THE MATCH (小学館文庫 コ 3-5)

  • 小学館
4.20
  • (6)
  • (6)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 69
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094072235

作品紹介・あらすじ

傑作ミステリ『森から来た少年』待望の続編 幼い頃に独り森で育った過去を持つ天才調査員ワイルド。コスタリカでの新生活を終えてアメリカに帰国した彼は、DNA鑑定サイトを使い生みの親を捜していた。亡き親友の母・豪腕弁護士ヘスターの協力を得て、父親と思われる男を捜し出したものの、母親が誰なのか、なぜ自分が森に捨てられたのかはわからないままだった。そんななかで母方の血縁者と思しき男PBからの4か月前のメールに気づいたワイルドは、彼と連絡を取ろうとする。PBはリアリティ番組のスターだったが、あることが原因で大炎上し、行方がわからなくなっていた。PBの周辺調査を進めるワイルドだが、やがて思わぬ事件に巻き込まれてしまう…。 一度読み出したらページをめくる手が止まらない!世界的ヒットメーカー、ハーラン・コーベンが放つ、傑作ミステリ『森から来た少年』待望の続編。 【編集担当からのおすすめ情報】 90年代に「マイロン・ボライター」シリーズで大ブレイク、以降、本国アメリカだけでなく世界各国で読まれ続けるヒットメーカー、ハーラン・コーベン。クオリティの高いミステリを長年にわたって毎年発表し続け、日本でも前作の『WIN』は日本推理作家協会賞翻訳部門賞の最終候補作に選ばれるなど、「コーベン作品にハズレ無し」と太鼓判を押される存在です。最近は『ステイ・クロース』『ザ・ストレンジャー』『シェルター』など、映像化作品が次々に作成・配信され、まさにエンタメ界の最重要人物の一人と言っても過言ではありません。 そのコーベンの新作『THE MATCH』は、2022年刊『森から来た少年』の続編です。主人公のワイルドは、物心つく前に森に捨てられ、35年前、6、7歳のころに森で発見された過去を持ち、現在もニュージャージー州の森の中で暮らす不思議な男。めっぽう魅力的なこのキャラクターに加え、コーベン作品ではお馴染み、冠番組も持つ人気者の豪腕弁護士で、ワイルドの母親代わりでもある「最強おばあちゃん」ヘスター、この二人の活躍が前作以上にパワフルに描かれます。ワイルドがDNA鑑定サイトを使って生みの親捜しを始めたことから、明るみに出たさまざまな事実、そして新たな事件。映像が浮かぶような鮮やかな描写と、まったく先の読めないスリリングな展開に圧倒される、極上のエンタテインメント小説です。ぜひお楽しみください。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • The Official Harlan Coben Website
    https://www.harlancoben.com/

    THE MATCH | 書籍 | 小学館
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09407223
    ---------------------------------
    唇を閉ざせ - 作品情報・映画レビュー -
    https://www.kinejun.com/cinema/view/42318

  •  『森から来た少年』は、奇想天外なアイディアで生まれた、いかにもコーベンらしい奇作であった。森に棲んでいた非文明的少年ワイルドは、40代にさしかかっている。彼は超奇妙な私立探偵存在として現代文明の中に沸き起こる現代的事件を解決に導いてゆく。解決できていないのが彼の正体。彼はなぜ独り森で育つことになったのかという謎。

     またワイルドとダブル主人公的に活躍するのが、何作ものシリーズや単発作をまたいで登場する女性弁護士ヘスター・クリムスティーンである。そう。このシリーズは続編である本書と併せてワイルドの出生の秘密に迫るのが本書なのである。なので『森の中の少年』を読んだ人はこれを読まなくては完結しない。そう言われて読まない人がいるだろうか? 一方でヘクターの家族の歴史が重要な分岐点を迎える物語でもある。ヘクターおばちゃんのファンであってこれを読まないなんていう読者が果たしているだろうか?

     さて本書。主人公ワイルドがDNA鑑定を通じて近親者を探していたところ、DNAが50%マッチした人物がいることを知るが、特定には至らない。一方、ワイルドにメールを送ってきていた人物が母方の血縁者と知り、こちらでもDNAのマッチ確立を探るが、その人物がTV番組で名が知られた挙句、ネット内で追われ失踪中とワイルドは知る。ワイルドの追う人物がリアリティ番組の参加者がネット世界で怒りや攻撃の的となり炎上したと言う。そんななか、ワイルドは警察官らの悪辣な暴力に曝され瀕死の状況に追い込まれる。彼をも巻き込む闇ネットの存在は何か? スリルと謎の深さが半端ではなく、ジェットコースターなみのストーリー展開と、錯綜の複雑さが混乱とミスリードを呼ぶ。

     読み進むにつれもつれた人間関係がほどけてゆくのだが、真偽や正邪の判断もつきにくい過去と現在の状況がネット情報とリアルの隔たりの狭間に溢れ、ワイルドとともに読者も混乱に突き落とされてゆく。何よりも見た目通りではない人物の多さと、何層もの虚実を剥いてゆくストーリーの複雑さが混乱を呼ぶ。

     一気読みに近いが、登場人物が多く複雑に互いが絡み合っていることもあってキャラクター表での確認作業が読書中とても大変であった。リアルとバーチャルの多次元的ストーリー進行もあまりに現代的なので、コーベンの作品中最も難読度の高い作品であるように思う。森で育ったこどもが大人になってこれほどの多次元バーチャル化した世界に対応してゆく才能とその知性には驚かされるが、ワイルドという個性の持つたっぷりと溢れかえるヒューマニティが作品の殺伐さを根底で救っている物語であるとも言える。

     いずれにせよ、設定も進行も奇才ハーラン・コーベンならでは個性に満ちている。語り口は平易で、場面転換も豊かで相変わらずのリズミカルなミステリーである。魅力的なヒーロー&ヒロインの悲劇と喜劇の多重構造の謎で構築されたこの世界。それらをしっかりと味わいながら是非とも丁寧に読んで頂きたい力作である。

  • 幼い頃に独り森で育った過去を持つ天才調査員ワイルド。コスタリカでの新生活を終えてアメリカに帰国した彼は、DNA鑑定サイトを使い生みの親を捜していた。亡き親友の母・豪腕弁護士ヘスターの協力を得て、父親と思われる男を捜し出したものの、母親が誰なのか、なぜ自分が森に捨てられたのかはわからないままだった。そんななかで母方の血縁者と思しき男PBからの4か月前のメールに気づいたワイルドは、彼と連絡を取ろうとする。PBはリアリティ番組のスターだったが、あることが原因で大炎上し、行方がわからなくなっていた。PBの周辺調査を進めるワイルドだが、やがて思わぬ事件に巻き込まれてしまう…。

    「森から来た少年」の続編。抜群のリーダビリティ。日本でももっと評価されていい作家だと思う。刊行を続ける小学館文庫に感謝!

  • 現代の悲劇か喜劇か。最高すぎる。

  • 普通でした

  • CL 2024.2.13-2024.2.15
    「森から来た少年」ワイルドの実の親探しと、リアリティ番組の虚実やネットの中傷。いろんな要素が絡み合って、一気に読める面白さだけど、一気に読まないとわからなくなってしまう複雑さもある。そこをラストに全部ひっくるめて回収する手腕はさすが。
    でも、次回がないようなまとまり方でちょっと残念。もっとワイルドを読みたい。

  • 一気にいけるが、人間関係が複雑で、前作の展開も忘れているし。これでケリがついたってことで、次作はないのかな。

  • 前作もそうだったけれど、流れるようにストーリーが進むね。途中、止めるのが大変。

  • 立て続けにハーラン・コーベンの作品を読んでいる。シリーズ前作の森から来た少年がとてもおもしろく、主人公のワイルドがお気に入りだったので、今作も読む前からとても楽しみにしていた。今作では、前作わからなかったワイルドの出生の秘密が、事件と関わりながら明らかになっていく。前作とおなじく、中盤から後半にかけて読む手がとまらない!DNA鑑定サイトやリアリティショー、SNSの誹謗中傷など、昨今の問題や流行りがぎゅつと詰め込まれ、その上、ワイルドの出生やワイルドとレイラの関係も、前作以上に深く掘り下げられる。自分が何者なのか?という問いから逃げることをやめたワイルドが、人と関わること──レイラとの関係──から逃げることもやめ、自分の気持に正直になっていく様子にぐっときた。期待以上の傑作!2023年、本国ではすでに新作が出版されているようなので、翻訳されることを気長に待とうと思う。

全11件中 1 - 10件を表示

ハーラン・コーベンの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
アンデシュ・ルー...
ジェフリー・ディ...
ピエール ルメー...
ハーラン・コーベ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×