桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)

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著者 : 朝井リョウ
  • 集英社 (2012年4月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087468175

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桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)の感想・レビュー・書評

  • スクールカースト。
    17歳の傲慢さと未熟さ。
    人間関係の脆さと自意識過剰。

    実果のエピソードって映画でもあったかな?
    記憶にない。

    目立つ容姿、スポーツの成績、属するグループ、恋人のルックス、経験の有無。華やかなグループは勝ち組で傲慢、地味グループはオタクとか…学校を離れてもそういう見えない階級は存在する。

    あの空気感、日常の切り取り方はさすが若い感性だなぁ。

  • まずタイトルが秀逸。さらに話題の桐島本人がでてこないのがおもしろい。取り上げられるのは桐島と親しかったり接点がなかったり、外の人である。

    この物語は(失礼な言い方かもしれないけれど)若いからこそかけたのかなとも思う。それなりの年の人が描く高校生って憧れとか上からみてる感じとかが投影されてしまうけれどそれがない。勿論青春群像だからある程度の美化やデフォルメはあるけれど嘘臭くない。
    ほとんどの高校生にとって学校は世界そのもので上とか下とか常に立ち位置を気にしてて、無難に傷付かない方法を探している。大人は彼らに白いキャンバスだ、好きな絵の具で好きな絵が描けるんだ、なんていうけれど未来に夢を描きながらも彼らは自身に絶望している。光をみながら闇に埋もれる。きっとそうだ。朝井リョウはそれをわかっている。
    悪くない。とりあえず他の作品も読んでみようと思った。

    そしてーー、その狭い世界を出たとき、彼らが上とか下とかそんなものを越えた価値あるものを見つけられますように。

  • 上。
    制服の着こなし。体育のサッカー。くしゃくしゃの茶髪。ぴかぴかの爪。ピンク色をした唇。
    かっこよくて目立つ男の子。ピンクが似合う女の子。

    それは、上だから与えられる特権なのかな?
    うーん、やっぱ特権を授かって生きている子が上になるんだろうね。
    努力しても追いつけない。これって一種の才能だよね。

    上。
    確立された格差社会で三年間、上を貫き通す。
    不安定な足もとに広がるのは、きみたちが嘲笑する下の世界。
    ほんの数ミリ目測を誤れば、滑り落ちる静寂な底なし沼。
    自分を守るために築く脆弱な関係は、繊細で危ういガラス細工のようだね。

    でもまだ、きみたちは気づいていない。

    下。
    目立たないように。失敗しないように。迷惑かけないように。
    バカにした笑い声。存在を無視された扱い。

    そんなもの気づかない振りをする。
    それが、きみ自身が選んで決めた学校という逃げ場のない世界での生き方。

    下。
    ねぇ。自ら下の立場を決めたきみたちには、描きたい世界があるんだよね。
    なかなか真似できないよ。
    それは誰にもジャマ出来ない、きみたちの特権。
    開けば風が生まれる扉を持っているきみたちは、ひかりなんだ。
    ひかりの前では、上のかっこよさもくすんで見える。

    気づくのは、まだまだ先のことかもしれないけどね。

  • ロンドンからの電車で。
    パリとはまた違う雰囲気が楽しい。

    映画化もされた作品ということで、これをどう一本の流れにまとめたのか気になる・・・。
    桐島の存在ははっきりしているものの、彼自身は全く出ずに、彼に何らかの関わりを受ける数人の物語。

    学生の頃ってこんな風だったなぁと懐かしく思う。
    朝井君の世代とはもちろん違うのだけど、それでもあの特別な環境は同じ空気なんだな。

    目立つグループとか、自分の立ち位置がどうとか、男子が女子がどうとか、いつからそんなこと考えなくなったんだろう。
    ふと学生時代を思い出しながら、あの頃は若かったなぁという淡い気持ちと共に読了。

    しかし、女性の視点で上手に書くなぁ。
    女性作家の書かれるような、いかにも女性らしい難しい表現は少ないにしろ、若い男がここまで書けるのは驚き。

  • この小説を読んで、自分はいつから「ランク付け」の環境の中で、生活していたのだろうかと考えた。

    少しでも「上」の位置にいたい。今の位置をキープしていたい。「下」にはなりたくない。

    ずる賢くて、残酷だけれど、自分の周りにも、確かに存在していた環境。

    好きなものは好き。その考え方は素敵だし、そうだよなとも思う。
    でも、頭では分かっていても、集団の圧力の前では、やっぱり、そんなのきれいごとじゃないかと思ってしまった自分もいる。

    だけど、「ダサい」とか「ダサくない」「目立つ」とか「目立たない」そういう相手の表面に隠れている、相手のひかりが溢れている内面を見つけ、相手の本質と接することができる人でありたいなと思いました。

  • 40歳のおっさんである自分には、10代の青春群像はあまりにもまぶしいというか気恥かしくて、終始そわそわしながら先ほど読了しました。
    一言いいでしょうか。
    うまい。
    朝井リョウくんはうまいです。微細な心の動きを掬い取るのがとにかくうまくて舌を巻きます。情景描写も実に繊細で、そっと対象に触れるように、人物が、学校が、体育館が、町並みが描かれます。え? これ19歳の時に書いたんでしょ? 栴檀は双葉より芳しなんぞと言いますが、ほんと、そう思いました。
    たとえば。
    「部活が終わったあとは、体が熱を持っている。冷えていく町並みに体温だけがうまく溶けこまない。どんどん幕を下ろしていく今日の中で、体の中に残っている熱が置いてけぼりになっている」(P32)
    「詩織の髪の毛はさらさらさらさら流れる小川みたい。太陽が揺れるたびにひかりがさっと髪の毛を降りていって、水みたいにひらひらひかる」(P55)
    「自分の考えたものを人に見られるときって、初めてまゆ毛を剃った日の百倍くらい恥ずかしくて、なんだか余計なことまで喋ってしまったりする」(P119)
    「ふうん、そっか。と私は返事をした。たっぷりと伸ばしたはちみつのように、細い細い細い声になってしまった」(P173)
    挙げればキリがないので以上。
    最近、「スクール・カースト」という言葉がよく聞かれるようになりましたが、本書でも、生徒たちがいかに「階級」を意識しているか(より正確には、がんじがらめになっていると表現した方がいいかも)が如実に分かります。
    「高校って、生徒がランク付けされる。なぜか、それは全員の意見が一致する。英語とか国語ではわけわかんない答えを連発するヤツでも、ランク付けだけは間違わない。大きく分けると目立つ人と目立たない人。運動部と文化部」(P89)
    「女子にとってグループは世界だ。目立つグループに入れば、目立つ男子とも仲良くなれるし、様々な場面でみじめな思いをしなくてすむ。だって、目立たないグループの創作ダンスなんて、見ている方までもみじめな思いになる。どこのグループに属しているかで、自分の立ち位置が決まるのだ」(P150)
    読んでいて痛々しくなります。でも、私らの頃も、これに近いものはありました。自分は割と目立つグループの中で、あまり目立たなかった方。でも、グループはある程度、固定化してはいたけれど、グループ間の交流はそれなりにあったと記憶しています。それはちょっと旅行に行く感覚だったかもしれません。
    本書では、甚だしい場合に至っては別のグループは、まるでそこにないものとして扱われます(特に上位グループから見て下位グループは、無視ないし軽視といったレベルではなく、言葉の厳密な意味で「そこにないもの」として扱われます)。
    だからこそ、解説者の吉田大八さんも触れていた通り、終盤の前田と菊池の「出会い」はとても美しい場面となっています。もう、静かに感動がこみ上げてきて、ふるふるしてしまいます。
    ちなみに私は前田涼也くんの章が一番気に入りました。
    朝井リョウくん。末恐ろしいです。

  • バレー部のキャプテン・桐島の突然の退部が、5人の高校生達に波紋を起こして……。至るところでリンクする、17歳の青春群像小説。
    Amazon より

    瑞々しい感性がほとばしる文章.視覚的.
    自分が高校生だったとき、こんな風に世界は色をもっていたのだろうか.

  • 「何者」で、スゴいと思った朝井リョウのデビュー作。
    題名がとても印象的。
    高校生の日常がとてもリアルに感じた。勢いとノリがあふれてる。
    読みながら、作者の非凡な才能をあらためて印象づけられました。
    自分の高校時代(かなり遡るけど)いろいろ思い悩んでため息ばかりだった気持ちがよみがえってきました。
    かと思うと、ふだん我が家の高校生の娘で実感している、今どきの高校生の様子がまるごと胸に響いてきてじんとする。
    未来へ向かっているそれぞれの登場人物たちを見守りたい、頑張れ!と思えた。

  • 高校生の思うことや発言を、そのニュアンスやリズム感を
    含めて見事に文章に定着させているところがスゴイ。技巧と
    いうよりはセンスだなと思う。
    「高校生にありがちなリアルな心情の揺らぎがいい」といった
    コメントを目にするが、そもそも、タイトルにある「桐島」を敢えて
    出さずにまわりの男子女子の変化を描くというアイデアというか
    構造が、この本の一番の魅力。
    遠い大陸で革命があっても、日本の総理大臣が変わっても
    彼らには何の影響も与えない。ちょっとした人物が部活を
    やめたことが、まわりにさざ波のように大きな変化を与える
    のだ。高校っていうのは、そういう世界なのだ。その世界の
    中で、彼らはそれなりに生きていくために細かな戦いをして
    いるのだ。

  • 高校生って一番ギトギトして、いろんな意味で醜くて、それをなんとなく自覚しているから、もがいて悶々としている時期だった。
    それをズバっと描いている。
    そうそう、いつも自分がどの位置にいるのかを気にしていたりね。
    ゴージャスな子はオーラが違うんだよね。
    女子高だったから、ちょっと憧れもありつつ読んでいる。
    でも、私のころは一人でいるのはこれほど痛いことじゃなかったな。私の学校、クラス限定?男子がいなかったからかも?
    男性が書いてるんだよね。女の子がどの子もリアル。
    残酷さも格好良さも惨めさも、あー、あるある!って。
    (外見だけの子がカラッポって指摘されてるのも、ある意味爽快。現実では、いくつになっても、カラッポってわかる男子少ないけどね。)
    「思ったことをそのままいうことと、ぐっと我慢すること、どっちが大人なんだろう。」
    実果ちゃんだけ、なんかトーン違うのが気になった。

    「確かに俺達は若いしパワーもあるし真っ白だしキャンバスだけど、別に絵筆も持ってないし、そもそも何も描く気がないんだから意味がない。」なんて宏樹くんは言うけど、描くか描かないか、絵筆で描くのか木炭にするのか、そこには選択肢がある。
    そんなこれから!を感じるから読後も爽快感があるんだな。
    先が見えない曲がり角にいる不安。懐かしくも羨ましい。
    もう一度やるかと言われたら、やはりお断りするけども。

    桐島くんがどんな子なのか知りたかったな。それが心残り。

  • 出勤時、通学する学生さん達の中で読み始めたので、自分もなんだか高校時代に戻った気分になりました。

    桐島君がとても気になっていたのに、とうとうバレー部をやめたという噂だけの存在であり、彼がその後学校生活をどのようにすごしたかは謎です・・・。
    やはりタイトルがタイトルだけに、あぁ、本当はっきりわかるものだと思いながら読んでいたので・・・。

    桐島くんが部活を止めたことにたいする、なにかしらつながりのある生徒さん達のエピソードが短編で表現されていて、それ一人ひとりが持っている世界に自分も溶け込んでいるようなそんな楽しさがあり、是非映画のほうも見てもっと楽しんでみたくなりました。

    学校生活を送る中で、目立つ普通それ以下(上・中・下)のランクで自分がどの位置づけなのか?。
    学生達が良く使う人を簡単に傷つけてしまう言動に対する疑問?
    部活に対してそれぞれが思う感想。
    女子のかわいらしさのアピール方法。
    かっこいい男子の特徴など。

    どのように映像で表現されているのか早く観てみたいなーっ。
    (特に私は映画部の二人を観てみたいです。)

  • 言うまでもない朝井リョウの代表作のひとつ。
    タイトルにも出ている「桐島」の周辺の人物たちにスポットを当てた連作短編。
    現在の高校生の間では、「スクールカースト」というものがこんなに歴然とし、また表立って見えているものなのかと驚いた。
    勿論そういった「ランク分け」のようなものは昔からあった。
    吉田秋生の「ハナコ月記」でも似たようなエピソードはあったから、誰しも多かれ少なかれ経験はしていることなのだろう。
    ただ、最近触れる若手作家の作品内の学校生活には必ずこういったものが出てくるので、昔に比べて明確に意識されてきているのかなと思う。
    そうだとすると、今の中高生って本当に大変だな。
    「優秀なバレー部部長が部活をやめる」という事件が、ある人には大きく、ある人にはささやかではあるが影響を与えていく。
    様々な立場の人物の物語だが、思春期特有のひりつくような痛みを巧く拾っている。
    しかしどの話も基本的に読後は爽やかで、いい意味でまっとうな「青春小説」だなと感じた。
    個人的に気に入ったのは「小泉 風助」と「宮部 実果」。
    実果の話は結末は予測できたものの、そこに至るまでの彼女の心理描写がよかった。
    花屋であることを自覚し、愕然とするシーンが秀逸。

  • H29.9.5 読了。
    ・桐島は、出てこないのかーい。と突っ込みたくなる作品。登場人物たちの楽しみや立場や苦悩などが描かれていて、面白い。自分にもこんな年齢の時があったなあと思い出した。

    ・「本当は、世界はこんなにも広いのに、僕らはこの高校を世界のように感じて過ごしている。」
    ・「人間関係は硝子細工に似ている。見た目はとてもきれいで、美しい。太陽の光を反射して、いろいろな方向に輝きを飛ばす。だけれど指でつっついてしまえばすぐに壊れるし、光が当たればそこら中に歪んだ影が生まれる。そんなもんだよな、と思う。」
    すごくわかるって思う。

  • 田舎の進学校での話。
    バレー部のキャプテン桐島が部活を辞めるらしい。

    そこから周りの高校生たちの物語が始まる。


    スクールカーストを上手く説明しています。宏樹や実果はカーストの頂点で涼也は最下層。ただカッコイイ可愛いだけで頂点で暮らす人達や、何らかを認められて頂きにいる人達。何も無い薄っぺらだけど影響力があるってのは害だなぁと改めて思った。

    高校生を通過した人達はきっと何処かで共感出来る作品だと私は思う。

  • 高校生がずっと昔になっている今、読みながらその感性や感覚を思い起こす必要があったが、読み進めるうちに高校時代の空気をつつまれた気がする。

  • 自分の出身高校かと思ったwそれくらい生々しい。カーストとか性別の異なる6人が出てくるけど、全員に対して「わかるな~その気持ち」ってなった。でも、そうなったのって、もう年を取ってしまって、ちょっと上の立場から俯瞰しているからなのかな。もはや高校時代に戻れないと思うと切ない。

  • 子供って、学生って、不器用。じゃあ大人は?映画も面白かったけど、小説も違う面白さがあった。初めて泣きそうになった小説です。

  • *デビュー作
    *小説すばる新人賞受賞

    最近は図書館利用がほとんどだけど、半年ぶりに本を買った。
    二作しか読んでないのに「朝井リョウなら大丈夫でしょう」と全幅の信頼を寄せて。
    案の定、一気読み!
    高校生の日常が懐かしくてニヤニヤした。女心の描写が素晴らしすぎる!
    スクールカーストとか、読んでて胸が痛くなることもあったり。
    学生だった皆が絶対に分かる感情だと思う。
    ほんとにすごい。朝井リョウ。
    全作品読破することに決めました!楽しみだなー♪

  • 面白かった。桐島が、部活をやめるところから友人やクラスメイトの様々な心情が書かれている。高校生の時、自分もそう思ったことあるなぁと共感がもてるし、話の中の誰かにはあてはまるんだろうなっておもった。
    引き込まれるように一気に読んだ‼︎‼︎‼︎
    朝井リョウさんの本は初めてだったけど、他の本を読んでみたいとおもった。

  • タイトルになっている桐島は、端役でしか出てこない。桐島を知っている高校生たちのオムニバスだ。17歳の彼ら一人ひとりの視点から、同級生への憧れと蔑み、そして可能性だけを秘め何も持っていない自分への苛立ちが描かれている。この小説を朝井リョウは19歳の時に書いたという。そのことが驚きだ。

  • わたしは共感できた方でした。
    なんで高校時代ってあんなにもやもやしてたんやろう、と。
    あと、この時期ってほんま些細なことが転機になったり、何かを考え直すきっかけになるんやなあと、今になって思う。
    うちの高校もスリッパぶかぶかやったなあ。

  • 中学生でも高校生でも大丈夫だが、主人公たちが高校生なので、より高校生に近い方が理解できるのかもしれない。少しずつ繋がっている道場人物達とその視点が面白い。

    高校生って、こういう生き物だっただろうか。
    もう、遠くになりすぎてわからない(爆笑

  • テレビ番組で朝井リョウのインタビューを見て興味がわいた。この作品も映画化したのは知っていたけど、朝井リョウさんがあんなに若いとは!びっくり!それで、今とぎの若者はどんな作品を書くのか気になってさっそく読んでみた。
    まさに等身大の高校生の微妙な心の変化とか葛藤が描かれてると思う。学校では『上』か『下』かとか、『ダサい』か『ダサくない』かとか、そういうのだけで判断してその個人の本質までは見なかったりするんだよね~。
    それにらかっこよくても空っぽの虚しさとか、自分よりさえないと思ってた子たちが何かに一生懸命で熱くなってることが輝いて見えたりね。わかるなぁー。
    書き方はまだまだ荒削りで読みずらかったけど、デビュー作品だからかな?他の作品も読んでみようと思う。

  • さすがにあれだけ話題になって映画化もされた作品はうまいなぁー、というのが一読しての感想。
    映像のようにみるみるうちに目の前に景色を描き出す情景描写、一度も登場しないのに皆の中に色鮮やかにその影を落とす頼れるバレー部キャプテン桐嶋の存在感、高校生たちの想いが絡み合い、それぞれに膨らんで行き違っていく様。
    スクールカーストの下層に居る映画部前田の登場により、今までに登場した華やかに青春を謳歌する人物たちが彼らを当然の如く蔑む『上位』である事が作中で告げられた辺りから残酷さと色鮮やかさ、疾走感がどんどん増していくなぁと。
    これを書いた時の筆者は19歳だと言うのだから、振り返るには早すぎる青春の残酷さと酷たらしさ、その中の煌めきをこれだけ抉り出す話をよく書ききったもんだ、と感心させられたり。
    (その時だから書けた、というのはあるのかもしれないけれど)
    男の子たちだけじゃなく、女の子の特有の閉塞感、計算高さのようなものまできっちりリアルに描写される所が本当に上手いし、ヒリヒリさせられて引っかかりました。

    結局、熱血なんてはた迷惑だ、といつしか孤立して居場所を追われてしまった桐嶋、「ダサいおたく」と蔑まれ、嘲笑の対象にされても自分だけに残せる物を追いかける映画部連中を通して、何かに夢中になって自分だけの物を掴もうとがむしゃらになれるヤツが一番かっこいい、という『何者にもなれない』者たちの焦燥感ともどかしさを一番描きたかったのかな、と思ったり。
    戻らない日々の煌めきが、懐かしくも胸に痛かったです。

  • 割と周囲の評価が高かったので読んだ。

    読んだ結果、僕にはイマイチ良さがわからなかった。
    所々、言葉のチョイスとかは良かったと思う。キレイな表現、はっとするような表現もあったと思う。
    でも、いったいなにが伝えたかったのか、良くわからなかった。明確なメッセージ性がないにしても、何か考えさせられるようなものがほしかった。高校生独特の人間関係であったり、よくわからないモヤモヤだったりはうまく描き出せていたかもしれないけれど、逆に言うとそれだけだった気がする。
    構成にしても、日常に於ける様々な葛藤を描き出すという意味で多視点を入れたのは良かったと思うけれど、それらに共通して感じられる軸のようなものは少なくとも自分には伝わらなかった。多視点で構成するなら、なにかそれらが一つにまとまっていく感じが欲しかった。青春に特有の様々な感情を盛り込みすぎて、逆に主題が見えなかった(その混沌がテーマなら仕方ないけれど)。

    当たり前の日常を、当たり前に羅列しただけではそれはただの叙述であって、小説ではないと思う。なにか大きなテーマ、伝えたいことが感じられるのが僕にとっての良い作品だし、それがこの本ではあまり感じられなかった(または共感できず気付かなかった)から、☆2つ評価です。

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田舎の県立高校。バレー部の頼れるキャプテン・桐島が、理由も告げずに突然部活をやめた。そこから、周囲の高校生たちの学校生活に小さな波紋が広がっていく。バレー部の補欠・風助、ブラスバンド部・亜矢、映画部・涼也、ソフト部・実果、野球部ユーレイ部員・宏樹。部活も校内での立場も全く違う5人それぞれに起こった変化とは…?瑞々しい筆致で描かれる、17歳のリアルな青春群像。第22回小説すばる新人賞受賞作。

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