- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087746778
感想・レビュー・書評
-
ゆるかった。何も始まらず何も終わらない。淡々としてる。特に何かを変えたいと思ってないんだろうな。そういう人もいるってことです。たゆたゆと人生を過ごす。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
映画の原作なので読んでみました。特に大きな動きのない小説・・・。
-
表題作と続編「ジャージの三人」の二編を収録。群馬県の山中、浅間山近くの標高1100メートルのところにあるレトロな山小屋が舞台である。祖父母が戦後に購入し、増改築を繰り返してきた古い山小屋だ。「ジャージの二人」は、その山小屋へ後片付けのために向かう父親に同行する僕が主人公。どこかやるせない、男二人の殺風景な山小屋暮らしが描かれる。「ジャージの三人」は一年後の同じ山小屋での暮らし。今回は別れる予定の妻を同行して、父との三人旅だ。同じような暮らしが続くのかと思いきや、一泊だけですぐに帰ってしまう妻。その後で、「僕」が見つける妻の残していったブランド物ジャージを部屋で見つける様が印象的。前作の「ジャージの二人」があるからこそ生きる話で、こちらの方が僕の心情と男の限りないやるせなさを吐露していて好きだ。発表年から考えると、その後の作品「パラレル」(2004年6月文藝春秋)へとつながる一連の私小説的風景とも読みとれる。
-
出口の見えない状況で、現状を打開しようとせず決断を先送りしたまま山荘で時間稼ぎのような、現実逃避のような暮らしをする息子と父親。何も起こらないし、起こさない。道は一つしかないのに、選ぶ勇気がないのか見てみぬふりで自分をごまかすような。でも、きっとそれが現実なんだと思う。
-
読むのは手進むまなかったのになんかぬふふってなります←ほんわかした感じ◎
-
別荘地で過ごす父との夏、と言えばオシャレな感じなんだけれど、息子は会社を辞めて小説家を目指しているというぐうたらぶり。
そこへきて、二人してジャージで過ごすんだもん。なぜだか小学校のネーム入りだしね~、笑える。
ご近所さんの作詞家、遠山さんも独特の雰囲気で謎だらけ。
ジャージの三人は、この二人に義妹が加わる。 -
H22.8.4
別荘って、いろいろ大変なんだよね。
お布団も畳も湿気てカビ臭くなるし、食べるモノだって・・・
別荘を建てるお金で、何回でもホテルに宿泊した方が絶対にいい!!
と主婦は特にそう思います。
浮気に使う人も多そうだしね~ -
淡々としている。
淡々とした小説にはヒーリング効果をつい求めてしまうのだろうか。
つまりこの小説には効果がなかったせいなのか
イマイチであった。
主人公に入り込めない。
妻が不倫しているのを静かに責めてることくらいしか
感情の波が、揺らぎが、見て取れないもの。
感情が描かれてなくても入り込める小説はあるのだけど。
もしくは、入り込めなくても、他の要素で入り込めるものもあるけど。
しかしムリだったということは、まァこの小説の波長が私とは合わなかったのだろうな。
でもこんなゆったりとした生活おくりたいです。
これが幸せかどうかってなると、考えちゃうけど。 -
なんか、ゆる〜い感じで読める。特に何もしてないし、何も起こってない。悩みはあれど、とっても平和な世界。
-
「僕」は「父」と二人、ひと夏を北軽井沢の別荘で過ごす。「僕」は現在無職、妻は別の男と恋愛中。二人は、毎日食事を作る。大島弓子の漫画にでてくる、「バターをぬってからパンを焼くかパンを焼いてからバターをぬるか」問題を持ち出したり(だからこの単行本の表紙は彼女の絵だ)、「アルフォート」や「プリングルス」や「ジャイアントカプリコ」のような固有名詞がぽんぽん出てくるくらい食べ物に対する執着はあるのに自分たちが作った料理を食べてるところはすっとばす。食事の準備をしたかと思えば、いきなり後片付けの場面になるのだ。おいしいのかまずいのかもわからない。物語の終盤、隣宅の婦人から夕食に招待され、「家で食べていた食事とは較べられない、おいしい食事」を「もぐもぐと咀嚼」する。(なんだ、自分たちの作ったものはあんましおいしくなくて、そこに触れたくなかったから食事の場面はわざと省いたのか)感情を衝突させることもない薄い膜が張ったような父子二人の生活を語っているように見えながら、わざと不快なことには触れないようにしている語り手の「僕」。そこに妻との不和を父には言わず飄々とした風を装いながら「嫉妬」や「ジレンマ」という単語を何気なく紛れ込ませる「僕」が重なる。