浜村渚の計算ノート 3さつめ 水色コンパスと恋する幾何学 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062772518

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  • 数学が義務教育から外され、ドクター・ピタゴラスのせいで危険な学問ということにされてしまった世界で、ドクター・ピタゴラス率いる「黒い三角定規」に対して天才的な数学力で謎を解いて行く女子中学生・渚の活躍を描くシリーズ第3弾。
    本作ではやや難しいネタがストーリーの軸となっていて、実際図を書いて見ないと何のことやらわからないものもあったりして、文字面だけ読んでる身としてはちょっと辛かった。しかし、解決編できちんと図を使って説明されているため、なんとなくわかった気にさせられるあたり、作者の思う壺かもしれない。
    それにしても、五稜郭、過去旅行で見たことはあるが、数学的にそんなにも美しい建造物だったとは思いもよらなかった。確かに、日本国内ではかなり珍しい星型の城郭は、それだけでも見る価値はあると思うが、数学的視点を持って見るとまた違った印象を持つもののようだ。本作を読んで、函館旅行に行きたくなってしまった。

  • クレタ人の話とかは昔なんかで読んだ記憶があった。それ以外の数学はわかりません。

  • これまでの2冊に比べて、結構レベルの高い内容になってきた感じ。特に、プラトン立体迷宮のトリックは、おもしろかった。

  • クレタ島の嘘つき、この系統の問題好き。
    何回やっても、簡単な答え方が出来ないんだよね。『ラビリンス』でセアラも間違えてたよね。

    p48
    二本のハシゴがある。
    本物は一本。本物を見極めるためには、その前にいる二匹のクモに質問しなければならない。

    ・二匹のクモはどちらが本物のハシゴか知っている。
    ・一匹は絶対に本当のことしか言わない正直グモ
     もう一匹は絶対に嘘しか言わない嘘つきグモ
     でも見た目はそっくり
    ・質問は一回だけ、許される

    私の回答。
    クモAに、「もう一匹のクモは、このハシゴを本物か偽物どちらだと言うか?」

    回答のパターンは4つ
    クモA クモB ハシゴ
    正直  嘘つき 本物
    →クモBは「偽物」と言う

    クモA クモB ハシゴ
    正直  嘘つき 偽物
    →クモB「本物」と言う

    クモA クモB ハシゴ
    嘘つき 正直  本物
    →クモB「偽物」と言う

    クモA クモB ハシゴ
    嘘つき 正直  偽物
    →クモB「本物」と言う

    だから、偽物、って言われたら、そのハシゴは本物。
    本物って言われたら、もう一本が本当の本物なので、そのハシゴは偽物。


    でもこれ二段階だからややこしいなあと思っていたら。
    →「嘘の嘘」は、「本当」だから、嘘つきグモに、2回嘘をつかせるべし。
    →「もし『こちらのハシゴが本物か』と尋ねたら、あなたは『はい』と答えますか」

    ハシゴ 話しかけたクモ
    本物  正直
    →はい、と答える。

    ハシゴ 話しかけたクモ
    本物  嘘つき
    →いいえ、と答える。

    ハシゴ 話しかけたクモ
    偽物  正直
    →いいえ、と答える。

    ハシゴ 話しかけたクモ
    偽物  嘘つき
    →はい、と答える。

    →一本のハシゴを指しながら質問して、「はい」ならそのハシゴ、「いいえ」ならもう一本のハシゴを使う。
    さすが、こちらの方がシンプル。



    サイン、コサイン、タンジェント。
    これ暗記するのにすごい苦労したんだ……算数の時代から、仲良しでないんだもの。
    今でも、はじきの法則(日常でも出番たくさん)と、このサインコサイン(日常では使わないね)の覚え方を教えてくれた先生はすごいと思ってる。
    サインコサインはこじつけだったけど、苦手な生徒にとっては、覚えられればいいわけだから。
    筆記体で、割る辺と割られる辺を、それぞれ頭文字で結びつけてくれたのですよ。

    ついでにはじきの法則。
    速さの計算まではどうにか記憶から掘り出せても、じゃあ時間は……ってなると、途端に頭が働かなくなるくらいなので、はじき=おはじき、の形。で教えてくれた先生は、覚えやすさってものをよくわかってたなあ。

    で、青柳さん素晴らしい!
    セチを取り巻く三角関係で説明しているのが、とてもわかりやすい!
    しかもサイトウくんとコスダくんって、まさにサインとコサインじゃん。

  • 副題は水色コンパスと恋する幾何学~渚は千葉の中学2年生。今日も学校終わりに警視庁黒い三角定規・特別対策本部に呼ばれた。皆藤ちなみが残したUSBを挿すとウイルスが起動し,警視庁のシステムが破壊される。それを食い止める方法は,数学の問題を解いて迷宮を抜け出すのみ。学習ソフトを使って数学を学んだ者は操作される危険が強い。算数・数学を学んでいなくても好きな人間を捜すしかなかったのだ。幕張の女性だけのITベンチャー企業の社長が謎のメッセージを残して失踪した。黒い三角定規が携帯に載せて人を操る電波への対策法を練れる自殺した技術者が接触していた。メッセージは三角関数らしい。千葉の貸しコテージで見つかった。皆藤ちなみが函館に地縁があると聞いて,北海道新幹線に乗った渚と武藤は隣り合わせた夫人が持つミステリーの謎解きを行う。プラトンの正多面体5つをモチーフにした家で起きた事件の真相は突き止めた。函館に着くと数学教室で学んだ3人の弟子のアパートが爆弾テロに遭い,霧雨リチャードソンが人工酸性雨を降らせると脅迫している。函館山かと警告するが,犯行場所は五稜郭タワー。皆藤も投降して警察の説得が重ねられる。渚の言葉が協力者の胸を打つ~さらっと流しているが,解説にあるとおりディープな内容。ギャップが大きい。1・2も2.5も機会があったら読もう

  • 数学ミステリー三冊目!!今回は幾何学の内容が中心的で、特にトポロジーの部分は面白かった!五稜郭見に行きたいな~

  • 今回の数学問題は特に難しかった気がする。
    完全文系な自分にはちんぷんかんぷん。解説されても理解できていません。。でもだからこそ面白い。

    エピメニデスの「クレタ人は嘘つきだと、クレタ人は言った」といった話は論理的な話だから文系の自分もすごく楽しめた。
    ・アキレスと亀も面白い。誰かに話したい。
    亀にいくらかハンデつけて追いかける形で競争を始めたら、絶対に追いつけない。同時にスタートして、後ろから来たアキレスが亀のスタート位置にたどり着いたとき、亀はほんの少し、前に進んでいる。この時点では亀に追いついていない。そして、そのときの亀の位置にアキレスがたどり着いたとき、また亀はほんの少し、前に進んでいる。これが永遠に続く。
     これの解決が「無限等比級数」っていう意味不明な言葉なのも興味深い!

    ・嘘つきグモと正直グモ
    「二匹のクモはどちらが本物のハシゴか知っている。一匹は本当のことしか言わない正直グモ、もう一方は絶対に嘘しか言わない嘘つきグモだが、見た目が似ているのでどちらがどちらか分からない。どちらか一匹のクモに一つだけ、質問をすることができる。その質問だけで、どちらのハシゴが本物か当てよ」
    の答えが「もし『こちらのハシゴが本物か』と尋ねたら、あなたは『はい』と答えますか?」ってのも盲点。本物だったらどちらも「はい」で、偽物だったら「いいえ」と返ってくるとか・・・考えた人天才か!!
    ・ある村には一軒の床屋があり、そこの店主の男はこんなことを言った。『私は、この村の、全ての自分でヒゲを剃らない男のヒゲを専門的に剃ることにする』という床屋自身のヒゲは誰が剃るのかというパラドックス。

    ・そろそろ武藤さんの経歴についてほのめかしてもいいのではないか!
    武藤さんに好きな人がいるか聞かれた渚が可愛すぎる。ほんと兄妹みたいだなー。

    渚が涙を流して斐三郎に思いをはせるシーンはちょっと感動した。

  • 浜村渚の計算ノート3さつ目。
    「クレタ島・嘘つき迷宮」黒いUSBに入っていたウィルス。えぴめにDeth。
    「アイシテルの正弦」黒い三角定規のカードを残し失踪した女社長。
    「「プラトン立体城」殺人事件」霧雨リチャードソンを追って函館へ向かう渚と武藤。その途中の電車の中。
    「武田斐三郎の街で」函館でキューティーオイラーの投降後、霧雨を追い詰める。
    「マダム・エミーの部屋」電波を無効化されたが、チャイムが同様の効果を持つ
    の5編。

    三角関数などが出てきて数学的には難しいです。分かれば、もう少し楽しめたと思います。
    天地明察で出てきた関孝和が出てきたのが面白かったです。

  • 内容はともかく、数学好きにはあきのこない、楽しい本です。小学生でも楽しめる所が良い。数学マニアには少しものたりないかな?物足りなさでついつい次の巻に期待をしてまた読んでしまう(*^^*)

  • 数学の本。まぁまぁ

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著者プロフィール

1980年千葉県生まれ。2009年『浜村渚の計算ノート』で第三回講談社birth小説部門を受賞しデビュー。「ブタカン」「西川麻子」「猫河原家の人びと」などシリーズ多数。2019年刊行の『むかしむかしあるところに、死体がありました。』が各ミステリーランキングや書店年間ランキングにランクインし、本屋大賞にもノミネートされた。

「2023年 『あかがみんは脱出できない(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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