独立国家のつくりかた (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
3.92
  • (277)
  • (287)
  • (179)
  • (57)
  • (17)
本棚登録 : 2733
感想 : 345
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062881555

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 社会という匿名レイヤーと迎合せず、
    自己レイヤーを研鑽し、バランスをとって「生きて」いく。

    「生きる」芸術家の思考技術を記録し贈与した作品。

    プラトン、カント、サルトル、
    レヴィ=ストロース、デリタ、
    コンセプチュアルアート、デュシャンなどの
    様々な思想の香りも感じた書籍だった。

  • 断定することは大事。そこで責任を取ることで、失敗したかどうかがはっきりする。

  • 路上生活者が体現する世界の在り方を称賛しながら、一方で路上生活者がいること自体が生存権が守られておらず憲法違反だと主張している。こんな感じの細かいロジカルのズレを気にせず読み進められれば、著者の世界の捉え方・動かし方に新鮮さを感じ、自分の暮らし方を見つめ直すきっかけになるような内容。私はとりあえず中古キャンピングカーの値段を検索し、なんだどこでも生きられるじゃないかとだけ思い、安心して元の日常に戻った。

  • 独立国家のつくりかた
    坂口恭平が述べることの多くは、価値観のシフトに関するものだ。
    だから、率直に言うと僕が彼の著作を最初に読んだ感想は
    「それは単なる言葉遊びだ。本当に悩んでいる人間をこうした言葉で煙に巻くのは不誠実だ。」というものだった。
    だが、前段は今でも変わらないが、後段については後に認識を改めた。
    少なくとも彼は、世界に対する疑問を持ちながらオルタナティブに生きてるクリエーターであり、躁鬱病の当事者である。そうした意味で、彼がしているのは誠実な言葉遊びである。
    それは確かに多くの気づきを与えてくれる

    ボラティリティと摩擦への敏感さ
    例えば、坂口は「ギターを持って路上で弾き語りをしたら1日で1万円稼げた。これで僕は一生飢え死にしない。」という。
    それに対して「そんなボラティリティが高い生き方はいかん。稼げなくなったらどうする。」と水を差すのが大人だ。このリスク回避的姿勢は人間の本能に根ざしたものなので馬鹿にするべきではない。だが、会社勤めでもボラティリティからは解放されない。また、ボラティリティ回避のための解雇規制ゆえの矛盾で疲弊する人もいる。
    ボラティリティと摩擦による疲弊に対する感度が人によって異なる。他者の感度とそれゆえに構築された制度や仕組みの体系がある。これもまた著者の言う「レイヤー」の一つだろう。

    キーワード
    ホームレスのダンボールハウスは「寝室」にすぎない
    別のレイヤーに気づかないと、その実態がわからない。
    法律も多層的だ。
    生活費がゼロになれば労働に縛られることはない。自分で人生を選ぶことができる。
    私人が土地を所有することは適当なのか、家賃を取るとしてももっとパブリックな主体であるべきではないか。
    常識とは文句を言われないようにするおまじない。考える事をやめさせる。
    基礎を打つと面積がはっきりする。登記と課税の基準になる。法隆寺には基礎がない。
    社会を変える=他人の領域を侵すことではなく、レイヤーを広げる

  • 相変わらずやばい!笑 僕も「モバイル茶室」ほしくなってきた。作ってもらおうかな。

  • 第一章はホームレスの話。
    第二章は土地の話。
    第三章は態度経済の話。(筆者の半生)
    第四章は躁鬱病の話。(筆者の半生)

    態度経済なる考え方や筆者の行動は面白いのだが、
    あれ?独立国家ってそういうことなのね。
    タイトル詐欺というか、誇大広告な感じが残念。

  • ちょっと違ったものの見方ができるようになる

  • ゼロ円で生活できる社会を目指して新政府を作ったお話。
    荒唐無稽というわけではなくて、「新政府」というのも概念上の呼び名なので危ない人というわけではなかった。
    既存の匿名のレイヤー(価値観)にとらわれすぎず、それぞれが名前を出して多様なレイヤー(価値観)で活動していけば良いというスタンス。
    実際の活動はとても面白い。

  • 本当は星5をつけたいくらいの創造性に富んだ坂口氏のセンセーショナルな本。
    すべての人がひとしく彼の理想を共有せず、書き口が平易ということから上辺だけの批判が予想される(特に年配の方々から)。
    賛否はおいておいて、閉塞感を持つ若者たちは読むとすっきりすることうけあいである。

    私は生死を間近に感じる環境になく、彼の言うような追いつめられて考え始める、というステップを経ずに思考をしている人間であるから、追いつめられていない人間は考えていないのだ、と勝手に否定されている気分になったが、表に出すか出さないかの違いがここにあると思った。

    作者の10年後が楽しみな1作。

  • 「意識生活者』という言葉が気になった。この無意識のシステムの中で目覚めることが創造なのだと。

著者プロフィール

1978年、熊本県生まれ。料理家、作家、建築家、音楽家、画家。2001年、
早稲田大学理工学部建築学科卒業。2004年、路上生活者の住居を収めた写真
集『0円ハウス』を刊行。2008年、それを元にした『TOKYO 0円ハウス 0円生
活』で文筆家デビュー。2014年『徘徊タクシー』で三島由紀夫賞候補、『幻
年時代』で第35回熊日出版文化賞、2016年『家族の哲学』で第57回熊日文学
賞を受賞。著書に『cook』『自分の薬をつくる』『お金の学校』『ゼロから
始める都市型狩猟採集生活』『現実宿り』『よみぐすり』など。

「2022年 『中学生のためのテストの段取り講座』 で使われていた紹介文から引用しています。」

坂口恭平の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
サン=テグジュペ...
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×