- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087474466
感想・レビュー・書評
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解説でチャッキーなる人が「叙述ミステリーの傑作!」などと書いているけど、それで釣られた人はガッカリするんじゃないかな?......
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24歳OL猟奇的殺人事件。
犯罪記録、週刊誌報道、手記、供述調書、さまざま文章を読まされていく記憶喪失の男。この男は何者か。 -
文章力はすごい。読みやすく、変に引っ掛かるところがない。
ただ、中身の猟奇殺人は気持悪いし、ラストも落ち着かず。結局、人の心を自分の物差しで判断しようとすること自体が無理だということに、最後まで気づかないことへの嘲笑だったのか? -
「人間のすることに理由などない。」という井口の思考に凄く共感した。直後で「理由がないというのはこの上なく甘い逃げだ」という中澤の反論にも深く考えさせられた。
しかし井口と中澤は、其々に一つの事件を「自分の都合の良い形」に捻じ曲げて事実化しようとする、またその周りでも各々の視点による解釈が繰り広げられ、事件の真相が迷宮入りしてしまうという物語。 -
2011/12/29
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記憶喪失の「私」に、「治療師」なる人物が、ある犯罪の記録文書を次々と読ませていく。異なる文体が入れ替わり出てくる割には読みやすいのは作者の力量ですね。私と治療師の関係がじわじわと逆転していくところが淡々としていて、不気味。インパクトには欠けますが、抗えない魅力があります。自分も迷宮に入り込んでしまったようです。
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最初から謎に満ちていて、何一つ分からないのですが、唯一、ある事件のことだけは分かっている。その事件について明かされていくうちに、最初からあった謎も明らかになる、という構造です。
客観的事実と真実は違うこと、人は事実を前にして、自分なりの説明を真実として構築するのだということがよく分かりました。 -
犯罪の受け入れがたい猟奇性や、ミステリーとしての下げの物足りなさなどもあるが、記録、報 道、手記、調書それぞれの叙述文体の見事さといったらない。展開を闇雲には広げないで、限定し た時空間をきっちりと仕上げていく。