終わった人

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062197359

感想・レビュー・書評

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  • 読みやすく、且つおもしろかった。
    主人公のその時その時の気持ちがリアルな感じに描かれている。
    ジジババって言い方がなんかツボにはまった。

    映画も見てみたいなぁ〜。なんとなぁーく、館さんがチラチラしながら読んでいた。

  • 祝!映像化
    40になり定年後の事も気にしなきゃなと思い読んでみる。
    途中から子会社に出向させられたにしても、銀行でバリバリ働いてお金もあり成功した部類に入る主人公が退職するところから話は始まり、第2の人生を書く。
    現在の私よりバイタリティーあふれるなと思いながら本を読む。夫婦の関係や相手に考えることも変化するのだなぁと思い妻にもこの本を進める。定年後私も何か人の役に立ち少しのお金が稼げることをやれればなと思うのだがさて。。帰る故郷も無いしなぁ。

    あとがきの「若い頃の才能に秀でていた、美人だった、一流企業に勤めていたなどは人生の終着点近くから見れば何でもないこと」は納得のような、寂しいような。人生を考える。

    有名な著者だが本読むのは初めてだな。子供のころ見て今でも記憶に残っている「ひらり」作成者、相撲好き。

  • 以前から気になっていた本、やっと読めました。面白かったです。職場と墓場の間の人生、「終わった人」の行き着くところは、学歴職歴は違えど案外横一線だったりすると念を押された気がします。道子さんの鋭い指摘な台詞に、うんうんと頷いたりで、思い当たる言葉の数々に妙に納得させられながら読めました。

  • 頼まれて社長になったのに借金は一人で背負うのか。大変。

  • 人生100年時代に60歳で定年してしまうことの残酷さを描いた作品。
    会社の理不尽な人事によって巨大銀行の幹部から退職においこまれた主人公。
    まだまだ体力、気力ともにある。恋愛だってしたい。そんな主人公。しかし周囲は年相応とみていて受け入れてくれない。そんな主人公は再就職をし再びばりばりと活躍をしていく。

    かつては55歳まで働き15年老後をすごせば平均寿命だった。
    しかしいまは90歳が平均寿命だし100歳になるとまでいわれている。
    60歳でやめると「「職場と墓場の間」に何もない人生が、いかにつまらないか。」ということに直面する。
    むしろ人生の余命がすくないとわりきれば「先が短いという幸せは、どん底の人間をどれほど楽にしてくれることだろう。」とわりきれる。しかし主人公はまったくそういうふうに「成仏するためには、成功することが必要なんだ。成功して終わりを迎えて初めて、成仏できる。うまく行かないまま、十五年、二十年と続けても成仏できないよ」とひたすらあがく。
    六十五歳、もう「前期高齢者」だ。  出会った人を切ることはない。単なるメシ友であっても、短い人生では大きな縁なのだと、

    周囲や家族からこれ以上、そこまで働かなくても、、とたしなめられても「人は死ぬまで誇りを持って生きられる道を見つけるべき」と と語り、つっぱしる。
    それによって悲劇的なキャリアを迎えることになりおおきな借金まで背負うし家族もバラバラになっていく。

    そして傷心のまま故郷の盛岡に回帰する。

    かつてはでたくてしかたなかった田舎にかえり母親と故郷の景色についてかたる。
    「こんないい山と川、他にはないよな」  俺がつぶやくと、お袋が大真面目に言った。 「誰だって、日本中の人が故郷の山をそう思うのす」
    「ふるさとの山に向ひて 言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな」(啄木)

    そして高校時代の同窓生と話すと、みんなリラックスした落ち着きをもっていて自分の人生の失敗をあけすけにわらいながらはなせる。しかし主人公はまだプライドが邪魔をしていてはなせない。
    「誰もが自分の浮き沈みをケロッと話せる年齢になり、助けあっているのに、俺はできなかった。」

    その結果最終的には

    思い出は時がたてばたつほど美化され、力を持つものだ。俺は勝てない相手と不毛な一人相撲を取っていたのではないか。
    思い出と戦っても勝てない……
    俺はいわば無期懲役の身だ。
    思い出と戦っても勝てないのだ。「勝負」とは「今」と戦うことだ。


    という境地に達する。

    そして故郷、家庭、仕事、友人、いろいろな意味で「うまく枯れていく」ことに向き合っていく。
    50歳をむかえるタイミングでよんでとてもよかった本だった。


    会社をやめると終わった人、というふうにみられる。
    しかし人はいつか終わることになる。
    そしていまは終わった人から死ぬ人までの間が非常に長い時代になっていく。人類史上にない時代だ。

    だからこの期間に上手に枯れていくことがものすごく大事になっていく。
    男はだれかの思い出になることをいつか恐れてはいけない、という言葉を思い出させる素晴らしい小説だった

  • ユーモアたっぷりの、ある定年退職した男の抗い方が笑える。共感する部分も多くてクスクスしながらサラサラ読めた。
    後半部分は少し無理な設定で前半部の首肯が外され感が惜しい。

  • 仕事一筋だった田代壮介は定年を迎えて途方に暮れた。「まだ俺は成仏していない」と職探しをするが…。生き甲斐を求め、居場所を探して、惑い、あがき続ける男に再生の時は訪れるのか?

    内館牧子といえば横綱審議委員会の人というイメージが強く、作品を読むのは初めてだった。ジェットコースターのようなストーリー展開で飽きずに読めるしドラマ化向きなのだろうけど、もう少しリアリティがあればよかったのに。
    (B)

  • 定年後のリアル。
    60までに、仕事、趣味、人間関係と主体的に選択できるような生き方をできていないと、苦痛の老後となる。

  • まだまだ定年までは時間があるというものの、題名に惹かれ、図書館で人気のこの本を読んでみた。実にホームドラマっぽい内容だけど、なんだかあと10年もすれば迎える?自分の引退後の生活を想像できて、面白いやら悲しいやら。。。サラリーマンがが卒業すると、周囲のOBにもいらっしゃるが、『毎日が日曜日』の生活をどう生きるかがとても難しいようだ。見栄やこだわりを捨てきれずに、結局は楽しめないでいるがどうしようもない。いずれにしても、力を抜いてらくーに読める一冊。お暇な時に、そろそろ第2の人生を考える時期に差し掛かっている男性におすすめ!

  • まだまだ本人としては、世間に通用する力量があると実感しているにも関わらず、年齢を重ね、定年を迎えたことで半強制的に隠居に追い込まれる。
    仕事一筋でやってきた主人公が妻に対して愚痴をこぼしたり、知己の女性に対して狭隘な態度を取ったりすることに対して、冒頭のあたりではまったく共感できませんでした。
    しかし、話が進んでいき、後半の冷戦のような夫婦喧嘩で主人公が痛めつけられる様は読んでいて痛々しく、憐憫の情を抱きました。ラストは爽やかでしたが、終始考えさせられることが多く、かなり読みごたえのある一冊でした。

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著者プロフィール

1948年秋田市生まれの東京育ち。武蔵野美術大学卒業。1988年脚本家としてデビュー。テレビドラマの脚本に「ひらり」(1993年第1回橋田壽賀子賞)、「毛利元就」(1997年NHK大河ドラマ)、「塀の中の中学校」(2011年第51回モンテカルロテレビ祭テレビフィルム部門最優秀作品賞およびモナコ赤十字賞)、「小さな神たちの祭り」(2021年アジアテレビジョンアワード最優秀作品賞)など多数。1995年には日本作詩大賞(唄:小林旭/腕に虹だけ)に入賞するなど幅広く活躍し、著書に映画化された小説『終わった人』や『すぐ死ぬんだから』『老害の人』、エッセイ『別れてよかった』など多数がある。元横綱審議委員で、2003年に大相撲研究のため東北大学大学院入学、2006年修了。その後も研究を続けている。2019年、旭日双光章受章。

「2023年 『今度生まれたら』 で使われていた紹介文から引用しています。」

内館牧子の作品

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