- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062881845
作品紹介・あらすじ
中国の政策決定過程を深く知る財務官僚が習近平政権の経済を徹底分析。関係が緊張するなか、日本は最大の貿易相手国とどのように付き合っていくべきか。そのヒントを示す。
感想・レビュー・書評
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さすが4年間中国の日本大使館で経済レポートを書いていただけあり。冷静な目での分析がされています。前半のこの3月の全人代の人事にいたってはほぼ的中!恐れ入ります。著書でも書かれてますが、とかく中国バッシングや中国崩壊の内容だと本が売れるのでそういった傾向の本が多い中、冷静な目で分析と判断が必要なのでは、大変勉強になります。
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2012年出版。中国共産党の経済政策に関する構造的な話を期待したが、思ったよりも時事的な話が多く話題が古い印象。
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リーマン・ショック以後習近平成立時までの経済政策をまとめた本。政治体制や政府内経済主管庁などを丁寧に紹介してくれており、中国経済の置かれた状況だけでなく、中央地方関係など政治体制の面での経済政策などもカバーされており読むに値する。本書後半で、著者の10年先の簡単な予測も試みており、巷で言われるような人口減少などがもたらすインパクトは10年以上先だとして、習近平の2期は中国経済は引きつづき力強さを持ち続けるとした論点は圧巻。
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GDP2位になった中国の経済発展はいつまで続くのか?習近平政権が2022年まで続く中で、米国を抜いて1位になる可能性も指摘する。なぜなら中国は全体では2位であっても、一人当たりGDPではまだ世界でも89位(2010年)と下位に過ぎなく、発展途上国の顔も持っている国であるとのこと。アンバランスさは、またこの国の奥深さを感じる。従って、成長余力に富み、高度成長期の日本とは異なるとのこと。貧富の差の大きさを表すジニ係数がなんと日本、米国よりも大きい!という事実は驚き。社会的な不平等は危機的な水準に達している。一方、共産党政権下で意思決定の速さ、一貫ぶりが中国の強みであることもこの著書を読む中で痛感する。その中心になる官庁が「国家発展改革委員会」略称・発改委とのこと。今後、中国の経済動向は目が離せない。
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本書を読んで、「中国」はもはや内部が見えない謎の国ではなくなったと思えた。
中国は「社会主義市場経済」という「特色ある社会主義」をかかげ、「共産党一頭支配」という日本から見ても異質な政治体制をとっているが、かつては見えなかったその内容がすでに既知のものとなり、研究されつつあることが本書でよくわかる。
「政経一体システム」という中国独特の体制は、今までの世界の歴史の中で、ほかにあったのだろうか。
本書では「中国の政経一体システムの最大の強みはスピードと実行力にある」とし、「激しい混乱が発生する経済危機への対応において特に効果を発揮した」という。
確かに2008年のリーマン危機以来の経済危機への機動的対応などを読むと、実に素早くかつダイナミックである。
また、「共産党」と「政府」との関係や「党のヒエラルヒー」の構造には「政治体制としての安定性と競争的な人材育生システムを両立する手法を、独自のスタイルで確立しているのが中国式」であるという。
これを読んで思わず「日本の政治」と比較してしまった。「財政」や「年金」、「政府」と「国会」、「選挙制度」などに多くの問題点を抱えながら、一向に改革が進まない日本。「2世議員」ばかりで劣化しているとしか思えない日本の「政治家」。
民主主義が確立されている日本は、政治体制として一党独裁の中国よりも優れているはずではなかったのかと、自問してしまった。
本書で、明らかにされている中国の「政経一体システム」は、すくなくとも危機対応において日本よりも優れているようにさえ思えた。
「国家指導者人事」で中国の政治体制を考察し、「経済政策」で中国の経済を明らかにしているが、GDPの比較として「2017年時点で米国は約19.7兆ドル、中国は20.3兆ドルとなり米中逆転がおこる」という。
日本は既にGDPで中国に抜かれているが、数年後には、日本は、ますます巨大になる中国と対峙しなくてはならないのかと、暗鬱とした思いで本書を読んだ。
本書では「日本は中国なしではやっていけないし、中国も日本なしではやっていけない構造になっている」とはいうものの、戦略的対応については「三国志」の国である中国の方がはるかに優れているように思える。
どうも、本書で予想される今後の世界は日本にとって楽観を許されない世界になるようだ。
本書は、中国の現状をよく知ることができる良書であるが、その内容は決して甘いものではない。
しかし、中国をよく知る日本人はみな「親中派」になるように思えるが、そうならざるを得ないということなのだろうか。
日本は、好き嫌いは別として中国と共に生きていかなければならないのだろうとは思うが、未来は苦難の道となりそうであると思えた。 -
中国経済は根拠のない脅威論あるいは悲観論が跋扈しやすいですが、この本に関しては、ひたすら定点的に公平に中国経済を紹介している好著です
新書というのは、えてして一般向けの適当な内容が多いですが、この本に関しては全然そういう事はなく、実績と経験、データの読み込みに担保されています -
温さんはその柔和な印象や四川大地震などの震災時に率先してリーダーシップをとったため、中国国内でも特に庶民から人気が高かった。日本の震災地も訪問してくれた。
中国が拘る成長の質とは、投資と輸出に角に依存した経済成長パターンを転換し、内需、消費を成長エンジンとして経済の効率性と産業の国際競争力を向上させて経済成長の持続可能性を高めること。
中国はいまだに大都市でも清潔で品揃え豊富な店を見つけることは難しい。
中国ではまだジャスミン革命のような革命は難しいのではないだろうか。政府が強すぎる。
完成されたシステムからいかにして自分が恩恵を受けるかしか考えていない。 -
いたずらに政治の動きや権力闘争などに影響されることなく、金融・経済の諸現象から中国のこれまで、現在、そしてこれからを見通した書。多くの中国ウォッチャーの中国モノと異なり、経済現象に注目して眺めると、こんな風に見えるのかという驚きがあります。確かに、中国は経済だけで括れるほど一筋縄ではいかないという見方もできますが、このようにデータをあげて語られると説得力があります。
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332.22||Sh