リアルワールド (集英社文庫(日本))

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 2131
感想 : 280
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087460100

感想・レビュー・書評

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  • 女子高生も色々考えてんのやね

  • 3.5

  • 女子高生・トシの隣家に住む男子高生・ミミズが母親を殺して逃走した。ミミズの逃走を、なぜか手助けするトシとその仲間たち。


    高校生の彼らは、表向きはごく普通の――頭がよかったり、勉強ができたり、みんなの人気者といった、ありふれた高校生だ。だが、それぞれが誰にも言えない、誰にも見せられない闇や秘密を抱えている。


    テラウチは不倫する母親を責められず自分に絶望し、ユウザンは早くに母を亡くした喪失感とレズビアンであることを打ち明けられない苦しさを抱え、キラリンは好きな男に手ひどく裏切られて出会い系サイトで男とむなしく遊びまくり、ミミズは自分勝手な欲望を押し付ける両親を憎悪している。


    ただ一人、トシは、ほかの4人のような屈折は抱えていないのだが、その代わり、彼女が最終的に、ほかの4人の痛みをすべて引き受けることになるのだ。


    嫉妬や憎悪、軽蔑が5人の間を駆け巡る。結末に向かうにつれ、彼らがひっそり抱えている苦しみがむき出しになって、読むだけでもヒリヒリする。それにしても、テラウチの、ミミズへの批判は深遠だ。こんな女子高生、いたら恐ろしい。でも過度にセンシティブなあの年齢なら逆にありえるのかもしれない。

  • 1つの殺人事件を巡る高校生たちの話。

    言動に幼さは残るものの、自分が高校生の時、こんなこと考えてたかなあとか、今の高校生はこうなのかなあとか考えてしまって、いまいち感情移入できず。

  • すごく子供なのに
    すごく大人な高校生の話。

    一度通ってきたその時期と
    今、親として考えさせられた。

  • 再読。女子高生の現実とその逃避についてはやはりなかなかリアリティを伴わない。もうこの歳になるとすべてがリアル・ワールドだって気付く。もっと若いときに出合いたかった一冊。「取り返しのつかないこと」ってキーワードが過去の後悔を蘇らせる。

  • おもしろかったです。
    急流を下っていくような感じの話。流されるままに一気読みしてしまいました。

  • さすが、出す本出す本それなりに売ってる作者だけあって、やっぱり読みやすい。
    だけんども、高校生が主人公だからなかなか感情移入が難しい。
    27だからね。もうババアだから。ついにこの時が来てしまったよ・・・(笑)
    それでもやっぱり「女」を書くのが上手い人だと思った。
    女ってさ、言葉にする以上に他人のこと見てるし、自分が思う以上に色々ばれてんだよね。だから楽しいし、だからうざいんだけどさ。
    各々タイプの違う女子高生4人が、親殺しの男子をかくまったりからかったり無視したり。最後は2人死んで4人不幸になるんだけど、とにかくキラリンがうざい。
    そもそも自分でキラリンとかあだなつけちゃう時点でうざい。
    そんでテラウチがかわいそう。頭が切れて心がある奴って色々損だと思う。
    「シンプルな憎悪をもてるミミズが羨ましくて憎ましい」 すっげーわかる。
    善でも悪でも1つのことに集中できるのって才能だと思う。
    4人それぞれ別々の罪悪感を抱えてるらしいけど、原因はキラリンじゃね?
    己の行動に伴う責任は、己でとらにゃ。その点テラウチのは、いくら先がわかってたからって、奴の行動がきっかけになっただけだから別だろう。
    内容全く関係ないけど、本の横に血がついてて怖かった(笑)

    1/19/11

  • 読み終わってからだいぶ経っているので…
    うろ覚えですが…

    たしか
    この小説の主人公たちが
    自分と同じ年代というところに惹かれて
    読み始めたんですけど、
    あまり面白くなかった。

    ひとつひとつの人物に
    感情移入だとか共感だとかできなかったし
    その関係性にもあまりぴんとこなかった。

    でも‘強烈な印象’を受けたという記憶はあります。

    桐野夏生さんの本を読むのはこれが初めてで、
    そのあまりの生生しさとかダークさにびっくりしました。

    読み終わったあとの不快感という
    かもやもや感というか、それがすごくて、
    桐野さんの本はしばらくいいや…と思った気がします。笑

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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