- Amazon.co.jp ・本 (722ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062162227
感想・レビュー・書評
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1ページ目をめくった時は、なんて長い本なんだろうと思った。
最後のページを読み終えた時、なんて短い本だったんだろうと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
物語の内容はとても面白いと思う。身近なありそうでないことを、身近に扱っている。展開も変化がありあきが来ないこないままに進んでいく。伝えるもの(テーマ)が、何かあったのかという疑問が残る。日常の中でおきた事件、それは日常ありそうもないこと。事件解決した後には、いつもと変わらない日常。幸せになった誰かがいる。気持ちの変化、心の変化で、何かを感じ取ることができるようになった。変わった、自分を見てくれている人がいる。去っていく人。変化のあるものと、ないもの(小暮写真館)の組み合わせ方がよい。自分を変えるのは自分で、その変化が周りを変えていく。
文章の書き方で、人物が話した言葉と、考えていること、書き方で区別しづらいと思う。わざとそうしているのか。疑問である。読んでいて効果があるとは思う。なにやらあやふやな感じになるのがよい。 -
図書館で予約して借りる。
受け取りに行って700ぺージの分厚い書籍で少々驚き、2週間の借り出し期間で読み切れるかしらと心配に……。
でも、そこは宮部みゆき作品。
就寝前の読書タイムが伸びて寝不足になったことも。
ところどころで自分で突っ込み入れたりフォローしたり、その部分がいい。
笑いあり、ほろっとさせられるシーンありで、返却日当日の先ほど読了。
英一君、しっかり成長したね。 -
久々の宮部みゆきは、長編でした。
古い街の写真館に住み始めた花菱一家がとても良く描かれています。特別に大きな事件があるわけでもないのに、主人公、英一の周りにいる人間(幽霊も?)とっても生き生きと。
ところどころにあるユーモアたっぷりの言い回しもツボでにやりとできます。コドモ人生常勝将軍とか遮光器土偶に似たコゲパンちゃんとか。
生きるってステキなことです。死も含めて。 -
約1週間ほど断続的に読み進んだが、700ページの大作も終わりの方では「結末がもっと先でもいい」と感じられるほど気分が盛り上がった。さすがの物書き巧者みゆき先生の本領発揮。
「理由」以来何作かのお付き合いだが今回はすっかりはまった。
主人公の高校生・英一とその弟ピカ、その両親、英一の学校友達など多数の登場人物の間で起こる4件の「心霊現象」や「幽霊」の話を中心にストーリーが展開するのだが、やはり本筋は生身の「人」(と人の関係)に纏わる結構シリアスな<人情話>(あまり適切な表現ではないがみゆき先生と違って当方は語彙不足ゆえご勘弁)。
しかも話のあちこちに巧みな伏線が張り巡らされていて読むほどにのめりこむ。そして最後の場面の意外な謎解きは泣かせる。
人間の「業」を描かせたらみゆき先生、やっぱり当代随一とあらためて感激。 -
ちょっと変わった両親の意向で「古家」である小暮写真館に住む事になった主人公。その縁か、奇妙な写真が主人公の元に現れるようになって…
久し振りの宮部みゆき作品。「模倣犯」が合わなくて敬遠してたけど、読んで良かった!とても爽やかで甘酸っぱくて、ほろりとして、喜怒哀楽のほとんどを感じた気がする。
キャラクターがいちいち愛おしかった。あとすごい文章がいい。軽すぎず、堅すぎず、でもどことなく上品というか。言葉を大事に大事に綴ってる感じがすごく好きでした。 -
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物語のすべてが詰まった700ページの宝箱著者3年ぶり現代エンターテインメント長編。
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第一話 小暮写眞館 第二話 世界の縁側 第三話 カモメの名前 第四話 鉄路の春
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700ページを超える大作である。だが、厚さを感じさせない面白さでぐいぐい読ませる、ミステリ要素のあるファンタジーとでもいうような物語である。
舞台は、亡くなった小暮さんがやっていた写眞館を買い取ってそのまま住んでいる花菱家。そして、語り手である花菱家の長男・英一が通う都立三雲高校や花菱家に小暮写眞館を売った不動産屋やその周辺である。鍵になるのは幽霊、そして心霊写真。並べると妖しげな物語のようだが、物語自体にはまやかしも妖しさも怪しさも微塵もなく、高校生が主体となって行動する微笑ましくもあるものである。登場人物がそれぞれ個性的だが、誰もがみないい味を出していて生きて動いている姿が容易く想像できるのがいい。みんなが心やさしく責任感と思いやりを持っていて、それゆえに行き違ったりもするのだが、そのときの切なさもたまらない。ぽっかり雲が浮かぶ大空を心行くまで眺めながら、いまごろみんなどうしているだろうとときどき思い出したくなるような一冊である。 -
久しぶりに宮部みゆき。超太いハードだけど短編集なので、中編集といったところ。ピカのふうちゃんへのごめんなさいシーンは泣けた。
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痛みを抱えた子供と大人と。
一冊読む中にこんなに泣いたのは久しぶりだ。
垣本さんにまた会えることが幸せかわからないけれどそんな未来があればいいなあと祈りつつ本を閉じました。