終わった人

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062197359

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  • 978-4-06-219735-9
    C0093¥1600E(0)

    終わった人
    第1刷発行 2015年9月16日
    第14刷発行 2016年9月9日
    著者:内館牧子(うちだて まきこ)
    発行所:株式会社 講談社

    作者さんについて
    1948年秋田市生まれの東京育ち
    ------------------
    第1章
    定年って生前葬だな。この一文で物語は始まる。
    それなりに地位のある、同期の中ではできた方の人で家庭もあり、子どもも居る。極々ありがちな設定の中の男性が63歳で定年を迎える。その日からストーリーは始まる。今まで送られる側だったが、今日は自分が黒塗りのハイヤーに乗り込むのだ、花束を抱えて。「散り際千両」。
    当日の時間が流れ、やがて盛岡の学生時代の事、大学から銀行に入ってからの事、時代は移り合併や出向を余儀なくされ、現場でどれだけ頑張っても本社に戻れなくなった。それでも年に一千三百万円の収入の保証があるその仕事をフイにすること無く受け入れることにした。これが51歳のとき・・。回想と退職した日の出来事と絡ませて上手に話が進み読みやすい。

    定年を迎え、「家族のために」という言い訳をして会社へ、収入を確保することは重要ではあるけれど、家族をないがしろにして30年以上時間が経過した報いが、日々の暮らしの中でチクチクと露呈する。実際は面と向かって言葉にされてもわからない輩も多いだろうが、物語の中では七転八倒して、挙げ句にもうヒト花咲かせようとして大変な借金を背負い込み、家族に多大な迷惑をかけ、それでも、情けをかけてもらって、人生を歩み始める。卒婚と言うなの別居で、この人の場合故郷は少し距離があり、兄弟も親の介護の名目も残っていてまだ救われる。

    これをみ終わって、男性は何を思うんだろうね?
    世の奥様方はどう感じるんだろうね?

    フィクションだから あ~あるかもー。やらかしなー。と遠くの出来事で楽しめたけど、楽しめたってことはありえない話じゃないって分かっているってことなんだろうな。莫大な借金を作ってしまったヒトでは無く。気がついたら家族の心はとお~くに有った。って人は現実少なくないと思う。

    主人公さんに足りなかったのは努力じゃなくて時代が変わったってことを受け入れて、身の振り方を同士でもある(長い時間、経験や出来事を共に過ごしてきた)家族と相談できないまま突っ走ったこと。突っ走った、がむしゃらに努力したら成功したという過去の成功体験をいつまでも引きずっているとこういう目に合うね。まだ、逃げ場は有ったのは幸い。

    この作者さんの作品を読んだのは初めてだけど、読みやすかったな。

  • 新型コロナウィルスで、なにもかも中止。行くところが全く無くなった。退職した時の状態だ。居場所がない。「終わった人」を読んだ。映画になって、ベストセラーで、読もうと買ったのだが、読んでなかった。エリートでないし、女性とは縁がない。
    で、読んでみたら、結構身に染みた。趣味は生きがいにはならない。仕事は生き返させる。だがこれは
    難易なことだ。ここでは倒産して、9000万円の
    借金をつくる。そのこともあり、家庭も居場所にならない。そして、故郷、盛岡へ帰る。
    定年イコール生前葬の後の自分の居場所がをどこに置くか、考えさせられる。

  • 団塊の世代の男、ぐじぐじして気持ち悪いと思ったけど後半はなかなか。妻にも感情移入しきれずちょうどいい塩梅だったかも。

  • 3.7 一刻も早く仕事辞めたい自分には、わからない世界。浮気認める夫婦関係もありえない。誰かに求められるのも沢山はいらないな。

  • 2018/4月 妻や娘の言葉、定年2ヶ月を前に考えさせられた。文庫の字のフォントが大きい

  • 物語としての面白さ以上に、自分の生き方を考える参考になった。ここ数年、両親、夫婦、人生のあり方などを考えることが増えているので、タイムリーだった。

  • 東大法学部卒の大手銀行マン、エリートを自負する主人公が出世街道を外されての63歳での定年後の葛藤。
    自分と同じようなステージのお話かと期待して読んだが、定年を生前葬だと感じ、自ら終わった人だと認め、一方で周りのジジ・ババを一括りに嫌悪する、そんな主人公の意識には共感できなかった。
    楽隠居ができるご時世ではない。終わった人の余生ではなく、自分なりの輝きや喜びを追い続けたいと感じた。
    19-72

  • 定年退職した元エリートサラリーマン。
    仕事一筋で頑張って来たという自負がある分、暇な老人と思われたくないと思い、ジムへ通うのにもしょうもない理由をつけて入会。
    変なプライドが邪魔をして、身動きがとれなくなっていくのが見ていて恥ずかしかった。

    明日は我が身に思えて怖かった。

  • 18.6.1
    NHK あさイチ 内館牧子 インタビュー

  • 定年退職した元エリートサラリーマンのお話だが、最後はみんな横一線という話はなるほどと思った。映画も観てみたい。。

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著者プロフィール

1948年秋田市生まれの東京育ち。武蔵野美術大学卒業。1988年脚本家としてデビュー。テレビドラマの脚本に「ひらり」(1993年第1回橋田壽賀子賞)、「毛利元就」(1997年NHK大河ドラマ)、「塀の中の中学校」(2011年第51回モンテカルロテレビ祭テレビフィルム部門最優秀作品賞およびモナコ赤十字賞)、「小さな神たちの祭り」(2021年アジアテレビジョンアワード最優秀作品賞)など多数。1995年には日本作詩大賞(唄:小林旭/腕に虹だけ)に入賞するなど幅広く活躍し、著書に映画化された小説『終わった人』や『すぐ死ぬんだから』『老害の人』、エッセイ『別れてよかった』など多数がある。元横綱審議委員で、2003年に大相撲研究のため東北大学大学院入学、2006年修了。その後も研究を続けている。2019年、旭日双光章受章。

「2023年 『今度生まれたら』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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