誰も教えてくれない人を動かす文章術 (講談社現代新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062880831

感想・レビュー・書評

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  • 『文章を書くのに必要なのは「文章力」や「国語力」ではない。何より必要なのは「意味」をつかみ取る力。』そうなんだ、目から鱗の気分。ついつい文系なので、文学系センスを重視していました。そういうのはプロに任すべきことなのね。

  • もう一度読み直します

  • プロローグ 人を動かす書く技術

    第1章 「書く」ことで生活が劇的にチェンジする―エッセイからはじめる書く技術

    第2章 まずゴールを決める―「書く」ことで世界観がガラリと変化する

    第3章 ビジネスの文書力―稟議書・報告書・企画書・始末書・謝罪文の書き方

    第4章 学生のための文章術―感想文・小論文・自己アピール文の書き方

    第5章 メールは余力を残すな―おトク感を演出できる最高のツール

    第6章 評価されるワンランク上の文章力―視点の身につけ方、読書力、文章の思考法


    .他者の文脈をつなぐ訓練をする
     私が勧める一番簡単な訓練法は、大学の先生やテレビニュースの解説者のまとまった話をメモを取りながら聞き、その後でそれを文章にまとめるという作業です。
     これは、発見や新しい認識はとりあえず置いておいて、一定量のまとまった文章を書くという作業です。言い換えれぱ、発見や認識は話してくれる先生や解説者のものを拝借するのです。(中略)

    ものを書くときの「考える」作業には二通りあります。一つは発見、認識を「思いつく」という部分。そしてもう一つが、「文脈をつなげる」という部分です。今紹介した方法は、後者を鍛える手軽な訓練法なのです。


    凡庸さを打ち破るには、別の言葉で言い換える
     もしもあなたが「結論ではチームワークの大切さを説きたい」と考えているとします。だったら「チームワークが大切だと思いました」を、別の言い方にするのです。
     そのときの一つのコツは、別のキーワードを入れ込むこと。すると凡庸だったものがちよっと変わってきます。
     まずは「チームワークの大切さ」を「別の言葉」で言い換えてみてください。ここでの主眼は凡庸さを解体することにあります。「チームワーク」という手垢にまみれた概念を、別の言葉に置き換えていくのです。


    独自の視点を見つけるには「共通点」と「差異」に注目する
     独自の視点の見つけ方は二通りあります。「異質であると思われる二つのものの間にある共通点を見つけること」と、「同質であると思われている複数のものの間に差異を見つけること」です。
    「僕にとってはこれとこれがつながっている」とか「これとこれは似ているけれど、実はここが違う」という見方は、あなた独自の視点です。それさえ盛り込めれぱ、文章は完成したも同然です。


    .稟議書にはフォーマットに"パッション"を盛り込む
    稟議書のような形式的な文書は、フォーマットを重視することも大切ですが、こうした「理由」の部分などには、思いっきり燃える、熱い魂をぶっけたほうが効果的です。
     最初から「魂」ばかりを表現した作文調で購入のお願いをすると、「いったい何をしたいんだか、かいもく見当もつかん」と読み手に思われてしまいます。フォーマットは重視してポイントを押さえつつ、「理由」を書く部分では、熱い"パッション"を上手に盛り込んでほしいものです。



    .読書感想文は「上から目線」と「生意気さ」で
    「ここが面白いと思いました」というひれ伏した感じではなく、「この言葉が私をインスパイアしてくれました」という感じを出すのです。いや、もっと偉そうに「この私をここまでその気にさせてくれた。それだけに、この物語はなかなか大したものだ」とあくまで「上から目線」の姿勢で臨みましょう。(中略)

    「生意気さ」というものは意外に重要なのです。「好きだ」という感情があって、その上で「生意気さ」というものが必要なのです。ドストエフスキーが大好きで、その上で生意気な感想を自由に述べる。そういう距離感が最高です。



    小論文では思いっきり「引用」する
     例えばフランスの哲学者ミシェル・フーコーや、最近は『超訳ニーチェの言葉』でも有名なニーチェのような存在を太陽として利用し、あなた自身は月のように光ればいい。つまり「引用」するのです。
     例えばニーチェの場合なら、ニーチェが確立したルサンチマンの概念や、、代表的著作『ツァラトゥストラはかく語りき』の中の一文を引っ張り出し、「この現代社会の閉塞状況を打ち破るためには、まさにニーチェの言うこの言葉が答えになっているのではないか」などと、思い切り人のふんどしで相撲をとりまくるのです。


    自己アピール文では「人生の断面図」を見せる
    自己アピール文ではあなたの"断面図"を見せないといけないのです。ところが「自分自身について書け」と言われると、何かふわふわした全体像を書こうとしてしまいます。それでは、あなた自身というものを、なんとなくしか伝えることができません。
     ある出来事を切りロに、そこからザバッと切ってあなたの人生の断面図を見せるのです。すべてを語ることはできません。一つの断面であっても、そこに自分の人間性やパッションが表れている、そんな切りロを探し出すのが、コツです。自分がその企業で何をしたいのかを説明するのにも、過去のトラブルや苦難、自分が行き詰まったときの経験を語ることで、その困難にどうアプローチし乗り越えたのかを絡めるのです。


    .上司からのメールには「よろこんで!」と返事をする
     本当はへとへとに疲れていて、あなたの本音は「もう、マジめんどくさいんですけど」なのかもしれません。上司と対面していたり電話で話したりしているときには、その態度が隠しても隠しきれないものです。しかしメールでは、いくらでも「よろこんで!」と書くことができる。そういう身体性が読み取られないというのは、メールでゃりとりするメリットでもあります。

    どうせ誰かがやらなけれぱならない仕事なら「よろこんで!」と言って引き受けたほうが絶対にいい。出世したいのならば、上司からのメールには、もう反射的に「よろこんで!精神」で返すべきで、もはやメール上の口癖にしてもいいくらいです。

    頭の画像のように、本書は付箋を貼りまくっていたため、ポイント部分で引用する部分を書き出していったら、厳選したつもりがつい10個も挙げてしまっていました(泣く泣く割愛しましたが)。

    そもそも第3章と第4章は、中でそれぞれ異なる文章を扱っているため、本来ならば少なくともその種類ごとに1つくらいはご紹介したかったところ。

    一方で、第1章では文章を書くことによって開発される「気づく力」「発見する力」について、第2章では、「具体的な文章の書き方」について触れられており、やはり「目からウロコ」のお話がいくつもありました。

    特に、第2章で提言されている「一行も書いてない段階で、結論となる文章を決めてしまう」というやり方は、個人的に試してみたいくらいです。

    ……このブログでやると崩壊しそうですがw


    ◆また、第4章で思いのほかページを割いて解説されていたのが、読書感想文や小論文の書き方。

    いずれも本からの「引用」がキモになっており、読書感想文の方では、「気の利いたセリフを核に構成する書き方」を。

    小論文の方では、上記ポイントで挙げたように、「意表を突く作品からの一文を引用する書き方」などが紹介されていました。

    実際に斎藤先生は、学生たちに『論語』や『徒然草』のからのフレーズを組み込んだ上で、自分自身のエピソードと絡めてエッセイを書かせたりしたのだそう。

    確かに、何も知らない人がそのエッセイを読んだら、「よくここで『論語』を引用できるな」となります罠w


    ◆さらに第5章では丸々1章をかけて「メール術」を展開しており、これがまた意外に濃厚。

    それまでのロジカルなお話に比べると、若干「ウエット」と言いますか、そんなことまで意識されていたのか、とビックリしました。

    例えば仕事の依頼をメールで受けて、断りの返事を電話で返せば
    「いやー、引き受けたいのはやまやまなんですが、実は今いっぱいいっぱいで。ええ、あれこれ抱えちゃってまして。えぇ。本当はやらせてもらいたいんですけど、また今度お願いできませんか」
    となるところを、メールで同じ内容を普通に返すと
    「申し訳ありません。今いろいろな仕事を抱えていてどうしてもできません。また次の機会にお願いします」
    となるわけですよ(本書の例より)。

    テラあっさりし杉www

    そうならないためにどういう工夫をすべきか、というのは、本書でご確認を。

    ちなみに斎藤先生の事務所の仕事のうち、半分以上のエネルギーは、「どうやって関係性を維持しつつ打診を断るか」にかけられているのだそう。

    私もご本の紹介依頼のお断りメールを結構書くのですが、気分は「土下座状態」ですから、お気持ちはよくわかります。


    ◆斎藤先生は非常に多作な著者さんなので、スルーすることも多いのですが(ヲイw)、本書は「当たり」でした。

    なお、念のために申しあげておきますが、本書を読んでも「流れるような文章」「キレイな文章」が書けるわけではないので、あしからず。

    本書の目指すのは、タイトル通り「人を動かすことができる」文章であり、それこそが、私たちビジネスパーソンが必要とするものではないか、と。

  • 「カンタン確実書く技術」決定版
    企画書・稟議書・謝罪文・始末書から
    小論文・就活の自己アピール文・
    伝わるメールの書き方まで具体的に紹介。

    【著者からのメッセージ】
    単なる記録や報告ではない、人を動かす力を持つ言葉。
    そうした力のある言葉は、書き言葉の修練を通じて獲得されます。もちろん深い人生経験があれば、
    そこから滲み出てくる言葉には重みがあります。しかし、私たちは深い人生経験を持っているとは限りません。
    人の心を動かし、現実を動かす書く力を身につけようと意志を持つことで、「言葉の力」に目覚めるのです。
    この本では、様々な局面で求められている文章力を、できるだけ実例を示しつつ、明らかにしたいと思っています。
    求められているのは「実用的」文章力ですが、その「実用的」というのは、本質的には「人を動かす」という意味なのです。
    ポイントは、文が「上手いか、下手か」にあるのではなく、「人を動かすか、否か」にあるのです。

  • 既に他の著作でも述べられている内容。大学生向けの入門用文章術の感あり。

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著者プロフィール

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。教育学、身体論、コミュニケーション論を専門とする。2001年刊行の『声に出して読みたい日本語』が、シリーズ260万部のベストセラーとなる。その他著書に、『質問力』『段取り力』『コメント力』『齋藤孝の速読塾』『齋藤孝の企画塾』『やる気も成績も必ず上がる家庭勉強法』『恥をかかないスピーチ力』『思考を鍛えるメモ力』『超速読力』『頭がよくなる! 要約力』『新聞力』『こども「学問のすすめ」』『定義』等がある。

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