- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062766548
感想・レビュー・書評
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理想を目指すのはどのような社会にあっても必要なことなのですが、それが行き過ぎると第三者の眼には奇異に、ときには恐怖すら覚えることがある。また、集団行動は美しさの内に狂気を秘めているように見えることがある。
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書かれてる時代、場所が身近なだけに、身につまされるしよくわかる。
ただ、やっぱり違うかな。 -
まず、装丁がすばらしい。
カウンターが示す1974とその数字のズレは固まった過去ではなく、つながりと変化の印。むちゃくちゃにセンスがよかったから、アヴァンギャルドな内容を若い研究者が書いているのかと思ってたんですが、読んでみると大学教授が自叙伝的に記す戦後民主主義の話でした。読んでいる途中思わず背中がゾクっとしました。装丁も内容もいいなんてなんてすばらしい本なんでしょう。
民主主義の裏にある集団思想の影は、ニュータウンにある学校でのとっても局所的な、ある意味奇跡に近いような「優性な世界」。筆者は感情的な拒否しているけど、考えとしては否定も肯定もしていないように思う。僕も同じように思う。肌には絶対合わないけれど、集団を扱う上では成果を出せる主義思想なんだと思う。
民主主義とか大きな話はわからないけど、弱さについてどう向き合うべきなんでしょうか。
とにかくいい買い物でした。 -
1970年代の小学校体験の反省的再構築。すでに研究者になった著者が自らの小学校時代の日記を手がかりに、自分の小学校時代のクラスのことを学級会書くという視点で組み立てなおして解釈してみるというもの。
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小さなコミュニティの中での事をつづっているが、正直あまりピンと来ない。日本の左翼がどう形成されていったのかの一端を見る事ができる。
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2013.2.5〜3.18
やっと読みおわった。新聞の書評をみて読もうと思ったのだが、書評の何に惹かれて読もうと思ったのだろうか...。でも、教育のあり方や扇動のされ方とかは興味深かった。 -
とても近い場所、近い時代の、
小学生だったこともあり、
大変興味深く読みました...。
勿論、
ここまでのことはありませんでしたが...。 -
自分かと思うくらいに似たような体験が綴られていて一気に読んでしまった。
著者は団地という特殊性をコミューン形成に結びつけていたようだが、
実際には全生研の影響を受けた教師が牛耳る学校はどこも同じような状況があったのではないかと思う。 -
著者が生まれ育った東京都東久留米市にある滝山団地にあった、東久留米市立第七小学校(通称「七小」)を舞台に、当時の日本の社会や政治の時代の空気に反映された、著者が「味わった」出来事を綴った本である。
当時の七小は団地に住む大人や当時の時流だった民主主義的教育を実践する教員たちの思想が如実に児童たちの行動様式に反映されていた。著者曰く、最も民主主義的な学校社会が形成されていた「滝山コミューン」であった。特に全国生活指導研究協議会の「学級集団づくり」による学級(学校)の運営が、団地という言わば閉鎖的なコミュニティと相まって、見事なまでに浸透し、「教育」と呼ばれる思想伝播が個人から集団へ、また学校全体へと波及していく様子が、学校での授業や学校行事を通じて見えてくる。
そこで見られるのが、当時のある教員から波及した「民主主義的教育」と呼ばれうる〈全体主義〉が生徒に浸透し、著者がその息苦しさに苦しむ様であった。学校の中の社会も、当然ながら学校外の社会状況や社会思想から影響を受けている。著者の個人的な体験からの主観論の部分は確かにあるけれども、学校での〈全体主義〉の浸透で、その鏡ともいえる社会でどのような思想構造があったのかも時代背景を交えて記録されている。特に公立学校は、教育基本法や学校教育法、学習指導要領、自治体の教育目標を踏まえて学校目標が設定されているが故に、教育内容も当時の社会状況とは切っても切り離せない。この点は踏まえるべきだろう。