- Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062881685
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
現在の日本には,原発や秘密保護法反対デモに参加する多くの市民がおり,デモをテロと断じる政治家がいる。直接民主制と間接民主制の奇妙なねじれ。デモで社会が変わるのか。社会を変えるとはどういうことなのか。社会を変えるにはどうしたらいいのか。歴史的・社会的・思想的に考え,一歩を踏み出すことの意味を問う。
*推薦者(国教)K.M.
*所蔵情報
http://opac.lib.utsunomiya-u.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB00321215&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB -
議会制民主主義の枠内に抑えこまれて死にかけている民主主義をゆたかに解き放とうという論旨に読めた。
変化してる社会だから、いろいろ案外うまく変えていけるんじゃないの?って感じの楽観論も心地よく。 -
すっきりした。
-
社会を変えるにはというタイトルだが、主にはデモの意義について。
デモなどの抗議や主張をする活動の正当性、危うさ、そしてその現実について丁寧に記述してある。
デモが主題なので、連合赤軍の話とか、やはりリベラル・左翼側の話が多く、それ一辺倒なので少し途中で疲れてくる。世の中ってそんなだったっけと。
これがリベラルの教科書となるようだと、リベラルはやはり厳しいなと思った。 -
非常に沢山の情報が詰まっており、歴史的な縦の流れと、地域などの横への流れを、何度も読み返して最後に辿り着くのに時間がかかった。
しかし、社会を変える事は、諦めてはいけないと誓い直す良い機会となった。 -
「自由というのは、何らかの足場がないと、たんなる不安定に転じます」
社会を変えるにはデモをしましょうという内容だと思います、多分。
ちょっと中身が濃く、量が多すぎて読み切れませんでした。
なんでデモかというと、デモをして意志を表現することもまぁ大切なんですが、それより自発的に政治に参加するという点らしいです。
私たちは投票という形で政治に参加できますが、盛り上がって投票することはありません。少しは日本のこれからを考えはしますけど、投票行為は祭りではありません。
そこで著者は、政治参加には皆で集まってワイワイ話すという盛り上がりが必要と言っています、多分。
民主主義という制度は皆で盛り上がれる場が必要ということで、宮台真司が中間共同体と、鈴木寛が熟議の場と言ってるやつと似ているかもしれません。
デモなんてと、遠目で滑稽に見てましたがそんな機能があったのかと勉強になりました。 -
昨年夏に刊行され、2013新書大賞第1位になった…
ボクにとっては『日本という国』『〈民主〉と〈愛国〉』につぐ
3冊目の著者の本だ。本書の趣旨を著者はこう書く…
-いま日本でおきていることがどういうことなのか。
社会を変えるというのはどういうことなのか。
歴史的、社会構造的、あるいは思想的に
考えてみようというのが、本書全体の趣旨です。
日本の現状を原発問題を軸に概観したあと、
社会運動の変遷をたどり、民主主義の始原をながめ、
古代ギリシャ思想、近代政治哲学、現代思想をひきながら
論考をすすめる…新書ではあるけれど500頁を超える…
ただ、おそらく著者は読者を想定し、読みやすい書き方に
しているせいもあるだろう…一気に読めた。
いろいろと学ぶことは多かったけれど、著者の思いは、
要は次の一文にあるように感じた。
-「デモの意味」については、私はこう考えます。
まず参加者が楽しい。こういうことを考えているのは
自分だけではない、という感覚がもてる。
高杉晋作の辞世の句(下句は野村望東尼)を思い出した…
面白く無き世を面白く 住み成す者は心為り -
原発問題、日本や世界の社会運動、人々の考え方、運動のノウハウなど多岐にわたり書かれている。
現象学、相手が変わったことでわかってもらえたと気づく。
これからの日本は普通の先進国になる。
われわれは右でも左でもない、前だというドイツの活動。
愛の反対は憎しみではなく無関心。
活動をするにあたっては、自分が楽しむことが大切というのは非常に良くわかる。 -
日本の近現代の社会構造の分析は、説得力に富んで、注目に値するが、その後の、西洋哲学の記述した部分は疑問に思う。なぜなら、単純化されていて、概説に終わっているからだ。単純化ほど危険なものはない。
後部の結論は、肯定できる。単なる「デモ」の肯定によって、社会を変える唯一の手段としていないからだ。人間のあらゆる営みが、枯渇しないことをもって、「社会を変える」のに、有効な指標としているところが、評価できると思った。