迷宮 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 1013
感想 : 180
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087474466

感想・レビュー・書評

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  • くどい、つまらない、意味不明。
    最後まで何を伝えたいのかわからなかった。

  • 犯人の手口が、最近読んだ我孫子武丸「殺戮に至る病」を想起させ一気に読破。とある一室を舞台に、ひとつの事件について書かれた様々な文書を介して、そもそもの登場人物が誰なのかを明かそうという試みだ。猟奇殺人が中央に置かれながら、その実物語の焦点は殺人そのものではない。

    登場人物は少なく、また「私」と「治療人」なりうる選択肢も限られるので、読み手の目標は自然と「私」と思われるIKの犯罪心理に目が向く。しかし物語が後半に進むにつれ、突き詰められていくのは「治療人」。お互いがグレーな存在の中で駆け引きが進む展開に思わずニヤリとした。個人的にはしっかり結論を出してしまっても良かったのではないか、という印象。「私」がIKの父親或は母親だった、なんて結末も面白かったかもしれない。

    舞台も展開も、まさに世にも奇妙な物語の「女優」を思い出させる、それでいて結末はもっと奇妙な、読みやすいミステリだった。

  • 清水義範氏の作風からすると、異色作に当たるのではないかと思う。
    著者が得意とする「笑い」は本作にはまったく散りばめられていない。

    描かれているのは、ただただ陰惨な犯罪の記録と、
    そこに至るまでの人々の描写。そして「ひょっとしたら……」と思わせる、
    ミスリードのない読者の誘導。
    「ミスリードのない」と言うものの、確証を得るまで読者は決してその
    解釈に確信が持てない(あらゆるミステリが及ぼした弊害ともいえる)。
    そこまで計算し尽くされているような気さえする。
    とにかく、作品の世界に引き込まれて一気読みした。面白い。


    「オチが不充分だった」「期待外れ」といった声も多い。
    しかしオチに辿るまで、引き込まれていれば小説は充分。

    テレビや漫画、ほとんどのミステリ小説など、世の中には
    わかりやすい幕引きがキチンと用意されたエンターテインメントが溢れている。オチが描かれない、不充分、そんな『藪の中』的なリドルストーリーが残された最後のフロンティアが小説なのだから、その世界を味わわないわけにはいかないと、個人的には思う。

  • なんというか、割と珍しい形式のミステリだな、とは感じた。
    被験者(というのが正確なんだろうか)が、段々記憶を取り戻していったりするかと思いきや、そうでもない。被験者の正体自体は捻りがない。けど、新しさのようなものは感じる。もう10年以上前の作品なので、時代背景に多少の違和感を感じるのは仕方ないか・・・。
    最後の一文をどう判断するか。その判断材料がもう一度読めば転がっているのだろう、とは思ったものの、もう一度読み返す気力がなかった・・・。

  • かなり、気持ち悪かった。

  • 題名の通り結局最後までよく分からないまま。
    最後のドンデン返しを期待したけど、期待しすぎたせいか、残念な終わり方。

    ページも薄く、内容も濃いものではないので、1日で読み終わった。
    手記、記事、など客観的な文章がほとんどなので、どうしても感情移入しづらい。

  • 2013.02.01-02

  •  1回目に読んだ時は皆さんと同じようにオチが???でした。ただ、あの清水義範がユーモア抜きに書いているんだから、何かあるはず。と思い、解説をよく読んで、本文を読み返しました。
     はじめは『八つの異なる文体を用い、様々な角度から読者の前に提示してみせる。』これが清水義範がやりたかったことか?とも思いましたが、しばらくして壮大な仕掛けが隠されているのに気付き、何回でも読み返したくなる衝動に駆られました。これは作者による300ページにわたる大実験といっても良いかもしれない。

     『犯罪報道における「事実」とはなにか。人は、自分に理解できる「事実」を捏造し、勝手に理屈を付けたがっているだけではないか。人間の行動には、言葉では説明できない部分がある。人の心の奥底にある真相は、他人にはそう簡単に、わかるものではない。にもかかわらず、それを言葉にするのが作家の使命である。』この大命題に作家清水義範は挑み、そして読者に問いかけます。『なぜあんな異常な殺人をしたのかの理由も、世界中できみだけはちゃんとわかっているんじゃないかい』清水義範が用意した八つの資料を読んで、井口克巳がなぜ藤内真奈美を殺害したのかの理由が頭に浮かべば、清水義範による『実験的な治療』は成功したと言っていいのかもしれません。

     国際的な政治駆け引き、恋愛における温度差、ビジネスマンの社内外での評価、、、などを題材にこの手法を使った内容の違う本が生まれても面白いかもしれない。などと読後の勝手な想像は尽きません。

  • ハ、ハズレだぁ…
    記憶喪失の人間が、トレーニングと称する治療を受ける。凄惨な犯罪記録を読ませ、意識を覚醒するつもりだがー。最後まで自分がわからない、という話。

  • ほとんど一気読みしたのだが、内容が気持ち悪く、読んだのを後悔。

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著者プロフィール

1947年愛知県生まれ。愛知教育大学教育学部国語学科卒業。1981年『昭和御前試合』でデビュー。1986年『蕎麦ときしめん』が話題となり、独自のパスティーシュ文学を確立する。1988年『国語入試問題必勝法』で第9回吉川英治文学新人賞を受賞。2009年、名古屋文化の神髄紹介とユーモアあふれる作風により第62回中日文化賞受賞。『永遠のジャック&ベティ』『金鯱の夢』『虚構市立不条理中学校』『朦朧戦記』等著書多数。また西原理恵子との共著として『おもしろくても理科』『どうころんでも社会科』『いやでも楽しめる算数』『はじめてわかる国語』などがある。

「2021年 『MONEY 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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