抱擁、あるいはライスには塩を 下 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087451511

感想・レビュー・書評

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  • 色んな人の色んな人生を見ることができた気分。
    時代の流れをすごい感じた。

  • 桐叔父さんが素敵な方だった
    そして言葉に出して読みたい素敵な文章とたくさん出会った

  • 厳格で優美な家に隠された大きな秘密。
    排他的で窮屈そうだけど、その分家族が絶対的な存在で、絶対に切れない糸で繋がりあっているかのような。
    「よそはよそ、うちはうち」とはよく言ったものですね。家族はこんなにも奥深いのか。

  • 風変わりした登場人物ばかりだが、読み進めるうちに、この家族ひとりひとりに対し、愛しくて仕方ない気持ちになる。

    最後はちょっぴり悲しい気持ちに。

    世間体を気にしすぎないことは、いかがなものかとと思っていたけれど、この家族を見ていると、そんなものはどうでも良くて、馬鹿らしいことなのでは?と思えてきた。

  • 上巻は楽しくウキウキと読んでたんだけどな。
    下巻に入ってからいきなり物語が停滞し、特に興味深い展開もなく、登場人物が老人も女も男も子供も秘書も恋人も、なぜか途中から全員が同じ顔(=江國香織の顔)をしてきて、これは小説版「マルコヴィッチの穴」かと思った。

    私は、今どきのネットにあふれているようなヒステリックに不倫を糾弾する姿勢には「子供っぽいなぁ」としか思えないし、そうかと言って、「恋した人がたまたま既婚者だっただけ。私は自分に正直に生きる」とか言って自己陶酔している人の味方もしないが、この小説の不倫模様は、誰も彼も当事者がそろってお行儀が良すぎて、みんな暴露後にほっと安堵し、誰も去らず何も失わず代償すら支払う必要がないので、かなり白けてしまった。

    みんないい人でみんなお互い認め合って調和し、一家が「ほしい」と言えば、自分が生んだ子供ですらアッサリ渡しちゃう。同じ顔だから、ケンカのしようがないのかな。
    ちなみに、上巻で、「私は恥知らずじゃない」と正妻に言い返した菊乃は、開き直っていて普通に恥知らずだと私は思ったけどな~。

    三世代100年にわたる物語、という触れ込みだけど、そんな壮大な時の流れのようなものは全然感じなかった。
    まあ、登場人物全員、同じ顔だからかね・・・(←我ながらしつこい)

  • 下巻は幼かった子供達が徐々に大人になり、別々の道へと進んでいく。
    この家族の親戚になった様な気持ちで読んでいました。
    大人になり変わっていくのは当たり前なのだけれど、変わらないで欲しいなぁと願っている自分がいました。
    いずれは私の子供も巣立っていくんだなぁと想像し無性に淋しくなったり。

    この本は姉が『面白いよ!』と言ってくれた本。
    自ら手に取る事はなかったであろう一冊。
    誰かの『面白い』を読むのもまた楽し。

  • 長編だけれども全然苦じゃなく、楽しくすいすい読み進められた。それは、時間が行ったり来たりし、語り手が変わるからなのかもしれないけれど。でも、この家族がほんとうに愛しい。

    この大きな家の、一部屋一部屋の匂いがわかる気がした、全体的に埃っぽく、物悲しくもあたたまった匂い。過ぎ去った時間の匂い。それから、雨の日の庭の匂いや、彼らが着ている上等な服のよそいきっぽい匂い。
    嗅覚に語りかけてくる小説ってなかなかないんじゃないか。

    裕福で、破茶滅茶で、人間関係が(普通に考えて)複雑で、でもなぜかとても幸福に満ち溢れている家族。子どもたちは大人になり、大人たちは死んでいく。彼らの何年もの歴史を語ってもらいながら、もっとおはなしを聞かせて!という子どもじみた気持ちになる。

  • 解説を読み、タイトルの意味を当ストーリー流に訳すと「愛、あるいは自由を」とあった。うん、確かに。と納得する。この家族は本当に変わっていて、実際こんな環境ありえないだろうと思いつつも、この日本のどこかに、存在していてほしい!!そんな人々。
    下巻では、お寿司屋さんを招いた自宅での、卯月のお披露目会のシーンが印象的。あと、絹の視点の章があって、思わぬ絹さんの告白に「そうだったのね!」と驚かされたり、とにかく内容が濃い。 最後に、屋敷に残るメンバーは、自由に、それぞれが居心地よく暮らしていく様が想像できて、これも安心する。またどこかで会いたい!

  • なんだろう、不思議な感じの読後感だ。怖いでもなく、気味悪いでもないが、それでいて、素敵でもなく、共感できるでもなく、そして、ありきたりでもない。面白かったです。

  • 私の本棚には、何度も繰り返し読んでぼろぼろの本が何冊かあって、その中でも一番ぼろぼろなのが、江國香織さんの「流しのしたの骨」。
    その、大好きな小説を彷彿とさせる、でも明らかに深みが増している、恐ろしい長編。
    三世代100年近くに渡る家族の歴史。家族という役割は一面で、その家族の中の役割も、姉で母で妻で娘で、もしくは、息子で兄で弟で夫で、言えないこともあって、
    …自分の暗い部分とかえぐられてしまって、何度もぐっと詰まってしまった。
    ぼろぼろにしてしまいそうな小説。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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