鳩の撃退法 (上) (小学館文庫 さ 4-11)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (552ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094064865

感想・レビュー・書評

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  • 映画の予告編を観て読みたくなって
    迷うよね、観てから読むか、読んでから観るか
    これは『読む』が先だね

  • 記録

  • ――

     別になにか大きな教訓を得るわけでもなく(教訓譚、なんて今昔で出尽くしたでしょ?)、
     特に大きな収穫があるわけでもない(新しい趣味や目的地が出来たりもしない)。
     感動に震えて身をあらためるわけでもなく(三日坊主になるまでもない)、
     感情移入して泣くわけでももちろんない(その点RPGとかのが泣くかも)。
     たかが小説である。


     そう、たかが小説である。
     けれど、序盤から流れるように巻き込まれ、引き込まれ。
     無駄口ばかり叩いているかのようなことば、ことば、ことばの中に、ひやりと煌めく刃のようなものが。
     それはミステリ的な手掛かりを見落としそうになるひやり、であり、虚構が現実を抉るひやり、であり、そして自分を試されているようなひやり、でもあって。
     そうやってどんどん気が抜けなくなっていって、転げ落ちるみたいに物語を追って、
     終わる終わる終わる、ってもう早く終わってほしいのか終わらないでほしいのかわからない混乱のまま、
     読み切ったところでうわああああって呻き声をあげながら両脚をばたばた空中のペダルを漕ぐみたいに空気をかき混ぜてしまうこれがたかが小説である。


     なんの為に読むのか、という話は以前にも少ししたけれど、それはまぁ例えば生きるためとかでいいとして、よく考えたら本当に生活のために本を読んでいる、読むことで生計を立てている、っていうひともいるわけで(羨ましいんだかどうだかわからんけど)、では逆に生きるために書いているということが、書くことで生計を立てていることとイコールで繋がるかというとそれも怪しい。
     書くため、書き続けるためには不断の努力が必要なのは前提として、
     そうまでして書かせるものというのは、一体何なのか?

     そのこたえのひとつ、こたえというのは真理とかそういうことではなくて格好が付く返答のひとつが、描かれているように見えた。読めた。
     そのへん津田伸一を主人公として読んだ場合、であって、実はこの作品自体を幸地一家失踪事件の副産物と捉えれば物語の主題も大きく変わってくるのだけれど、そんなこと云ったら小説って大概そうか…
     また面倒な(?)ことに、個人的にどのキャラクタにも肩入れしてしまう要素があるからより、そういう読み方にもなってくる。
     お前佐藤正午の小説に出てきそうな奴だなぁ、とか云われたいもんだ。


     思い付きには、理由があって。
     もっと云えば、それをいま、自分が思い付いたことにも理由があって。
     誰の言葉も「いま、ここ」のものであるように、それを物語ることのできるのは自分だけ、なのかもしれない。
     同じことを、いつかどこかで、誰かが語ってくれたとしても。語られてしまったとしても。

     さてその上で、では今度は想像力の製造責任、ということになってくる。
     「あなた」の想像力には、責任が伴うのだ。
     ティンクの生殺与奪を握るくらい重要な責任が伴うのだと。
     それを自覚して、もっといろんなことを想像、してみよう。


     だんだん怖くなってきた。
     ☆4.4

  • 2021年8月映画化
    摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50087580

  • 佐藤正午の山田風太郎賞受賞作
    小さな街でその日暮らしを続ける、直木賞も受賞した作家の語るストーリーが展開していきます。どれが本筋なのか迷う展開と、伏線だらけに思わせるテクニック、ちょっと不思議な世界観で物語は進み・・・
    淡々と紡ぐストーリーに意外と引き込まれます。
    というコトで、下巻行きますっ!(^^♪

  • 有名な文学賞を過去に獲ったが、今は「女の子」の送迎ドライバーとして働いている。そんな時、ある人物が持っていた多額の現金を手に入れる。しかし、それは偽札だった。
    他にも相席していた人物が失踪したりと様々な出来事が複雑に絡む。


    今度、藤原竜也主演で映画化されるということで読んでみました。上巻だけでも、500ページ以上というボリュームある量でした。謎を謎を呼ぶ展開で、どんな展開が待っているのか、惹き込まれました。

    ただ、主人公の一人語りが独特で、時系列が行ったり来たりで戸惑いました。途中途中から読むと、これはどの場面?誰の話だっけ?と思うところが多くあり、一気読みしないと内容についていけないなと思いました。

    でも、一つのエピソードに隠された背景を知ることで、物語に奥行き感がすごく膨らみ、もっと先が気になりました。

    主人公の作った演劇の案内人かのように次々と読み手を色んなところに誘っていきます。気になる部分やエピソードがいかにしてこのような状況になったのか、話を膨らませてくれますが、クドイかなとも思いました。

    早く、先へ進ませてくれと思うこともあり、焦ったさもありました。

    映画化されるということで、個人的には主人公が藤原竜也さんとは驚きでした。年齢がもう少し高めなイメージだったので、どんな作品なのか楽しみです。

    まだ上巻ですが、下巻では偽札や失踪といった謎の出来事がどう解決していくのか気になりました。

  • 何が起こるかわからない面白さ
    下巻にも大いに期待です

  • どこを楽しめばいいのか全くわからず。下巻まで読めばわかるのだろうか?

  • 話がなかなか進まなすぎて、普段から読書しない人は挫折するだろうなぁ。
    偽札が気になるので下巻にいきます。

  • 小説家である作家を取り巻くミステリーのような小説(ミステリーか?)。最初の書き出しはほのぼのしてて、前置きがかなり長く、油断していたので疲れたが、後から伏線が回収されてきて、のめり込んでくる感じ。結構ページ数はあるけれど、読み応えのある小説。

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著者プロフィール

1955年長崎県佐世保市生まれ。『永遠の1/2』ですばる文学賞、『鳩の撃退法』で山田風太郎賞受賞。おもな著作に『リボルバー』『Y』『ジャンプ』など。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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