運命の女の子 (アフタヌーンKC)

  • 講談社
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感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063879933

感想・レビュー・書評

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  • 無敵:映画のようだった。短いミニシアター系のミステリー。個人的には「なあにそれやだわ」のシーンが一番怖かった。
    きみはスター:落ちないからスター。でもスターしか好きになれない。全部わかってる公子が、公子だからスターなんだな。どこかがどうか欠けていても成り立たないのな。
    スペル:かわいすぎ泣いた

  • 表紙が綺麗だった。タイトルが素敵だった。運命の女の子。ジャン・カルヴァン曰く、善行は個人の運命を左右せず、あらかじめ決められた道程に沿って神の救済、もしくは滅びを与えられる。なるべくして起こる運命を受け入れ、それをなすべきものとした時、少女はこの世において「無敵」な者となる。戦いではない。抗うのでもない。彼女に敵など存在しない。彼女が何人もの人間をその手にかけようとも、誰もが彼女の言葉に逆らうことは出来ない。彼女が確信する、それはあらかじめ決められた運命であるから。


    好きな人がいる。気持ちだって伝えた。それの行く末もまた努力によって左右されない。何がいけなかったのか?理由を突き詰めたところでそれは観念による意味付けであり、真実ではない。言葉は裏腹、誰しもが決められた運命の中でそれぞれに生きる。彼女は言った。君を好きにならないひとはいないと。それでも叶わなかった恋、これもまた運命なのだ。


    救われる者もいる。呪いという言葉が本来の意味を失いあらたに授けられた意味。しかし後付けにされた意味など無意味だ。言葉も運命により誕生し、運命として生きる。そして時に運命によって跳ね除けられる。真実の愛を手にするため彼女は人生を変えるという運命に従った。


    運命を受け入れた女の子、運命を教えてくれた女の子、運命に救われた女の子。時に残酷なこの見えない予定の中でそれでも希望を持って生きることをやめないのは悲しいことだろうか。よかったと思ったり駄目だったと涙するのも全てあらかじめ決められたことだったとしても、それが起こり得るまでは見えない真実だということだけは救いなんじゃないだろうか。

  • いろんなとこでレビュー見て買いました。
    なんというか、凄くヤマシタさんです。
    「三角窓の外側は夜」とすこし雰囲気が似てるなと個人的におもう場面がちらほら。
    短編集でして、
    皆さんのレビュー内で評判の良い「無敵」は凄まじいです。
    ヤマシタさんは絵の中に空気、雰囲気を絵にして出すのがとても上手いと感じさせられた一冊でした。

  • 「きみはね わたしがきみを好きになったら失望するよ」という台詞の凄まじい突風のような刃物のような鋭さ、抉られる。

  • 怖い。けど読んでしまうヤマシタトモコ。
    収録一番目のは怖いけど、やっぱり登場人物の表情が秀逸。ショートフィルム観てるような感じ。
    最後の作品は設定ぶっ飛んでて、展開も派手だけど読後感はさらっとしてます。
    ひばりの朝は後味悪すぎて・・って思ったけど、今回は構成が良くて安心。

  • なんでとかどうしてとか、考えていい。答えがなくてもいい。

  • 確信犯的な16才少女の犯罪「無敵」、星は堕ちたときはじめて自分が星と知る「きみはスター」、自分以外皆に呪がかかっていて、自分にかからないのは何か重大な意味があるはずだ、大丈夫人生に意味なんてないから「不呪姫と檻の塔」。私たちから苦しみの意味を奪わないで、は皮肉のきいたセリフだなあと思いつつ。

  • きみに勝てばいいの?というセリフに男の思考回路を感じた。男女それぞれの思考回路、セクシャリティが面白い。あと、なぜか読後感が爽快。

  • どうしてもヤマシタトモコは昔の方がよく練られていておもしろかったなと思ってしまう。
    いまはとにかく自分が好きなものを雰囲気で描いている印象。
    なので、作品としていいとか悪いとかじゃなく、自分と趣味が合うか合わないかってだけなんだろう。

    「無敵」は、個人的には気持ち悪くするならもっともっと気持ち悪くしてほしい。
    現実で起きたこういう事件や犯人のほうがずっと気持ち悪い。なぜならそれが現実だから。自分と同じはずの人間がそんな気味の悪い恐ろしいことをしているという怖さがあるから。
    これは演出がフィクションっぽすぎるせいで気持ち悪さや怖さが失われているような気がする。
    もっと刑事さんの目線に寄り添えるような書かれ方だったらもっともっと不気味で怖かったかも。

    きみはスターはけっこう好きだった。
    描写が丁寧で好きです。モノローグを吟味する楽しさがある作品。
    「自分に無関心だから好き」というのは、決して成り立つことがなくて、それを公子ちゃんがわかっているところもいい。星は落ちてこないから星なのだ、っていうモノローグの通り。お互い落ちてきたらだめなんだな。
    それから、「人の役に立ちたい」と言ってた女の子が「カイくんみたいな才能のある人に好かれてた…今は本人も才能にあふれてるそんな人のそばにいられるんだもの」とか言っちゃうのもすごく良い。
    それとエルファバは確かに公子ちゃんだな。

    3作目は設定設定また設定、って感じで、まあ特にどの人も魅力的ではないし、そんな人が何を思っていても、ふーんって感じだった。
    こういう設定を思いついたんだな、って感じだった。

  • 3作目は、「マレフィセント」をイメージしているのかなと思いました。

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著者プロフィール

1981年5月9日生まれ。 2005年のデビュー後、すぐに「ねこぜの夜明け前」で講談社「アフタヌーン」主催の四季賞、夏・四季賞を受賞。 19年には「違国日記」がマンガ大賞4位に入賞する。主な作品に『BUTTER !!! 』『ひばりの朝』『さんかく窓の外側は夜』(本書原作コミック)『花井沢町公民館便り』などがあり、幅広い層の支持を得ている。

「2020年 『さんかく窓の外側は夜  映画版ノベライズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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