死者の告白 30人に憑依された女性の記録

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065234037

作品紹介・あらすじ

宮城県の古刹・通大寺では、人間に「憑依」した死者を成仏させる「除霊」の儀式が、
今もひっそりと行われている。
震災後、30人を超える霊に憑かれた20代女性と、
その魂を死者が行くべき場所に送った金田諦應住職。
彼女の憑依体験から除霊の儀式まで、一部始終を、
大宅賞作家・奥野修司(『ナツコ』『魂でもいいから、そばにいて』)が描く!

<本文より>
人が死ぬとき、合理的に解釈できない不思議なことがしばしば起こる。
がんなどで死に逝く場合もそうだが、
2万2000人余という人が亡くなった東日本大震災のような過酷な状況下では尚更だろう。
しかし、いきなり霊的ともいえる予想外のことが起こると、
それを体験した人は誰にも相談できずにひどく苦しむ。
金田住職のところへ、
高村英さんが混乱状態で電話してきたのは2012年の蒸し暑い6月の夜だったが、
彼女もやはり誰にも相談できずに苦しんでいた。

感想・レビュー・書評

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  • 泣けてきた。タイトルから怖い内容だと思っていたが怖いというより東日本大震災の津波で命を落とした人の慟哭が伝わってきて辛い。霊体質でとりつかれやすい女性が憑依され第3者として眺めているとの表現は多重人格者を書いた「24人のビリーミニガン」と同じで驚いた。ただ、多重人格者と言われる人にはこの本の高村さんのように憑依されている人もたくさんいるのでは?小学6年の男の子の話は哀しく

  • 怪談など不思議な話が好きだが、霊体験もないので半信半疑だった。

    この方の体験はすごい。
    死者の魂の中継器になって、追体験している状態で大変辛い思いをされている。
    震災後は特に。
    津波で亡くなった方々の溺死体験を語られている所は読んでいて物凄く辛かった。
    そして、父子家庭の12歳の子が津波で亡くなり、一人仮設で肩を落として暮らすお父さんを見ていて、成仏せずにとどまり、お父さんのために祈りたいと住職とともにお寺で読経をすることになったという話が衝撃的でした。
    死者が生者のために祈るという。

    栗原市通大寺 住職の徐霊の話も淡々としていて興味深かった。
    太鼓や読経、洒水は日本人にしか効かないだろうと、土地の風土や文化に支えられている、聖水といってかけるのは水道水だそう(笑)

  • 作話ではないそうだ。
    死者を光に向かって送り出すことで除霊するというのは、アメリカのドラマの「ゴースト 天国からのささやき」を思い出した。これには国や宗教は関係ないのかも。
    ただ、この本は臨場感を高めるために意図的なのか話が飛んだり、前後したり、何度も同じ話が出てくるので、少し読みにくいように思った。
    震災から11年経つのにまだ彷徨っている人たちがいるはずと思うと辛いです。
    また、憑依された女性も幸せに暮らしてほしいと思いました。


  • 小さい頃から霊の存在を身近に感じながら、様々な出来事を経験した女性・高村英さんが、東日本大震災の翌年に次々と亡くなった方々に憑依され(微妙に状況が違うようだが)、宮城県・通大寺の金田住職に30人以上を除霊してもらったというエピソードを記している。

    精神病と診断されるのではと、誰かに相談したり病院などに行くことを躊躇っていたが、あまりに数が多く、体を乗っ取られて普段の生活か難しくなることも。そんな時、ネット検索から導かれるように通大寺へ。住職は、除霊の専門家では無いというが、丁寧に高村さんと霊から話を聞き、霊を光のある場所へ導く。

    著者は、憑依と除霊の真偽には踏み込まず、高村さんと住職から聞いた話を客観的に記している。実は住職も、霊の存在を肯定も否定もしていない。困っている高村さんを助けるためにどうするか考えて、危機を乗り越えたという。

    誰が話している、感じていることなのか、それが何時のことなのか、分かり難く感じる部分が幾つかあった。読み手の集中力の問題?

  • 憑依されるとか、霊感があるというのは、全くそういった事に縁のない自分からすると、とてもミステリアスで、ロマン?を感じる事柄なのだけど、実際そういった現象を体験せざるを得ない体質の人からすると壮絶な苦しみなのだと理解した。
    死亡時を追体験する描写がリアルで怖い。震災の恐ろしさが伝わってくる。溺死した人、後追い自殺した人、原発で放射能障害らしきもので亡くなった人、置き去りにされて餓死した犬まで出て来てもうたいへん。
    自分も死んだ時に迷わないようにしなくては。
    こんな迷惑はかけられない。

  • 自分自身、第五感の様なものを見たり感じたり全く無いので読み終えても、何となくまだ信じきれない部分がある。
    しかし世の中は自分の感覚とはかけ離れた世界もあるのではないかな…と少し思えた一冊。

  • 死ぬ事が怖くなる話。厳しい。

  • 号泣してしまった

  • 東日本大震災以降、つぎつぎと亡くなった方の霊に憑依されたある女性の話。
    その女性は小さい頃から霊感が強かったようで、自分で除霊のようなこともできていたようでした。それが震災後1年位してから次々と霊に憑依されるようになり、一度に何人もの霊に憑依される。
     自分ではどうしようもなくなって、なんとかお坊さんのところに助けを求めて転がり込む。そしてお坊さんに亡くなった人がどういう人が、どういう状況でなくなったのかをできるだけ伝えて(憑依されるとその霊の感じ方を共有できるようなのです。自分の体をその霊にあけわす。すると憑依した霊が女性の身体をかりて話しだす。
    お坊さんは既になくなっていること。未練を残さず成仏するべきことなどを言って成仏してもらう。
     こういうことが体験としてあるのなら魂や霊魂といったものの存在を信じたくなる。
    以前に「津波の霊たち」という本でも同じような話を読んだ。
    未練を残して死ぬのは良くない。光をみつけたら光に向かって進め。といったところか。

  • 私はこういう世界を信じているけど、
    大変だなぁと思う。
    でも、訳もわからず死んだ人たちが
    光に向かっていけるなら良い。
    死んだ母が、よく死んだ動物を見たら
    かわいそうと思わず、
    光に向かって行きなさいって言いなさい
    って言ってたこと思い出した。
    人も動物も…一緒。

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著者プロフィール

奥野 修司(おくの しゅうじ)
大阪府出身。立命館大学経済学部卒業。
1978年より移民史研究者で評論家の藤崎康夫に師事して南米で日系移民調査を行う。
帰国後、フリージャーナリストとして女性誌などに執筆。
1998年「28年前の『酒鬼薔薇』は今」(文藝春秋1997年12月号)で、第4回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞受賞。
2006年『ナツコ 沖縄密貿易の女王』で、第27回講談社ノンフィクション賞・第37回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
同年発行の『心にナイフをしのばせて』は高校生首切り殺人事件を取り上げ、8万部を超えるベストセラーとなった。
「ねじれた絆―赤ちゃん取り違え事件の十七年」は25年、「ナツコ 沖縄密貿易の女王」は12年と、長期間取材を行った作品が多い。
2011年3月11日の東北太平洋沖地震の取材過程で、被災児童のメンタルケアの必要性を感じ取り、支援金を募って、児童達の学期休みに
沖縄のホームステイへ招くティーダキッズプロジェクトを推進している。
2014年度より大宅壮一ノンフィクション賞選考委員(雑誌部門)。

「2023年 『102歳の医師が教えてくれた満足な生と死』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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