殺人出産 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062934770

感想・レビュー・書評

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  • どの話も非現実的なんだけど、読み進めるうちに、これ、普通にありえてもおかしくないかもしれないと思わされました。
    過去の普通が今の異常だったりするしなぁ。

  • 3冊目の村田沙耶香さん。耐性がついたのか、不気味とか怖いとかじゃなくて、すんなりと本の世界に入っていけるようになった感じがある。100年前の常識を言う登場人物が現れたら、余計なこと言わないでという気持ちになる。

    100年前の常識は今の非常識。
    10人産んだら1人殺していい。
    2人じゃなくて3人で恋愛する。
    医療の発達により死がなくなる。
    世界はどんどん変わっていく。
    どれもこれも、「普通」なら考えられない。でも、常識とは?なんていう説教くさい感じではなくて、ただひたすら非日常を体験する心地よさがあります。おすすめです。

  • 短編の1つ目。10人産んだら1人殺せる世界。最後殺す時の描写がキモいが、短編のためか結論がない。ふぅ〜んという感じ。
    次の短編はトリプル(交際)。性別、少子化、社会的な性別問題等を乗り越える手法なのかも知れない。
    これは新しい発想だと思った。まぁまぁでした。
    他2つの短編は特に感想なし。

  • 村田沙耶香さん、初めて読んだけど。。。
    とりあえずこの短編集、マジでぶっ飛んでるーーー!!!だけど、なんでかなー。。。読めた。

    めちゃくちゃぶっ飛んでるけど、うん、わかる。って思うとこもあったし。。そう思った私もぶっ飛んでるのか??

    個人的には短いお話だったけど「余命」が好きだった。
    また違う村田沙耶香さんに挑戦したくなった。

  • 10人出産すれば好きな人1人殺せる世界線。
    1対1で付き合うのではなく3人で付き合う世界線。
    医療の発達により寿命が無くなり好きなタイミングで好きな死に方を選べる世界線。

    どの世界線も今では考えられない事なのでとても異様に感じたが、近い未来、もしくは遠い未来ではそうなっているかもしれない。

    ''正義とは何なのか''
    私は3人で付き合うという事に違和感を覚えたが、今の世の中がもしも3人で付き合う事を当たり前としていたら、私は違和感なく3人で付き合うだろう。だから結局の所、違和感を覚えるかどうかは生まれた時の環境とか慣れだと思う。
    慣れると疑う事をしないし、それが正義だと思い込んでしまう。「みんなやってる=正しい」という思考回路が、''正義とは何なのか''という本質を見抜く思考の妨げになっていてとても恐ろしく思った。


  • 自分の常識は他人の非常識というし、そのへんは自分でも結構寛容なつもりだった。
    でもこの短編集の常識はどれも受け入れられず、吐き気が込み上げる瞬間さえあった。
    「100年後にはこんな世界になっているかも」と思わせるところに恐怖を感じてしまう。
    あまりにも発想が突飛なので、作者の脳内を覗いてみたくなった。

  • 「殺人出産」
    女は生まれた時に避妊危惧を取り付けられる

    避妊危惧を外されて人工受精をして
    10人産んだら1人殺せる「産み人」
    殺した人も殺された人も人口を増やす貢献したとみなされ敬われる
    男は人工子宮をとりつけられて
    性別関係なくこの制度を利用できる
    ただし途中でやめることは許されない

    育子の姉はこの制度を利用して「産み人」となる
    いよいよ10人目の出産が迫る

    「殺人出産」の他に
    「トリプル」
    「清潔な結婚」
    「余命」の短編が入っている

    描写 世界観がとにかく凄い
    好き嫌いが分かれる1冊
    好きではないけれど強く惹かれる作品
    これを書いた村田紗耶香さんは天才だと思う

    医療の進歩 機械化進み
    生命の自然の流れも変わっていく
    私達の選択肢が増えてもいく
    何を選択して信じ進んでいくのか
    生きやすい場合も生きにくい場合もある

    この本はたくさんの事を考えるきっかけを作ってくれる

  • 《殺人出産》
    今の世の中ではありえない設定だけど、妙にリアルで不思議な感覚でした。
    育子が殺人に対する考え方として、昔の考えも新しい考えもしっくりきてなかったとことかはなんかわかる気がしました。

    殺人出産…この言葉には生と死が存在していて、生と死について話してる中に、虫を食べる描写が描かれていて、その虫はもう死んでいて…
    そのただの日常と日常会話のちぐはぐさに怖さを感じました。

    村田さんの作品は発想がすごいと思う。

    《トリプル》
    カップルではなくトリプル。
    性別もなく3人で付き合う。
    キスの仕方からすべてがカップルとは違う付き合い方が斬新で面白かった。

    カップルとトリプル。お互いの付き合い方を受け入れられない姿とか、1話目の殺人出産もそうだったけど、人って自分の信じるものが正しいと信じ込んでるんだなぁってはっとしました。
    ちょっと悲しい人間の性なのかも…

    でも、結局は人間は同じ。


    《清潔な結婚》
    視点は違うけど、こちらも性を家庭に持ち込まないと決めた夫婦のお話でした。

    子供を作る話になったある時に現れた旦那の愛人。旦那の男の部分を見せられた奥さん。

    必死になる愛人と冷静に?対処してる奥さんを見て、結局愛や恋より家族の方が強いんだぞと言われてるいるような気持ちになりました。
    機械的な子作りだけど、愛があるかないかの差でやってることにほぼ変わりはなくて…

    愛や恋、情…それらについていろいろ思った作品でした。


    《余命》
    殺されても蘇生できる世界。
    自分で死ぬタイミング、方法を選べる世界。
    なかなか難しい題材だと思った。
    自分の周りの人の死ぬタイミングが早かったら
    辛いし寂しいだろうなとか。。
    死ぬことが怖くてずっと生きてしまうかもとか。。
    でも、こうゆう世界になって慣れてしまったら、そうゆう感情も少なくなってしまうのかなぁとか。。


    どの作品にも共通してるのは生と死だったと思います。
    殺意から産まれる命。
    自分の命。
    あとは愛や恋と情。それに伴う行為。


    今とは全然違う世界のお話から
    今のそうゆうもの全てにおいて改めて考えさせられるような作品でした。

    リアリティーがあるのにリアルじゃない、でもリアルな感覚で作品に入ってしまう…不思議な感じがしました。


  • おもしろかった。
    短編集だったのもあって、読むのが止まらなかった。
    今は異常な価値観が、100年後には正常になっているだろうな。でも、その正常は誰かの異常であることはなくならなそう。
    作中の「あなたが信じる世界を信じたいなら、あなたが信じない世界を信じている人間を許すしかないわ」にあっと思った。

  •  著者の作品を読むのは初めてだったが、10人産んだら一人殺せる「殺人出産システム」が確立された世界の『殺人出産』、カップルではなく三人で付き合うのが一般的になった世界の『トリプル』、性欲と出産、もとい家庭が完璧に別れた世界の『清潔な結婚』、病気による死が無くなり好きな形で自殺できる世界の『余命』の四編が収録されていたが、「何でこんな独特の世界観が書けるんだろう?」「個人的にこの作者は『ポスト小林泰三』だと思うなぁ。」というような感想が浮かんだ。他の作品も読んでみたい。

  • 良い意味で気持ちが悪い作品。
    性行為や殺人、自殺などがよく話に出てきます。
    自分とは違う他者を受け入れる難しさや、当たり前とはなんなのか、それぞれの価値観を問うようにも感じられ、自分が他者に対してどこまで寛容的なのか分かる気がします。

  • 全体的に共感できなかったけど、
    1つ共感できたフレーズがあった。

    「水に飢えた人がオアシスの幻を見るように、
    生に固執する人間は殺意と言う夢を見る。」
    という言葉にはっとされられた。

    この人さえ消えてくれれば、
    何もかも解決するんだと信じていることなんだなと…

    そして冷静になって考えてみると
    赤の他人が自分の人生の鍵を握っている訳じゃないと分かるのに

    中学生ぐらいの思春期に
    この人がいなくなればいいのにと強く願ったことを思い出した。

    人を殺したいと思ったときは
    自分が生きたくてたまらないんだと理解しようと思った。

  • 2021年3月10日読了。

    『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した著者による、4つの話からなる短編集。

    『殺人出産』
    100年後の未来。
    恋愛を経て結婚しSEXをして子供を産むという時代は過ぎ去り、出産は人工授精が主流になった。
    SEXは愛情表現と快楽だけの行為となり、それに伴って人口は極端に減っていった。
    その問題を解決する為に、10人産んだら1人殺してもいいという『殺人出産システム』が導入され、それを行う『産み人』と呼ばれる人々の"殺意"によって、合理的に命を生み出す仕組みが確立された。
    『命を奪うものが、命を造る』
    そんな考えが浸透した世界では、『産み人』は神聖化され崇められるようになっていた。

    育子には、幼い頃から強い殺人衝動を抱いている姉・環がいた。
    そんな環が『産み人』になったのは17歳。
    それからおよそ20年の年月が流れ、いよいよ10人目の出産が迫っていた。
    20年間も誰かを殺すために子供を産み続ける日々を送ってきた環の殺意は、一体誰に向けられたものなのか…。


    『トリプル』
    十代の若者を中心に、二人で付き合うカップルよりも三人で付き合うトリプルという恋愛の在り方が流行している世の中。
    大人や親世代に「不埒だ、乱交だ」と眉を顰められる事や、今まで通りカップルとしての付き合いをする人達の気持ちが理解出来ない真弓・圭太・誠の三人は、トリプルこそが『真実の愛』だと、その関係を深めていく…。


    『清潔な結婚』
    婚活サイトで知り合ったミズキと夫。
    夫のプロフィール欄には
    『清潔な結婚希望。性別のくくりに囚われない、仲の良い兄妹のような、穏やかな日常を希望します。』と書かれていた。
    興味を引かれ、会ってみると互いの結婚観は驚くほど一致していた。
    「恋愛の延長線で家族になるのではなく、家族なんだから恋愛感情は抜きで、シンプルに兄妹のように暮らしたい。」

    そんな2人の『性』を排除した結婚生活が始まった。
    お互いを性の対象と見ると嫌悪感を感じる2人は、性欲は自分で処理するか、外で処理する行為となっていた。
    しかし、困ったことに2人はどちらも子供を求めていた。
    高額なお金を払って人工授精する余裕もない、かといって自然な形での妊娠など考えたくもない。
    色々と調べるうちに、医療行為としてのSEX『クリーン・ブリード(清潔な繁殖)』を提供するという謳い文句の専門クリニックを見つける…。


    『余命』
    医療が発達し、『死』が無くなった世界。
    老衰もなくなり、事故死や他殺などの偶発的に発生する死もすぐに蘇生できるようになった。
    人口が増加するかと思われたが、そんな事はなく、人々は「そろそろかな」と思った時に好きな場所で好きなように死ぬようになった。
    女子は可愛い死に方を、男はインパクトのあるカッコいい死に方を、千差万別な『死』で自分のセンスを表現するような時代。

    役所で死亡許可証をもらい、外に出る際、声を掛けられた。
    『お大事に。よい死を』


    『コンビニ人間』以来、久々の村田沙耶香氏。
    作家仲間の間で、『クレイジー沙耶香』という異名?愛称?で呼ばれているらしい。
    『コンビニ人間』を読んだ時は、サイコパス的な要素を感じるキャラクターが存在はしていたけど、クレイジーさをそこまで感じる事はなかったが、今作はかなりのクレイジー。

    全ての話が『性』と『死』に関わりがあり、『殺人出産制度』や『死に方を自分で選べる世界』など、奇想天外な発想力はどこか常人離れしている気がする。

    『殺人出産』に関しては、常に不穏な空気が漂い、下手なホラー作品よりもホラーを感じた。

    読者モデルが美容のために食べているという蝉スナックや蟻のサラダが流行したり、海外アーティストがカップルではなくトリプルで付き合いだしたことでブームになったりと、普通ではないことでも流行に囚われてしまっている事が描かれ、自分らしさ・アイデンティティが希薄になっている現代人へのメッセージとも受け取れる。
    そんなインフルエンサーも麻薬で捕まって消えてしまったりと、風刺のきいた所も面白い。

    感想や評価は賛否両論ありそうな作品が多く、好き嫌いの別れそうな作家さんだが、他には無い感性をお持ちなようで自分は好きなので他の作品も読んでみたい。

  • 現在のルールや常識とは全く違う世界線の奇妙な作品が4つ収録されている。

    世の中の常識やルールが100年後には全く違う常識に置き換わってるかもしれない。自分が普通だとか正義だと信じて疑わないことも、誰かにとってはそうでないこともあるし、色んな意見があることに興味を向け極端に偏りすぎないことも大切かなと思った。

    この作品の設定は極端だが、発想がとても面白くて個人的に好み。

  • 村田沙耶香さんの作品2作目!『コンビニ人間』をオススメしてくれた友達と大きな本屋に行った際に、「これも面白いらしいよ!村田さんワールド炸裂!」みたいなことを聞いて2人してこの1冊を買った。

    このレビューでは、この本の半分以上を占めていた、『殺人出産』という章についてのみ感想を書き留めておこうと思う。この物語の内容はあらすじにある通りなのだが、私は物語の設定と内容の異様さ(褒めてます)に加え、「百年あればこの世界の常識はどんな形にでも変化するのだな」と読みながらしみじみとしてしまった。私の主観の例示ではあるが、我が国における「戦争」とここ百年以内の歴史の遷移について考えてみる。百年と言わず、七十数年前まで、日本では戦争は他の国に対抗する手段として極めて正当であったし、それが当たり前であり、国民のほとんど全ての人々がそれを正義だと思っていた。しかし現代では、全くの逆である。日本国憲法の「平和主義」によって戦争が禁止されているし、他の国と対立したところで、「戦争」という手段など絶対に出てこない。こんな感じで、百年あれば、国の様態や私たちの考え方、常識だと思っているものは180度変わる。この本の主人公・育子はまだ殺人が悪だった頃を知っていて、時代の流れが殺人は神聖なものにしていく様を体感していて、そこに少し自分のこの例えを重ねて読んでいた。変化の特に多い現代であるが、百年後は今ではありえないどんなことが常識になっているのかなどを考えるとワクワクすると同時に、この本のように「殺人」など今では完全な悪が、私が歳をとる頃には当たり前の正義になっているのか、なども想像してしまいゾクリとした。

    村田さんの作品2冊を読んでみて、どちらもいい意味でゾクゾクさせられる本だった。私の好みの問題で、すごく抽象的な表現だが、「美しい」物語が好きなので、評価の星は両作品とも星5ではないが、村田さんの設定や物語たちにゾクゾクさせられるこの感覚が大好きなので、作家さんとしては迷うことなく星5!他にも本を出していて、薄めの本が多く、サクサクと村田さんワールドに取り込まれ、あっというまに読み切ってしまえるので、ほかの著書もどんどん読んでみたいと思う。

  • 殺人出産の他、短編でトリプル、清潔な結婚、余命

    今の常識ではありえないような話なのに将来本当にこんな世界になるのかも、と思えてくる村田沙耶香氏の世界観がやっぱり好きだな~
    しかもこんなふうになったらヤダ、、というよりなんかその方がいいのかも。と思えてくる。でももし本当にそんな世界になったらどうゆう点で問題なのか考えたくもなる。

    10人出産すれば1人殺すことが出来る。人殺しの刑罰も産み続ける刑。殺人出産なかなか興味深かった。長い年月と自分の命懸けでの殺したい思い…今こんな制度になったらどれほどの人が殺人をするんだろう?今の刑法では人を殺すことのリスクが軽いと思う。もっと命懸けの思いを持って欲しい。それにしても標的になった場合、事前に通告くるの怖!いつどこで自分が恨みをかってるかわからない恐怖。

    『トリプル』にあるように男女1対1が恋人同士や夫婦の基本なのではなく性別関係なく3人での関係っていいんじゃないかと私もよく思ってて。家事や育児の分散やレスの対策、ライバル意識や緊張感も生まれて色々なリスクも1人がダメでももう1人で補えたり…なんて、、でもやっぱり争いが起こっちゃうのかなぁ~どちらの遺伝子の子どもなのかとか…もっと私だけを見てとか?

  • 衝撃的な題名に、ずっと読んでみたいと思っていた作品。
    想像よりも猟奇的で薄気味悪い。
    10人産めば1人殺せる…
    殺人は悪ではない。
    みんな普通に殺したい人がいる。
    その殺意を持って、10人子を産む。
    そしてその殺される人は、死に人と呼ばれる。
    いつ自分が死に人に指名されるかもしれない。
    殺意を持つことが悪ではない。
    が、死に人になることに恐れ、でも受け入れる。
    人間の闇を見る。
    男性も人口子宮をつけ、妊娠出産ができる。
    全てが平等で正しい世界。
    今の世界なら、出産は人生において最も幸せな体験。
    愛情に溢れた体験なはず。
    それが刑罰に値するとは。
    背筋がゾッとする。

    他三つの短編が収録されている。
    どれもゾクッとするような違和感を感じる世界。
    私は「余命」が好き。

  • ★好きな表現と感想
    【殺人出産】人殺しの感触は手から離れないものか
    ・「ぷちっという感触は皮膚が切れるところだったのかもしれないが、そのあとは柔らかく…」
    →このシーンは物語に入り込み過ぎて脇腹に痛みを感じながら読み進めるのが苦痛になってしまった。「沙耶香さん、人殺したことあるでしょ?」って思ってしまった。読み進めるのが苦痛だったが先が気になる。さすが村田ワールド。この表現の仕方がとても好き。
    ・「殺意が未来に命を繋いでいく価値観」
    →世間の多くの人々の持つ価値観を根こそぎひっくり返すような表現。これもほんとすごい。普通逆だってw

    【トリプル】三人でのキスについて
    ・「まるで最初からそうなるための身体の仕組みだったように、三人でのキスはしっくりとうまくいく」
    →この物語の主人公が感じる"普通"に対して我々読者へ吐き気を感じさせる表現。凄まじい。別世界。(語彙力がやられていく)

    【清潔な結婚】性行為代行
    ・お互いに座った椅子が射精に伴い最後に近づくのを容易に想像できてしまった。
    →まさに性行為のアシストか。そうなんだ、そもそものベースが"恋愛結婚ではない"村田ワールドの基本でしたw こんな医療機器が導入される未来もありそうですね。
    (こういう企画のA○もありそうだが)

    【余命】わずか5Pながらもやはり引き込まれる
    ・人の死について考えさせられる作品だった。しかし私が常々思う事は、どんなに辛いことがあっても自ら命を絶ってはいけないということだ。この世には絶対何かしらの使命を持って産まれてきていると信じているからだ。綺麗事に聞こえるかもしれないが、そう思わなきゃ、望まずに死んでいった人達の事を考えると自分を保てないよ。書いていて思ったが、それって故人に対してではなく、自分のためなのかもね。愚かであり、美しくもある?自分で言うなってねw

  • 「今1番尖ってる作家」と帯に紹介されているように、いつも着眼点が切り込んでいて、平素から普通とか常識という言葉に違和感を感じてしまう私には村田沙耶香さんの提示するテーマは実に面白い。
    「コンビニ人間」もそうだが、まず「殺人出産」というタイトルを見たらそれは気になって読みたくなる 笑
    内容は4作の短編集で、①10人産んだら1人殺せる「産み人」というシステムが存在する世の中を描く表題の物語、②2人のカップルという概念を超え、3人での交際とその快楽を描く「トリプル」、③性的感情を持ち込まずパートナーとしての家族のあり方を描く「清潔な結婚」、④医療が発達し、病死や事故死、老衰による死を蘇生できてしまう時代になった結果、自ら死ぬ方法とタイミングを選択するしかなくなった時代を描く「余命」。
    どれも共通して言えるのは、現在の常識や正義はいつだってそうではなくなってしまうようなものでしかないということ。
    その一方で、現在理想とされている合理的な思想が現実化した世の中も果たして本当に幸せと言えるのか、むしろ冷徹、残酷で、もはや人間を放棄することに繋がっていくのではないか、そんなことを考えさせられた。

  • 生(生まれる)と死の物語。
    中編1 短編2 ショートショート1の構成。

    表題の殺人出産は、10人出産することで1人殺ろしていい許可が下りる
    という世界の物語。
    2作目のトリプルは、トリプルという恋愛が海外の人気アーティストを発端に、
    若者の間で流行りだした世界の物語。
    3作目の清潔な結婚は、性指向が多様化される中、
    夫婦の間で性生活を行わないという選択肢もある世界の物語。
    4作目の余命は、ほぼ死ぬことなく蘇生させることができるようになった
    世界の物語。

    どれも村田紗耶香ワールドって感じで、読んでいて面白いけども
    イライラ感もわいてくる何とも、困惑する感じでした。
    表題の殺人出産は、10人出産することを「産み人」というのですが、
    産み人となれるのは、人工子宮が出来たことで男性でも可能となり、
    そのことで、最短10年というスパンはあるものの、
    合法で殺人が可能ということで、これは考えようによっては
    すごく怖い世界ですよね。
    3作目の清潔結婚は、性指向の多様化ということで、
    夫婦として仲睦ましくても、性生活を一切しないという
    夫婦が生まれ、その中でも子供を得るための人工授精
    以外の妊娠方法である先進医療が誕生します。
    ですがこれが、実に無駄に思えるし、あーすればいいじゃんと
    思ってしまったのは自分だけでしょうか(笑)。

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著者プロフィール

村田沙耶香(むらた・さやか)
1979年千葉県生れ。玉川大学文学部卒業。2003年『授乳』で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)を受賞しデビュー。09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、16年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞。その他の作品に『殺人出産』、『消滅世界』、『地球星人』、『丸の内魔法少女ミラクリーナ』などがある。

「2021年 『変半身(かわりみ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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