読書は格闘技

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 766
感想 : 78
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087716559

感想・レビュー・書評

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  • 比較すべき本のリストもなかなか良い。

  • 題名はちょっとアレだが、中身は結構マジメ。ショウペンハウエルの『読書について』の批判から、様々なテーマから2冊を抽出し比較するという面白い試み。
    抽出書籍には著者のバイアスがかかっているので、この対決が適切か否かの問題はある。が、フレームだけを応用するのはアリかな。やはりあるテーマについて考える時は類書を何冊か読んで比較し、疑問や批判をしていないとダメだね。

  • 現国のジャンルでとりあげられていた「山月記」や「オツベルと象」、懐かしい!子どもと読むべく速攻予約する。
    絵本やディズニープリンセスの事例も面白い。 アナ雪しかり魔法にかけられてしかり、「規範(王道ストーリー)からの逸脱」があり、素直に内容を受け入れる子どもにはこれくらいのエッセンスがあった方がいいかもしれない。

    また、「取り柄のない男子がなぜかアイドル的な女子から好かれ、成長と自己承認していく」は売れた漫画のなかではタッチが最初とのこと。
    いまやよくあるパターンだけど、あだち充は先駆者だね。

    同じジャンルでコンセプトが対極にある本を比べ、反証したりしながら読み進めることで自分の主張を磨き理解を深めていく。

  • 「一流の人は、本のどこに線をひいているのか」土井英司さん推薦

  • 「書籍を読むとは、単に受動的に読むのではなく、著者の語っていることに対して、「本当にそうなのか」と疑い、反証するなかで、自分の考えを作っていくという知的プロセスでもあるのだ」という著者が、いくつかのテーマで対立する本を選んで比較するという試みがこの本だ。対立しているか怪しい対戦もあるが、なかなか面白い試みである。
    実際の戦いは以下の通り。

    Round0: イントロダクション
    『読書について』ショウペンハウエル vs. 『武器としての決断思考』瀧本哲史
    Round1: 心をつかむ
    『影響力の武器』※ チャルディーニ vs. 『人を動かす』※カーネギー
    Round2: 組織論
    『君主論』マキャヴェリ vs. 『ビジョナリー・カンパニー』※コリンズ
    Round3: グローバリゼーション
    『文明の衝突』ハンチントン vs. 『フラット化する世界』※フリードマン
    Round4: 時間管理術
    『ザ・ゴール』※ ゴールドラット vs. 『ストレスフリーの整理術』アレン
    Round5: どこに住むか
    『年収は「住むところ」で決まる』モレッティ vs. 『現代の二都物語』サクセニアン
    Round6: 才能
    『天才を考察する』シェンク vs. 『さあ才能に目覚めよう』※ バッキンガム
    Round7: 大勢の考えを変える(マーケティング)
    『ポジショニング戦略』※ ライズ vs. 『キャズム』※ ムーア
    Round8: 未来
    『ニュー・アトランティック』ベーコン vs. 『一九八四年』オーウェル
    Round9: 正義
    『アナーキー・国家・ユートピア』ノージック vs. 『正義論』ロールズ
    Round10: 教養小説ー大人になるということ
    『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』ゲーテ vs. 『タッチ』※ あだち充
    Round11: 国語教育の文学
    『阿Q正伝・狂人日記』魯迅 vs. 『山月記・李陵』※ 中島敦
    Round12: 児童文学
    『ハリーポッターと賢者の石』ローリング vs. 『しろいうさぎとくろいうさぎ』ウィリアムズ

    自分が持っている本/読んだ本に※を付けてみたところ、全13対戦26冊のうち、10冊が該当している。両方とも読んだことがある対戦が二試合。まずまずではなかろうか。やはり読んだことがある本が対戦している方が面白い。

    この仮想対戦は、自分でもできそうな気がしてきた。
    例えば「意識」についてジョン・サールとデビッド・イーグルマンやジュリオ・トノーニなどを対戦させても面白い。この分野はまだまだ面白い対戦がたくさんありあそう。
    「民主主義」について高橋源一郎や柄谷行人と池田信夫を対戦させてもいいだろう。ルソーや東裕紀までを勝手に絡めても面白そうだ。
    シンギュラリティについて、ミチオ・カクとレイ・カーツワイルというのもありだろう。悲観的な予測の本と対戦するのもいけるだろう。
    進化論に関して、実際に行われたドーキンスとグールドの戦いを検証してもいいかもしれない。人類の進化に限っても楽しそうな対戦が組めそう。
    トマ・ピケティとハイエクも面白いだろう。ロバート・ライシュなど経済の世界にはいろいろと対戦カードがありそうだ。
    死刑制度やオウムについて、森達也なら対戦相手には困らないだろう。
    マネジメントについては、ミンツバーグも対戦相手が多そうだ。

    実際の対戦については、実際に読んでみて面白いかどうか感じてほしい。内容よりもアイデアやテーマや本の選択の方に興味をひかれた本。

  • 2016/10/30 46

  • ジョン・ロールズは、社会の中で自分がどの立場になるかわからなければ公平に決められると考えた(「正義論」)。
    ロバート・ノージックは、国家が存在する以前の初期段階では、個人がお互いの権利を保護するための組織を自主的につくるが、その組織は規模の利益が働くため統合されて独占状態になるため、不必要な介入をしない最低限の機能をもった最小国家が各人の自由意思を最優先させるユートピアであると主張した(「アナーキー・国家・ユートピア」)。

  • 戦略性が強くとも、その能力が役に立つ仕事がそれほどなかったりその仕事に求められる高いレベルにあってその人のレベルでは太刀打ちできないとしたら、役立たない。
    強みというのは市場と競合との関係で決まるものであって、自分の中だけでは決まらない。
    読書で得た経験が明日からすぐに役立つ必要はない。イノベーションは全く違う分野の知識の有機的な結合によって起きることが各種の研究からほぼ定説になっている。

  • 最初から最後まで知的好奇心を刺激するワクワクさせる本。ある程度アカデミックなバックグラウンドがちゃんとしてい読んだ本のお勧めが多く、確かな知恵を得られる印象。また、読んだ本同士であっても、瀧本哲史氏による組み合わせの妙には感心させられる。

  • こういう本を、僕がいつか書きたいと思ってたんだよね。先を越されたなという感じ。
    必ずしも対極にある主張の本同士ではなく、あくまで関連している本を並べての論評。一般書だけでなく、児童書などにも踏み込んでいるところが面白い。

    本の内容を紹介して、最後にとってつけたような一般論を述べておしまい、てなものとは全然違って、本の内容に関して著者の持論や意見を開陳したもので、個人的には書評はこうでないと、と思う。

    蛇足だが、難易度の表示の仕方が逆じゃないか?普通Aがいちばん難しくてCがいちばん簡単っちゅう表示なのでは?

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著者プロフィール

京都大学客員准教授、エンジェル投資家、教育者。1972年生まれ。麻布高等学校、東京大学法学部を卒業後、大学院をスキップして直ちに助手に採用。専攻は民法。任期終了後は学界に残らず、マッキンゼーへ入社。3年で独立し、多額の債務を抱えていた日本交通の経営再建などを手がけながら、エンジェル投資家として極めて初期段階の企業を15年以上にわたって支援し続ける。京都大学では教育、研究、産官学連携活動に従事。「意思決定論」「起業論」「交渉論」の授業を担当し、人気NO.1若手教官として「4共30」講義室を立ち見に。各界において意思決定を先導するリーダーを育てることを目標に、選抜制の「瀧本ゼミ」を主宰。著作物やディベートの普及活動を通して、次世代への教育に力を入れていた。2019年8月10日永眠。

「2022年 『瀧本哲史クーリエ・ジャポン連載集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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