- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062934770
感想・レビュー・書評
-
奇人村田沙耶香ワールドめちゃめちゃ堪能できる短編集。
どの話も設定が面白くて、ページを捲る手が止まらない!世間一般の価値観からちょっと逸れるだけで、こんなに気持ち悪いと感じる世界になるとは。発想がすごいし、何より登場人物がその世界の価値観にどっぷりな様子を淡々と描写できるのがすごい。
上辺だけの多様性じゃない、本質を考えるきっかけがあるなあと。そのうえ娯楽性はなまる!文句なし!
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2022.3.8読了
3.0
性愛や、生き死にのお話しがメインの短編集。
エグい描写が多くて気持ち悪くなってしまった。
でも、着眼点はすごいと思うし、興味深い内容だった。
村田さんならではの世界観なのでしょうか。
不気味な内容でありながらも引き込まれました。
-
常識とか普通なんてあってないようなものだなと思った。
時代が変われば状況や環境が変わって、人の価値観も変わっていくものだけど、変化を受け入れるって難しい。
-
本の帯にも書いていたように、確かに常識とは何かを考えさせられる内容だった。
当たり前と思っていることがいつの時代もそうであるとは限らないし、またどこに行ってもそうだということでもない。
常識を覆すっていう文句は大抵の場合覆した後も反発をくらう。どれだけ馴染めるかはどれだけファンを作ることができるかにかかっているのかも。 -
殺人はなぜ絶対的悪なのか。
二人で愛し合うことだけが正しい愛の形なのか。
世間で「常識」とされていることが本当に正しいことなのか、分からなくなる。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今から100年前、殺人は悪だった。10人産んだら、1人殺せる。命を奪う者が命を造る「殺人出産システム」によって人口を保つ日本。会社員の育子には十代で「産み人」となった姉がいた。蝉の声が響く夏、姉の10人目の出産が迫る。未来に命を繋ぐのは彼女の殺意。昨日の常識は、ある日突然変化する。表題作、他三篇。 -
読んでいてドキドキ(怖い)する本
あり得ない世界をリアルに描いて、今後こうなるかもと思わせるような本
とにかく、描写がリアルすぎて怖い笑 -
透明感があるのに、生々しい。
爽やかなのにグロテスク。
不思議な読後感。 -
オーガニックなクレイジーみを感じる。生と死が乱交してるようなヤバさ。こんな世界では恐ろしくて生きていられない。
-
ああ、こういう気持ちわるーい感じの話好き
-
村田沙耶香さんのお話はいつも衝撃的で、
当たり前を覆していく。
あまりにも狂気的で目を瞑りたくなることが多々あるが、向き合っていく必要がある。私にはまだまだだな、と。 -
ものの30分で読み終わった。読み始めてすぐ、あっという間に異世界に連れて行かれた。常識の超越。想定の範囲外。村田沙耶香氏、いったいどこからこんな発想が浮かんでくるんだろう。あまりの衝撃に、読み終わったあとはわりと吐き気なんかもあって、スムーズに現実に戻ってこられなかった。気持ち悪い。不気味。あり得ない。でも、作中で登場人物が送っている日常生活的な部分はわたしたちのそれとほとんど大差なくて、そこに妙にリアリティがあってしまうようば感じが、また。
一作品目『殺人出産』。自然妊娠による出産スタイルは廃れ、性行為をしない人工授精が主流になった約100年後の日本。男性も人工子宮を取り付けることで出産可能な身体になった。そして自己申告で「産み人」と呼ばれる存在になって人工授精で10人出産すれば、退院後、誰かを一人指名して好きなやり方で殺せるというシステムが浸透していた。このシステムにより、殺意が新たな命を生み出す原動力になった。殺人出産システムをまだ完全に受け入れ切れてはいない主人公、幼い頃から殺人衝動があったため自ら「産み人」に志願した彼女の姉、自然妊娠で出産したいと願う同僚、それぞれの想いが残酷に錯綜する。
二作品目『トリプル』。2人組(カップル)はなく3人組(トリプル)で付き合うことが主流になった世界。トリプルの性行為の描写はあまりにグロテスク。しかし作中ではトリプル派がカップル派の行為を見て吐き気を催す。双方が双方にとって完全なる異次元で、互いに拒絶反応を起こしてしまう。
三作品目『清潔な結婚』。性的な要素を全て排除するという約束のもとで婚姻関係を結んだ夫婦が子どもを望むようになり、さあどうする!という物語。夫婦としてのパートナーシップと、恋人のような感情の両方を、継続して持ち続けることの不可能性、ナンセンスさにはとても共感した。そう、無理なんよ。
自分が生きている世界、知っている常識が全てではないということ。そこから外れた対象に遭遇したとき、順応するのか、拒絶するかか、理解を試みるのか。異なる価値観の登場人物たちを通じてさまざまな対応の可能性が描かれている。「殺人出産」はさすがに突拍子もないけれど、「トリプル」とかは近々そういう時代が来ないとも限らないような気がしてしまって何というか、不気味、、、とか他人の性的嗜好に対してとやかく言っちゃいけないんでしょうけれどそれでも、現段階ではたしかにそう感じてしまう次第で。。。 -
やっぱり村田さんの作品は当たり前の概念を覆してくる。
本の序盤から「一途に誰かを殺したいと想い続ける」とか「命を奪うものが命をつくる役目を担う」とか意味不明なワードが出てきて、モヤモヤした気分になる。
この本では「性」そして「死」に対する価値観が改められ、どちらに対しても恐怖を抱く可能性がある。
読んでいて気持ちのいいものではないが、引き込まれてしまう。 -
生殖から始まって命を後世に運んでいくという自然だと思われてる流れがむしろ不自然なのでは?という錯覚というか問いかけが頭の中に住み着くって感じで大好き 村田沙耶香さんの作品はコンビニ人間の主人公も子供に対して「人間」としか言ってなくて安心感ある うちら人間は地球に住み着いてそれっぽい社会通念作ってるけどどうにも違和感感じるって人は村田沙耶香さんの作品好きになれますよ
-
もしも「殺人出産」が容認された世界になったとしたら、私は殺意とどう向き合うのか?
殺意ってもの凄いエネルギー量だと常々思う。
今まで生きてきた中で怒りを通り越して殺意を持ったことはあるけど、 実際に殺そうと思ったことはない。 何よりも道徳に反しているし、 殺意を持っただけで疲れ果ててしまうからだ。実行に至るまでの衝動的なエネルギーは湧いてこない。 だからこそ殺人事件の報道を見ていると犯人の衝動的思考や殺意のエネルギーに恐怖する。
本書は 10人赤もゃんを出産すれば1人殺すことができる 「殺人出産」 を政府が容認している世界の物語。主人公の姉は 「殺人出産」をしており、 現在妊娠中でその胎児を出産できれば10人出産したことになり、1人の殺人が許される立場になる。姉は 約20年この殺人出産のために時間を費やしてきたそうだ。
読み始めは 10人産み終えるまで最低 10年それまで続く殺意って相当なものだと思っていた。だけど、根気強い殺意だけじゃない気がする。
出産は自分の命を削って行うものだ。連続して妊娠出産すれば母体にはかなりのダメージがあると思う。作中では主人公の姉は何度も死産を繰り返していて、本人も死の問際を何度もさまよっている。
何十年もの時間と自分の命を危険にさらしてまで殺したい。 それはもはや根気ではない。
もしも「殺人出産」が容認された世界になったとしたら、私は殺意と真正面に向き合って「殺人出産」をするのだろうか。きっとしないだろうな。 現実の世界で殺人をせずに踏みとどまっているように、殺意をもって出産に挑もうとはしないと思う。
そこまでの殺意のエネルギーを私は生み出すことができない。 -
胸糞悪くて最高!!!!!!!!!!!!!!!
気持ちを暗くしたい時、興奮してるのを落ち着かせたい時、落ち込みたい時、いつも笑顔が素敵で活発なあの人へのプレゼントにピッタリの一冊!!!!!!!
殺人出産とはまあインパクトのあるタイトルやなと思って手に取って正解だった。
世にも奇妙な物語とかでドラマ化して欲しい見たい -
両手を大きく広げ、これが当たり前の世界です!
と言わんばかりのヘンテコな世界観も、圧倒的描写により説得力が産まれる。流石、クレイジー沙耶香。痺れる。
殺人出産、トリプル、純潔な結婚、余命
からなるオムニバス。 -
ずっと読みたいと思いつつ読んでいなかった念願の作品。
令和の今、こんなミステリーが現実化してしまったら…人のアイデンティティは大きく変わるだろう。けど、それが想像できる時点で、令和を生きる私たちの感覚に近いのかもしれない。 -
一気に読んだ。村田沙耶香さんワールド、想像できない設定に引き込まれた。10人産んだら1人殺せる…そんな世の中になるとは。何が本当なのか正しいのか私が生きている今の世の中が本当に正しいのか?倫理観が根底から覆るお話ばかりでした。
-
かなり好き。村田紗耶香の中ではコンビニ人間レベルに好き。4つ作品あるけど、全部好き。清潔な結婚は、最後のオチがよくわからなかったけど。殺人出産は、今信じてる倫理観や価値観を反転させる。気持ち悪いんだけどなんか爽快。