今こそアーレントを読み直す (講談社現代新書)

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  • 講談社
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感想 : 91
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062879965

感想・レビュー・書評

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  • 政治にわかりやすさを求めることの警告。
    インターネット上の発言の公共性と責任のあり方。
    パラ読み。
    読みなおしたい。

  • 分かりやすさを疑う

  • わかりやすい解説本。アーレントは重要な思想家だと思う。

  • ずっと気になっていた哲学者の本をやっと読めたと思いきや、ワケが分からない内容でなんかふにゃふにゃしていたそんな時に手に取った本。

    -『イェルサレムのアイヒマン』
    -「政治」はHR的であるのが最良
    -人間はその政治によってアイデンティティが構築される
    -匿名のおしゃべりに公共性はない、自らの発言に対して責任を持つことで初めて公共性が形成される
    -政治を安定させ、各人が自由に活動できるようにするには、主権者である“人民の意志”は長期にわたってほぼ同じ方向を向いているはず
    -「活動」と「観想」はペア

    この本は当たりだ。
    再読すべき。

  • [第1刷]2009年5月20日
    わかりにくいアーレントの思想が、こんなにわかりやすく解説されるとは驚きでした。ただ、筆者の文章は、読みにくさと読みやすさが同居し、慣れるまで少々読み疲れしましたが・・・・
    本書により、アーレントの思考が多少なりともわかったので、何度も挫折した「人間の条件」を読み進められそうです。
    現在の政治には(特に民主党政治)には、アーレント的な感覚が必要ですね。

  • 理解力が無いせいか、斜め読みをして、内容がつかめてないけれど、後書きを読んでると、このまま読み捨てるのがもったいない気がしてきた。

  • 2010/01/19 購入
    2010/02/23 読了 ★★★★
    2024/04/09 読了 ★★★★★

  • アーレントのいう「政治」にリアリティはあるんだろうか?
    確かに、利害関係を権力というメディアによって調整するのが政治だとしてしまうと、政治という人間らしいといわれる営みから人間らしさとか自由意志とかそういったものが抜け落ちていくのかもしれない。とはいえ、アーレントの「政治」を成り立たせるものが、会話を中心とした「活動」にあるのだとすると、それはコミュニケーションシステムであり、そこにはある種の利害関係の力学が既に働いてしまうんじゃないだろうか。Public/Privateに分離して、利害にかかわるところをPrivateに押し込んだとしたら、Publicにはいったい何が残るんだろうか。...という感覚自体が、違うんだろうなぁ。

    利害関係や権力関係を前提としていると「考えなくなる」っていうのは、そのとおりかもしれない。いや、「考えているつもり」にはなる。それは、そのルールを覚えることであり、ルールをうまく運用できるか、それが、考えることになってしまう。そうではなくて、「考える」ってことは、そもそもそれらのルールがなぜあるのか、それは善いことなのか、ということを考えることなんだろう。そういった意味では、Publicでの議論内容はわからなくもない。
    でも、そこにリアリティはあるんだろうか?
    どうしたらリアリティのある議論ができるんだろうか?

  •  今までいろいろ電車やバスの中でちょくちょく読んでいたものの一冊が、仲正昌樹(2009)『今こそアーレントを読み直す』(講談社[講談社現代新書1996])。仲正の本だったので買ってみた。
     「分かりやすい」言説を、一定の固定されたステレオタイプな見方へ誘導するものとして斥ける著者が、ハンナ=アーレント(Hannah Arendt)の思想を半ば現代日本の政治問題や社会問題に引きつけながら概説した本。だが、実際は「アーレントの思想を概説」しながら現代日本の政治問題や社会問題をめぐる言説(秋葉原事件や「年越し派遣村」や「格差社会」など)を仲正流にぶった切っているものといっていいだろう。内容はあくまで<新書>に徹している。
     一番興味を持てたのは、「第四章 「傍観者」ではダメなのか?」の、「カント政治哲学講義」に関する内容。強引に言うと、アーレントはカントの『判断力批判』の判断力の成立基盤としての共通感覚の議論を敷衍しながら、人間は外界や過去から自分自身にもたらされたものを参照にしながら、他者の視点(と自身が思っているもの)を自分に取り込むこと(この働きが「拡大された心性(enlarged mentality)」)で自己の視野を拡大して他者との調和をしつつ、未来への行動のために現在において決断をする。
     この他者の視点を取り入れて行こうとする姿勢で「政治」への「複数性(plurality)」の視座が開けてくるとされる。アーレントの「政治」は、ただ経済的利益・経済的な視点のために活動するものではなく、且つただ唯一の理想の(救済のための)世界観を掲げていくものではない(アーレントの言う「政治」は我々が日常的に使う「政治」と意味が全く異なる)。「複数性」の確保のために、各個人が自由にコミュニケーションできる「公的空間」とそれを支える「私的領域」を備えることが求められると仲正は言う。
     この<カント‐アーレント>を繋いだ仲正の議論が面白かった。

  • 自分の意見をもった者同士の討議。

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著者プロフィール

哲学者、金沢大学法学類教授。
1963年、広島県呉市に生まれる。東京大学大学院総合文化研究科地域文化専攻研究博士課程修了(学術博士)。専門は、法哲学、政治思想史、ドイツ文学。難解な哲学害を分かりやすく読み解くことに定評がある。
著書に、『危機の詩学─へルダリン、存在と言語』(作品社)、『歴史と正義』(御 茶の水書房)、『今こそア ーレントを読み直す』(講談社現代新書)、『集中講義! 日本の現代思想』(N‌H‌K出版)、『ヘーゲルを越えるヘーゲル』(講談社現代新書)など多数。
訳書に、ハンナ・アーレント『完訳 カント政治哲学講義録』(明月堂書店)など多数。

「2021年 『哲学JAM[白版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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