リアルワールド (集英社文庫(日本))

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087460100

感想・レビュー・書評

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  • 高校三年の夏休み、隣家の少年が母親を撲殺して逃走。

    ホリニンナこと山中十四子は、携帯電話を通して、逃げる少年ミミズとつながる。そしてテラウチ、ユウザン、キラリン、同じ高校にかよう4人の少女たちが、ミミズの逃亡に関わることに。

    遊び半分ではじまった冒険が、取り返しのつかない結末を迎える。

    登場人物それぞれの視点から語られる圧倒的にリアルな現実。高校生の心の闇を抉る長編問題作。

  • 初めて読んだのが大学生だったからか全くリアルを感じなかったけど、今読んだらそうでもないかなと。あたしも高校生の頃こんなこと思ったよなとか思い出しました。

    4人の中ではやっぱりトシが一番普通の子です。
    あとの3人は自分が他の子とはちょっと違うということに浸りすぎている気がします。普通であるトシを下に置くことで自分は子供じゃないって主張している。でも刑事さんにちょっとウソついちゃった程度のトシは年相応で、ミミズを突き放したり執着したりする3人のがよっぽど子供だということに気づいてないんですよね。
    正直3人は読んでいて痛々しかった。特にテラウチは意味不明でした。今でも理解できないです。
    3人とも人とはちょっと違うことに憧れてそうなりきっていたけど、本当はトシのように普通の女の子でいたかったのかなとも思いました。だからテラウチはトシに手紙を出したのかと。
    ユウザンもキラリンもトシも、テラウチに一目置いてる感じだったけど、なんだか距離感があったように思います。リアルワールドって言葉を何度も使ったのはテラウチ。きっと彼女は裏の主役で、トシとは真逆の人間ですね。
    ミミズに関しては4人とは全然別次元で全くの子供です。正直このあとのミミズのモノローグが読みたいです。痛々しいながらも一貫してた4人とは違って常に不安定なミミズに、着地点はあるんでしょうか。

    そいえばトシの若い女ってだけでマーケットリーダーだという思考には笑ってうなずいた。だって若いってだけで国宝級ですよ。
    遅かれ早かれ、この4人はバラバラになっていただろうなと思います。最後には4人が離れ離れになってしまったことが一番リアルでした。

  • 登場人物たちに感情移入しにくいけど、それぞれの人物にスポットをあてた構成が読みやすくてさくさく読めた。

  • なんとも言い難い。

  • そんなに逃亡犯に惹かれるかなあ?複雑な心境はだれでももってることだし。そんなに特別なことではないとも思うけど。人格かわりずぎとも思う。

  • 桐野さんの作品だなぁ、とぞくぞくした。怖いけど覗いてしまう、みたいな…。
    満足。

  • いくらなんでもここまで馬鹿な高校生はいないでしょう。いないと思いたい。
    小説と現実を比べるのはナンセンスかもしれないが、もっとリアル、かつ上手に高校生の話を書いてる作家さんは沢山いるから残念に思った。
    出てくる高校生の会話がわたしには合わなかった。
    桐野さんが好きだから読んだけれど、他の知らない作家さんだったら数ページで読むのをやめていたと思う。

    どこが"リアル"ワールドなのでしょう。

  • (ややネタばれあり?)

    話の粗筋は、数年前にコミックを読んでいたので知っていた。しかしながら、活字での読み応えはすさまじいものがある。
    それぞれの登場人物の抱えるものと、それぞれの武装。社会的には最も重い罪を犯した者が、実は最も単純明快。それは自らの在りようの落としどころを外の世界に求めるか、自身の内側に向けてゆくかという分岐の末にある「取り返し」の可否であり、あるいは、男女の違いであるかもしれない。
    桐野作品においては、たびたび、性差というものが重要なファクタとして存在する(という印象を持っている)。
    殺人犯の少年というアイコンを取り巻く、罪のない好奇心や自尊心が物語をうごかす。その過程で、浮き彫りになってゆくもの。浮き彫り、という表現では生温いほどに、まさにえぐり出すといっていい。
    一方、アイコンは最後まで鉄のようにゆるぎなくアイコンなのである。この対比もあざやかな印象を残す。
    白昼夢のような逃避行、それに絡む人間たち。罪を打ち遣り、是非すらも問うことなくただただ突き詰めた先に、自分の身をもって引き受けたもの、それだけが『リアルワールド』へと導く。
    逡巡の末に、それぞれが見出すリアルワールドとは。

  • それぞれの理由で世界に絶望している表面的には仲の良い女子高生4人組。
    それぞれの平凡であるはずの夏休みが、主人公の隣の家で起きた殺人事件によって、崩れていく。
    桐野夏生作品としては、ライトな感覚で読めるのだけれども、内容はやっぱり暗くて生々しくて熱い。
    本当に些細なことの積み重ねで、現実は非現実的な世界になり、そこでこそリアルな世界というものになる。
    人間の本性がむき出しにならざるをえない、非現実な世界と、本性を抑えながら過ごす現実な世界。
    どちらが本当の意味でリアルワールドなのだろうか?
    個人的にはかなり好きな作品。

  • とりかえしのつかないこと、がたくさんあるな。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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