマ化されてるが、読書ファンとしては複雑。
宮部さんの小説は昔もの凄く人死んでましたよね。
でもこの作品は青春ミステリーで人が死ななくてもミステリとして、物語として、成立し感動できる事を証明してくれました。とってもこの小説を読んでいる時は幸せでした。最近は時代小説ばかりですが、ミステリーとは限らず現代小説も書いてほしいです。 -
最近、やたらと人が死ぬ話は読みたくなくなって宮部作品から遠ざかってましたが、この話は宮部作品なのに人が死なない(笑)
ユーモラスで爽やかで温かいお話でした。
こういう作品なら、もっと読みたいです。 -
分厚すぎて途中で断念…
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宮部みゆきの小暮写眞館を読みました。
花ちゃんこと花菱英一は高校2年生、ちょっと変わっている両親と年の離れた弟と暮らしています。
花菱父は商店街に残っていた小暮写眞館を買って、家族そろってそこに住むことにします。
ある日、英一は不思議な写真を押しつけられて、その写真の謎解きをすることになるのでした。
高校の仲間たちと一緒に写真の謎解きをしていく中で、英一は普通の人間の弱さや、正義を振りかざすことで他人を傷つけること、そして人々の暖かさを知っていくのでした。
英一の弟ピカ、英一の友人のテンコこと店子力、コゲパンこと寺内千春、のっぽの橋口、不動産屋の無愛想な事務員垣本順子といった魅力的な登場人物たちが英一の周りでいろいろな事件にからんでいきます。
それに小暮写眞館の主人だった小暮さん、小さい頃に病気で亡くなってしまった英一の妹風子の話題が絡んで物語が語られていきます。
普通の人たちでも、いろいろな悩みやトラウマをかかえています。
そして、それでも強く生きていくんです、という力強いメッセージが心地よい物語でした。 -
まさかの一気読み。胸にしみるというか心に暖かい何かを残してくれる素晴らしい本でした。登場人物全員キャラ?がたっててこれがかの有名な宮部さんの作品かと思いました。
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装丁がすごくほのぼのした感じで好き☆
登場人物もしっかりと把握でき
自分もその中いるような錯覚をおぼえました(笑)
ドラマ化されるといいな~♪
700Pちょいの厚さでしたが
気が付いたら、読み終わってました☆
後味は、ちょっぴり寂しいけれど
ほのぼの感が残る1冊!
花ちゃん、まずは、一歩前に踏み出せ~♪ -
9月終わりに妹に会ったとき、もうずっと前に図書館に予約した『小暮写眞館』が届いたと言っていた。持ち歩いて読まれへん、こんな厚い本やと思わんかったとも言っていて、そうやなー、あれはえらい厚い本やったなあと本屋でチラっと見たのを思い出していた。
うちの近所の図書館はどうかと蔵書検索をしてみたら、去年はたぶん100人か200人くらい予約がついていたであろう本は、44冊もある複本のほとんどが今も貸出中ではあるものの、予約待ちはほとんどいなくなっていた。それで私もさくっと借りてきてみた。本文は700ページあまり。なかなかイッキ読みはできなさそうな厚さ。
さて、いつ読もうかと借りてきてしばらく積んでいて、久しぶりにぐるぐるめまいにやられて、人と会う約束を全部キャンセルしておとなしくうちにいた日に、読んでみた。いろいろと書評や紹介も出ていたのだろうけど、まったく読んでいなかったので、どんな話やろ?と思いながら。
小暮写眞館は、花菱一家が住むことになった、商店街のなかの古い店舗付き住宅。変人の父と母が、フツウは取り壊すもんやろという"古家"付きの土地を買い、その古い家を手入れして、おもしろいから店舗もそのままで住もうと言い出した。
主人公は、その変人両親の長男である、花ちゃんこと花菱英一、高校生。一緒に住んでいるのは、両親と弟のピカこと光。ピカの上に、風子という妹もいたが、そのふうちゃんは7年前、4歳のときに一晩で具合が悪くなって死んでしまった。それ以後、親戚とのつきあいをほとんど断って、けれどご近所や息子たちの友人、その家族などとはかなり親しくつきあいながら花菱一家は暮らしている。
第一話、第二話、第三話と、いずれも"心霊写真"ないしは"トリック写真"の話が出てきて、これは花菱英一がそういう写真の謎を解いていく話かと思った。その謎を解いていく過程で、英一は古い商店街やその近くに住む老人たちを訪ねて話を聞いてまわり、このあたりが東京の空襲でずいぶんとひどくやられたことを知ったり、高校の同級生や先輩と話しながら、この人はそんな風にものごとを見ることができるのかと驚いたり、小暮写眞館を紹介した不動産屋の社長や事務員の女性と関わりながら、大人の世界、大人の考え、人生の知恵のようなものを知ってもいく。
写眞館というだけあって、写真ネタの話、しかも同じような謎解きパターンかと、途中でほんの少し飽きる気持ちになったけれど、第三話のあたりから、ちょっと流れが変わる。
風子の死に、父と母だけでなく、ふうちゃんが死んだときにはまだ2歳だった弟のピカも、英一自身も、責任を感じていた。巻末近く、英一が「お兄ちゃんなんだから」「お兄ちゃんのくせに」と叱られ、期待され、それに拗ねて、むくれて、自分こそが風子を死なせてしまったのだと振り返る場面は、ちょっと泣いてしまった。
厚い本だったけれど、読んだあと、ほうっとした。英一の、テンコやコゲパンとの朗らかな高校生活も読んでいて楽しい。両親の変人ぶりもおかしい。不動産屋の社長のことばや、テンコの父のことばや、あるいは小暮さんの娘さんのことば。英一が話を聞いてまわったお年寄りたちのことば。そして不動産屋の事務員・柿本順子のことば。こんな風にナナメの関係の大人とつきあえたり、話ができたりというのが、うらやましい気がした。
自分が高校生のときの、そんな大人とのつきあいは、あったのかもしれないが、ほとんど思い出せない。
(10/14了) -
どの家族も歴史をもっていることを改めて感じました。
年が離れているのに、こんな兄弟関係が作れたらいいなと思ったし、高校生の友情もほほえましかったです。
子ども時代は、いいことも悪いことも全て自分にその原因をさぐって、結び付けようとすることがよく描かれていました。
電車内での読書中でも、思わず涙してしまう場面が多かった本です。