トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業

著者 :
  • 講談社
4.13
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本棚登録 : 972
感想 : 112
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062196079

作品紹介・あらすじ

創業家VS.左遷サラリーマン!
日本の救世主は、ハズレ社員だった。気鋭の経済記者が覆面作家となって挑む日本最大のタブー「27兆円企業」に迫る!
「失われた20年を、高度成長期並みに駆け、世界一となったあのトヨトミ自動車が潰れるときは、日本が終わるとき。日本経済最後の砦・巨大自動車企業の真実を伝えたいから、私は、ノンフィクションではなく、小説を書きました」(梶山三郎)

感想・レビュー・書評

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  • 武田さんについてどういう感情で読んでいいのか、、自分の中で現実と虚構が入り混じってしまった。
    統一については、とんとん拍子?に社長になった感じがする。事実を元に書いたからかな?なんか、最後は事柄だけが描かれている感じがした。
    面白いのは面白かった。

  • 企業の内部抗争、大企業サラリーマン社長の大立ち回りなど、めちゃ面白かった。
    トヨタの歴史をフィクションとノンフィクションをおりまぜて書いている。
    しかし、描写が上手くて、本当にリアルに感じられる。
    特に武田剛平が魅力的。
    登場人物が多いのだが、読んでいるとスッと入って来る。
    サラリーマン金太郎や半沢直樹とか、企業モノが好きな人は特に気に入ると思う。

  • 面白すぎて一気に読みました!!
    公聴会のシーンは泣けました。

  • ページを巡ると、目次の次におもな登場人物の紹介。人数が多い・・・ 話についていけるかちょっと不安になったが、杞憂だった。読みやすい文章で、人物の多さも全く気にならなかった。

    少し前に『未明の砦』を読んだ影響で、自動車メーカーの話を別の視点で見たいと思ったのがこの本を選んだきっかけ。読んでよかったと思う。
    ビジネスって戦争なんだなぁ。

    折しも、ニュースでトヨタグループが話題になっていた。いつもよりも興味が持てた。

  • 面白かった。
    相当脚色してるにせよ、大筋は実在の人物を書いてるはず。
    作者すら覆面で、フィクションなのか、ファクトなのか⁈

  • <面>
     これぞエンターテインメント小説!
    皮きりの本書以降シリーズ化されていてしまい つい最近その第三作が出版された様子。
    僕は違ったルートからこの本が面白いぞ,と云う情報を得て,なんだなんだと少し探って みた。すると 最近のトヨタ自動車の事情を某新聞社の経済産業担当記者の立場から 面白おかしく,多大なる思い込み と 思い入れ と 嘘八百のフィクションを加えて書いたものらしかった。で,そこまで書くと何かと怖いので 身バレ防止の為に作者は覆面作家としたものらしい。なんとも意気地がねえこった。笑う。

     で,いやはやこりゃ面白い小説だね。この第一作が描かれたのが2016年なのだが描かれている時代はもっと前の年代から始まっている。もちろんモデルになっている自動車会社はトヨタ。愛知県「尾張地方」に本社がある『トヨトミ(豊臣)自動車』という設定なのだ。もちろん実際のトヨタ自動車は「三河」が事業基盤なのだが,それを同じ愛知県の尾張として豊臣としているのだ。あちこちに「尾張の田舎の」などという表現が出て来て,同尾張地方に住んでいる僕には そこもかなり面白い。笑う。

      普通の小説と少し変わった体を感じる所がある。例えば本文147ページに「肝胆相照らす(カンタンアイテラス)」という格言が振り仮名付き使われている。でも実はもっと前に振り仮名無しでいきなり出て来ている所がある。これらの読みづらい言葉はその小説の初出の場面で必ずフリガナを打ち 二回目登場以降は「もう最初教えたでしょ」と云わんばかりにフリガナは打たれない。まあ本作の場合は出版社サイドの推敲/校正がガザツなだけだろう と僕は思う。面白い小説なのに天下の講談社は軽く扱っているのが見て取れる。笑。

  • トヨタの歴史を小説に仕立てただけの本。つまらない。読むだけ無駄。

  • 1.著者;正体不明の覆面作家。本書「トヨトミの野望」でデビュー。新聞社のフリージャーナリストが書いたと言われているが、実際は複数の現役記者が情報提供し、某作家に書かせたらしいという噂もあり謎。梶山三郎というペンネームは、梶山季之(週刊誌記者出身で出世作は「黒の試走車」)と城山三郎(自動車関係の書籍は「勇者は語らず」)に肖ったと思わらる。
    2.本書;企業小説。著者曰く「失われた20年を、高度成長期の様に駆け抜けた巨大自動車企業は日本経済最後の砦だ。私は、その真実を伝える為に、ノンフィクションでなく、小説を書いた」。この企業はトヨタ自動車と思われ、創業家と左遷サラリーマン社長の対立が書かれている。エピソードが所々に書かれ、興味が尽きません。実話だと言う人、どこまで真実かと言う人、両方がいます。真実は闇の中。先ずはフィクションとして楽しむ本でしょう。十四章構成(第一章;ふたりの使用人~)。
    3.私の個別感想(心に残った文章を3点に絞り込み、私見を合わせて記述);
    (1)第二章【社内事情】より、(武田社長)「豊臣家は創業家だから尊重するが、人事は公平。このグローバルの時代、血縁に頼っていては衰退するばかり。実力ある者を正しく評価し、しかるべき地位に登用」「私が社長に就任する以上、お公家集団のぬるま湯は許しません。社員諸君は何も変えない事が最も悪いと気付いてほしい。現状維持はイコール堕落です」
    ●感想⇒①「血縁に頼っていては衰退するばかり」について。日本の企業は約256万社。同族経営は、その内約96%。大企業では、トヨタの他にもパナソニック・サントリー等、名だたる会社が同族経営です。同族経営にも、メリット(意思決定の速さ等)とデメリット(私物化の懸念等)があります。一方で、本田宗一郎氏は会社に親族を入れる事を頑なに拒んだそうです。要は創業者の考えで、会社の命運が決まるという事でしょうか。本書のトヨトミは、デメリットが際立ったと思いますが、経営の評価は同族だけでなく広い観点で判断すべきと考えます。②「社員諸君は何も変えない事が最も悪い」について。これは私もよく言われました。企業を取り巻く環境は、グローバル化によって、目まぐるしく変化しています。仕事をマニュアルに沿った作業ではなく、常に創意工夫するのです。個人の仕事のやりがいと成長の為にも知恵を絞り、考え続け事が重要ですね。
    (2)第六章【ハイブリッド】より、(山崎;衆議院議員)『「会社には朝一番に行って掃除をしろ」「電話は真っ先に取れ」「お客様の荷物を持ってタクシーに乗せ、見えなくなるまでしっかり見送れ」いたずらにアメリカナイズされる事無く、日本人らしく謙虚に誠実に振舞え、という事だ』
    ●感想⇒会社に入った頃、「お客様が見えなくなるまで見送れ・・・」を始め、研修で教えて貰ったというよりも、先輩がそれらを自然体で実行しており、私も見様見真似で覚えました。企業の強みは、テキスト等で書いたものを覚えるという事ではなく、先輩が後輩にビジネスマンとしての礼節をやって見せ、後輩は自分の後輩にそれを教えるというサイクルが上手く回っている文化だと思います。上司からも言われました。『部下には差がある。例えば、出張で新幹線の切符を頼んだ時に、並のスタッフは「満席で切符が取れませんでした」。気の利くスタッフは「満席だったので他の時間と他の交通手段を調べておきました」と。こういう所で企業力の差が出るんだ』と。現在は仕事改革で労働時間の効率化が叫ばれています。気配り時間まで効率化して、仕事の質を落としてははいけないと思います。
    (3)第八章【萌芽】より、(武田社長)「経営者の堕落が酷い。会社の利益と自分の名声しか考えず、従業員の幸せや企業の社会的責任に無関心な輩が多すぎます。国民と国全体の利益を考えないトップは経営者と呼ぶに値しません。単なる経営屋です。恥知らずの経営屋がバブル経済の膨張と崩壊を招き、日本をこんな惨めな国家にしてしまった」
    ●感想⇒マスコミで話題のB社経営者の発言を聞いて、今時こんなにレベルの経営者がいるんだと呆れました。破綻した山一證券の社長の言葉を思い出しました。「これだけは言いたいのは…私ら(経営陣)が悪いんであって、社員は悪くありませんから! どうか社員のみなさんに応援をしてやってください、お願いします!」。B社のトップは、社員のやった不祥事を「信じられない」とか「訴える」とか当事者意識は皆無です。B社にも心ある善良な社員が大勢いると思います。社員の働き甲斐を醸成し、ユーザーを大切にする企業(社会的責任)に再生して欲しいものです。
    4.まとめ;左遷サラリーマンだった武田社長は、トヨトミを売上高27兆円という世界企業にした立役者。しかし、持ち株会社構想などにより、創業家に疎まれ、社長の座を失います。その社長に忠誠を尽くした人間はことごとく追放され、粛清人事となります。ブチ切れた創業家出身社長の容赦ないお手打ち人事は衝撃的とあります。トヨトミを世界企業に押し上げた功労者の社長ばかりか、取巻き連中まで粛清するとは、凡人には理解出来ません。人としての心(感謝)はあるのかと。経営の厳しさを痛感します。雑談です。日本の企業が世界一になる事は本当に良い事でしょうか。某経済学者が書いていました。「相手が倒れると、相手からの需要も止まり、新たに食い潰す相手を見つけない限り、自分自身、存続する事が不可能になる」と。一人勝ちの行く末は世界から孤立に繋がります。羨望の的ではなく、共存共栄の道を進むべきでしょう。本書の大企業の人間構造に踏み込んだ記述には興味津々ですが、著者の考えが見えないのが残念です。(以上)

  • この本のモデルになっている会社の製品は、正直面白みがないと昔は思っていながら、一方でここ20年ぐらいは『なんか変わってきている?』との思いがあったりしたが、なるほど、この本を読むとその変化の理由がなんとなくわかった気がした。
    それにしても、モデル企業にしてみれば結構衝撃的な内容だと思ったけど、どうなんだろう?

  • フィクションとは思えないリアル感がある

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著者プロフィール

経済記者、覆面作家

「2016年 『トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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