その可能性はすでに考えた (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062938532

感想・レビュー・書評

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  • とても斬新な作品。
    新しいミステリの形が見られて、とても面白かったです。
    ただ、難しい

  • こんなフォーマットがあるのか、と言う驚きと新鮮さがあった。

    仮説反証の対決自体は面白いが、全体を通すと冗長な感あり。(「どんな真実なんだろう?!」とワクワクして読み進めるタイプなので、特にそう感じました。)

    登場人物が「アニメ的」だったのも、好き嫌いが分かれるかも。

  • 井上真偽。かつて山中でおきたカルト宗教団体の集団自殺。その唯一の生き残りが依頼人として現れる。奇蹟を求める探偵はそれこそ奇蹟とする、そしてそれを否定する者たちが次々と現れる。かれらの仮定を反証する探偵。一風変わった多重推理もので、屁理屈と揚げ足とりが好きなら面白いと思う。キャラやストーリーの展開が少年漫画的だが、論理の部分だけしっかりしているのでそこだけ期待して読めばいい。

  • 第一章で過去に起こった事件についての謎が提示され、そこからはひたすらに推理バトルが繰り広げられる(しかも推理を披露するのは探偵ではなく、むしろ探偵はその推理を否定するポジションに置かれる)。 すごい、と思ったのはその冒頭に提示された情報以外の新事実などが出て来ないというフェアネスと、ひたすら屁理屈をこねくり回すだけの小説を面白く読ませてちゃんと伏線も貼っておくという構成力の高さ。
    一方で、「物語」としては弱くキャラ設定を尖らせているためおふざけ感が出ちゃってはいるが、それでも十分に楽しめた。

  • 金貸しの怪しい中国人女と青髪の男性探偵。
    面白い組み合わせで、過去のカルト教団での事件がどんどん解き明かされていく。
    ありとあらゆる可能性を一つずつ潰していく過程は爽快。

  • キャラクター設定がかなりトンデモなので、2つ目くらいまでは勢いで面白く読めたのだが、段々とお腹いっぱいになってしまった。

  • これは「アンチミステリ」ではなく、「『アンチ』ミステリ」である

     神か悪魔が起こしたとしか思えない難解な殺人事件を天才的な頭脳を持つ探偵が解明する……。ミステリのお約束にして黄金律。しかしそんなお約束を180°裏返したのが本作、『その可能性はすでに考えた』だ。

     青髪の探偵「上苙丞(うえおろじょう)」は、人間に再現不可能な事件――奇跡――を追い求めて難事件を解決し続ける変わった人物。そんなウエオロの元に1人の依頼者が訪れる。首なし死体に抱き抱えられながら、その死体の首を自らの手に持っていたと主張する依頼者に対してウエオロは「これは奇跡である」と結論付ける。しかし奇跡など存在するはずがないとウエオロの推理を認めない人々が各々の推理をウエオロにぶつけるのだが……。ウエオロは彼らの推理を聞き終えて一言、「その可能性はすでに考えた」と口にするのだ。

     一般的な犯人探しミステリの真逆を行く「犯行の否定」とでも言うべきこの作品は、数々の賞を受賞したに相応しい名作である。作中に登場する推理の数々はそれ単体でもミステリが1本書けてしまいそうな奇抜で突拍子もないものばかりだが、ウエオロはその推理を尽く鮮やかに否定してしまうのだ。

     推理に必要な情報は冒頭の依頼者の語りの中で全て完結しており、読者はウエオロの立場に立って彼らの推理を否定する体験を何度もすることが出来る。非常にコスパのいい作品とも言える。(ちなみに私は1度も推理を否定することが出来なかった)

     総じてミステリ好き(特にハウダニットに重きを置く方)には手放しでおすすめしたい作品である。続編の『聖女の毒杯』も合わせて手に取って頂きたい。

  • 初めは独特の文体に抵抗がありました。章が中国語表記で読めないし、難しい言い回しや単語はまるで古文を読んでいるような気分でした。クセのある登場人物は人となりがわかり始めると距離感が一気に縮まり親しみが持てるようになりました。読めない漢字や意味のわからない単語は都度調べて読み進めるようになりました。事件の状況を把握することがなかなか難しく、トリックの可能性について説明する場面では想像することが大変でした。

  • ミステリ大好きというわけではないので、推理やなんやというところに評価を下せるとは思いませんが、この物語を読んでスッキリしないという感想は当然出てくると思います。最後に語られるものが正解だと誰が判断するのでしょうか?読者?……フィクションならフィクションらしく、第三者に過去をお知らせして良いと思うんですよね

  • 気になっていたタイトルだったので手に取ってみましたが、とにかく読みづらい。常に読みにくいしか出てこない。
    内容は斬新なものだと思いましたが、それを上回る程に読みづらいが勝る笑

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著者プロフィール

神奈川県出身。東京大学卒業。『恋と禁忌の述語論理』で第51回メフィスト賞を受賞。
第2作『その可能性はすでに考えた』は、恩田陸氏、麻耶雄嵩氏、辻真先氏、評論家諸氏などから大絶賛を受ける。同作は、2016年度第16回本格ミステリ大賞候補に選ばれた他、各ミステリ・ランキングを席捲。
続編『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』でも「2017本格ミステリ・ベスト10」第1位を獲得した他、「ミステリが読みたい!2017年版」『このミステリーがすごい!  2017年版』「週刊文春ミステリーベスト10 2016年」にランクイン。さらに2017年度第17回本格ミステリ大賞候補と「読者に勧める黄金の本格ミステリー」に選ばれる。
また同年「言の葉の子ら」が第70回日本推理作家協会賞短編部門の候補作に。
他の著書に『探偵が早すぎる』(講談社タイガ)がある。

「2018年 『恋と禁忌の述語論理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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