きいろいゾウ (小学館文庫)

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  • 小学館
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  • / ISBN・EAN: 9784094082517

感想・レビュー・書評

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  • はじめて読んだ西加奈子。

    映画化になるということで、
    映像観る前にぜひ原作を読んでおきたいと思いつつ、
    結局映画は観そびれてしまったが、
    むしろゆっくり読めてよかった。

    ストーリーを追いたくなる性格の私が珍しく、
    ゆっくり丁寧に、大切に読めた1冊。
    加えてこれまた稀有なことに、
    ある程度時間が経ったら、
    何かの折にまた読み返したくなる、
    そんな1冊。
    この感じ、わたしはすごく好きです。
    泣けはしないけど、
    胸にぐっとくると言うか。
    月並みな言い方だけど。

    表紙の印象とはちょっと違っていたのと、
    今までこの本を見るたびに、
    いしいしんじと共に、
    「ビレッジバンガード」に置いてある1冊、
    くらいの印象しかなかったから、
    きっかけはさておき、
    このタイミングで読めてよかった。
    (いしいしんじの時はまだ来ないが・・・)

    折りしも「ふくわらい」本屋大賞にノミネートされてたようだし、
    このタイミングで読めてよかった。

    向井理と宮崎あおいのイメージで読み始めたけど、
    もしかしたら映画を観ないほうが原作のイメージを保てるかも、
    と思ったら激しく迷。
    さすがに関西弁じゃないよな・・・

    (とここで映画予告を観てみる)
    【追記】
    やっぱり映画も観ておけばよかった・・・。
    あんなところに、あの方この方起用しているとは・・・
    嗚呼タイミングを呪。
    8月まで長いなあ・・・

  • いなくなってしまう不安よりも、今一緒にいられる奇跡を大事にしていく。
    ということを、ムコさんが教えてくれた。
    ツマとムコさんは、一緒に暮らしている。同じ景色を見ていても、違うことを感じていたりする。そんな当たり前だろうことが、何だか新鮮で。なんだかそれがよかった。

  • 仲のいい二人だなぁが、最初の印象。
    ツマの日常の語りと、ムコさんの日記で綴られる夫婦の物語。
    あたたかーい、ちょっと不思議な、愛のある風景が想像できました。
    このままこんな風な感じのお話なのかな…と思ったら、途中から……
    そこから止まらなくなりました。
    ツマの不安。ムコさんの昔。周りの方のいろんな過去。

    映画は見ない。小説がとてもよかったから。きっと、私の頭の中の「きいろいゾウ」とは違う気がする。
    ツマかわいかったー。
    もし、旦那が本を読む人なら、薦めてみたい一冊。

  • 文庫化したら買おうと思っていた作品。
    西さん独特の、友達にしゃべるような語り口調の文体。

    前半の夫婦の日常と、ムコの日記が好き。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「友達にしゃべるような語り口調」
      親しみを感じます。
      こちらも映画公開が待ち遠しい!
      「友達にしゃべるような語り口調」
      親しみを感じます。
      こちらも映画公開が待ち遠しい!
      2013/01/11
  • どこか不思議で幻想的な空気が、終始漂う物語。
    ツマを見つめるムコさんの視線が優しく、こんな夫婦の関係がものすごく理想だなぁと。

    ただ、優しいだけでは終わらなくて、人を愛することには痛みや恐怖が伴うということが、じんじんと伝わってくる。
    失うかもしれない恐怖、失敗するかもという迷い、相手が何を考えているのかわからないことへの不安…。
    だけどそれを越えたとき、愛は何にも負けないくらい強くなるんだ、ということも。
    その愛の深さに、大きさに、あたたかさに、私は何度も涙しそうになった。

  • 男が勝手に決断したことって、女が何言っても変えられないんだよね…。

    田舎で仲良く暮らすムコさんとツマ。
    でも、ムコさんの背中には色とりどりの翼をした鳥の刺青があって、それに対しては何も話してくれない。
    で、唐突に東京に一人で旅立っちゃうムコさん。。

    残されたツマが痛々しくて、でも周りの人があったかい。

    • まろんさん
      ツマが、思わず「よしよし」してあげたくなってしまうかわいさでした。
      宮崎あおいがツマ役をずっと熱望していて、
      ついに映画化されるそうですね。...
      ツマが、思わず「よしよし」してあげたくなってしまうかわいさでした。
      宮崎あおいがツマ役をずっと熱望していて、
      ついに映画化されるそうですね。
      どんな映像になるのか楽しみです!
      2012/06/26
    • hetarebooksさん
      そうそう、同性ながら可愛い~と思ったのを覚えています。宮崎あおいちゃんならイメージ通りかな。
      映画化楽しみですね!!
      そうそう、同性ながら可愛い~と思ったのを覚えています。宮崎あおいちゃんならイメージ通りかな。
      映画化楽しみですね!!
      2012/06/28
  • 宮崎あおいちゃんが本の帯に「ツマを演じてみたいと思った」と書いて売れたらしい。
    ツマは素直で女の子らしく、ムコさんはしっかり者でツマを心の底から愛していて、いいなぁとほのぼのする小説だった。

  • ゆっくり編まれていく尊さが、素敵だと思った

  • 感受性が強すぎて動物の声や人の思念が見えてしまう「ツマ」と、背中に飛べない鮮やかな鳥を飼っている小説家「ムコ」。夫婦の、ちっぽけで壮大な愛のはなし。

    夫婦って一番近い他人で、
    守ってあげたくて、守ってあげられるか不安で、
    たったひとことが言いたくて、肝心なときに言えなくて、
    感じることはたくさんなのにうまくことばにならなくて、
    「大丈夫だよ」に救われて、
    空気みたいに水みたいに生きていくのに必要な存在で、
    だから失うのがとても怖くて、
    こころとからだの両方が離れてちゃうまく生きれなくて、
    そこにあるってわかってるから、安心して眠れる。

    思いやりあえて、
    全身無防備に預けられるって素敵‥!

    ツマに初恋する少年大地くんの話もとても好き。
    うんうん、恥ずかしいことと格好悪いことは違うんだよね。
    大人になるって悪いことじゃないよね。

    読了感がとても素敵なハートフルな小説でした。

  • いちばん好きといっても過言ではない本。西加奈子さんの中で一番最初に読みました。
    ムコさんとツマの、ほのぼのとした情景が読んでてほっこりしますが、だんだんと夫婦の乗り越えるべき壁が見えてきます。
    自分の中の恐怖を、それぞれで乗り越えていく夫婦の微妙な距離感が、実はとっても現実的で共感できてしまいます。
    愛することとは難しくて、でもシンプルなことでもあるのだと教えてくれる大好きな本です。

  • ツマ目線の物語と、ムコ目線の日記が順番に出てくる構成が面白い。
    登場人物が、皆(昆虫、動物含め)とても魅力的で、どのキャラクターに対しても愛着が沸いてくる。
    最初はのほほんとした田舎暮らしの話か、という感じだが、
    後半は雰囲気ががらりと変わる。
    少し間延びして読み難い部分もあったが、読んだ後味も良く、自分の生活を顧みさせてくれる作品だった。
    読んで良かった、そしてまた読みたいと思ったので、満点★。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「皆(昆虫、動物含め)とても魅力的」
      映画で。どんな風になるか今から愉しみ!
      「皆(昆虫、動物含め)とても魅力的」
      映画で。どんな風になるか今から愉しみ!
      2013/01/24
  • 小説でこんなに泣いたのははじめて。

    ツマにもムコさんにも共感してしまう。
    すぐそこにいて自分のことを想ってくれているのに
    この人がいなくなってしまったらどうしようとか。
    手を握りたい。名前を呼んでほしい。

    そんな気持ち。

    わかってるのにわからない感じ。

    この本に出逢えてよかった!!

  • 本気で読んだ
    この本の主人公ふたりは
    どんな答えを出すんだろう?
    どういうふうにして乗り越えるんだろう?

    前向きな意味で
    なんとなく、夫婦ってこんなもんなのかな
    ってのを感じさせてくれる本だった。

    大好きな本の一つになった。

    • yummyさん
      私も、これを読んだ当初から映画で観てみたいなぁと思っていたので、行こうと思ってます!
      私も、これを読んだ当初から映画で観てみたいなぁと思っていたので、行こうと思ってます!
      2013/02/10
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「行こうと思ってます!」
      如何でしたか?
      私は、良い感じに出来ていたと思います。
      一言だけ書くなら、リリー・フランキーと緒川たまきがgood...
      「行こうと思ってます!」
      如何でしたか?
      私は、良い感じに出来ていたと思います。
      一言だけ書くなら、リリー・フランキーと緒川たまきがgoodでした(個人的な好みですね)。。。
      2013/03/15
    • yummyさん
      Amazonプライムでみました!
      Amazonプライムでみました!
      2018/09/14
  • 西加奈子の言葉は、私の心のぼんやりとした不安をゆっくり和らげて、安心させてくれる。

    本作で大好きな言葉
    「たくさん、たくさん、あります」

    まだ知らないことや、知ろうとしなかったこと、ただそこに横たわっているだけで美しいようなことが、この世界にはたくさんある。

    死にたいわけではないけど居なくなりたいなあということがあって、でもその時にこの言葉を聞くと、まあもうちょっと生きてみるかあって、そう感じられる。

    あまり不安にならなくて大丈夫。
    必要なことは覚えているのもだし、そこにあるものだから、居なくならないから、大丈夫。

  • 大人とは、愛する事とは、田舎で暮らす事とは、東京で暮らす事とはなど、おっきなテーマが散らばっていて考えながら読んでいた。
    人に対して自信を持って愛する事はかっこいい事で、
    恥じる事も恐れる事も一切無いと思った。
    それに加えて緊張感が伝わる場面が多くあったが、
    時の流れが遅くなり、周りの言葉やものの解像度が高く見えた時の表現が美しかった。

    メモ
    ムコ
    ムコは自分の人生を、歩んでいる気がしない。なぜか本音が出せていない。なぜか、自分とは別の人間を歩かせている感じがしていた。
    この原因は、ない姉ちゃんの死が一番大きい。なぜなら、ない姉ちゃんに対してムコは子供を装い、何もしてあげれたことがなかった。そのまま死んでしいってしまった。自分に対して罪悪感、無力感を常に感じていて、足利さんが、なくなってまたその気持ちが増幅し、自分の役割が、人生の意味がはっきりしなくて生きている感じがしなかったムコさん。けれども、老人が奥様に対して恐ろしいほどの愛情を注いでいるのも横で見た時に、これこそが自分の役割であり、今からもう一度しっかりツマを愛そうと前を向き決心することができた。また、元絵描きさんない姉ちゃんに見えた時、匂いがした時に、自分が一緒の世界に、変わらず存在してると後押ししてくれた感覚があった。

    ツマ
    ツマは満月や満潮に不安を感じる。
    満ちているものや満ちているという状態にに対して不安を感じやすい?自分に自信がないから?
    だから、登場人物に完璧な人は出てこない。
    それでもムコは支えてくれるから自分は自分でいれる。
    →この状態から崩れてしまうかもしれない不安や恐怖が常に纏わりついていた。

  • 将来結婚することがあるのならば、こんな夫婦間でありたいなーと思いました。ツマの見える世界観は可愛らしいです。

  • よく分からなかったけどすごく感動できる本だった。
    めちゃくちゃ面白かった。
    西加奈子先生これから注目していきたいと思う!

  • グラウンディングできる本だと思った。
    あるべきところにみんながおさまる、
    その力強さを体感させてもらった気がした。

  • 田舎で暮し始めた少し変りものの若い夫婦と近隣の人たちとの交流をユーモラスに描き出す前半部。メルヘンチックでファンタジックでユーモラスに描かれる暮しは、二人の過去に起因する心の揺れにより急激に危機へと向かう。各章は童話の一場面で始まり、その日の出来事が2人の視点で繰り返し語られる凝った構成で物語は進行する。キャラの立った登場人物、童話、エピソードが次第に結びついてきてエンディングに向かうストーリーの作り方はさすがに上手だが、ちょっと作り込みすぎ。話しがどちらに向かうのかわからないうちは面白いが、メッセージが単純なこともあり、収束に向かう後半は「あー、そうなるのね」という感じで醒めながら読んだ。

  • 再読(聴)。登場人物すべてがいとおしく、いつまでも物語の世界に浸っていたくなった。以前読んだ時より鮮やかにイメージできたような気がする。ナレーターさんがよかったからかな。

  • 「ちっぽけな夫婦の大きな愛の物語」
    田舎に住むほのぼのとした夫婦の生活が持つとてつもない陰の部分が小説後半で明かされる。主人公の2人にとってそれは大きな試練となるけれど、その試練を乗り越えることで、それまで分離していたツマとムコそれぞれの心と身体が一体化する。

  • 前半の、独特な言い回しや表現に私はついていけなかった…。
    どうにか読み進めていったが、前半がうまく飲み込めなかった私には、後半の盛り上がりも、そこまでグッとくるものは残念ながらなかった…。

  • 親の反対を押し切り結婚した夫婦のツマとムコ(これは名前)の不思議な田舎暮らし。
    穏やかな時間が流れる生活を送る2人の話...ではなかった。ただの心温まる話ではない、大事なのは夫婦になっても相手を思いやること、恋をすること。
    痛みを知ることも大切だよね。
    これ結構個人的に好きな話でした、出てくるご飯も美味しそう、見えないものが見えたり生き物と会話できるツマさん面白いし、ムコさんの日記が読んでて好ましい。
    死とか命とかも関連しつつ起承転結有りのぼやっとしてない全体像、読み応えありました。

  • 一緒にいたいのか分からない、通り過ぎてどっかに行ってしまいたいような気もするし、しない気もする。
    収まった先に何かあることが分かるけれど、それ以上分からない。

    っていう時に読んだ。いい本だった。また読み返すと思う。手元に置きたくて、母の本だったけど自分でも買った。

  • 主人公のテンション?についていけず。夫婦の会話も独特のジョークを交えたりクスリと笑わせたい模様だが面白さが全く分からなかった。終始支離滅裂な印象。途中何度も挫折しかけたけど最後は飛ばし飛ばしでなんとか読了。読み返すことはなさそうだ。残念。

  • 西加奈子史上、マイベストです。
    いや、全読書経験の中でも1位かもしれない。

    日常性と非日常性、現実と非現実、大人と子供、男と女。命あるものと命無きもの。言葉を持つものと持たないもの。色彩を持つものと持たないもの。
    ひとつの物語の中で、これらが対比され、かつ見事に共存している。
    それすなわち、「この世界」である。

    西さんの作品では、主人公が「こんがらがって」いることが多い(たぶん)。そして、主人公の周囲に「こんがらがらない」人を配置して主人公を救っていく。
    「こんがらがらない」人は明るくて朗らかで、下手するとちょっとお馬鹿に見えたりするけれど、主人公みたく「こんがらがらない」分だけ気楽に生きているように見えることが多い。それは「効果」を目的としてデフォルメされたキャラクターであり、西作品の魅力のひとつだ。
    それすなわち、エンターテインメントである。

    果たして、この『きいろいゾウ』の主人公である一組の夫婦は、ふたりとも「こんがらがって」いる。一見、気楽にマイペースに生きているように見受けられるが、実は2人とも、それぞれの仕方で「こんがらがって」いる。
    その「こんがらがり方」の違いや、「こんがらがる時期」のズレから、夫婦としても「こんがらがって」しまう。一方の「こんがらがり」が、他方の「こんがらがり」を誘発する。だから夫婦はそれぞれに、自分自身が「こんがらがり」ながら、パートナーの「こんがらがり」が解けることを祈り、自分自身の「こんがらがり」をほどこうともがく。
    そして実は、主人公の周囲に配置された登場人物たちもまた、それぞれに「こんがらがって」いるけれど、そんな「こんがらがった」人たちと交流しながら、夫婦は「こんがらがり」を解いていく。
    それすなわち、「私の人生」である。
    そしてきっと、「あなたの人生」である。

    だからこの作品は、いろんなものがもみくちゃになったこの世界で、こんがらがりながら生きる僕やあなたを描いてくれた、最高のエンターテインメントなのである。

  • ほのぼのとした関係の裏にある、隠された影の部分に引き込まれた。
    本当に「必要なもの」がひしひしと伝わってきた。
    じんわりと心が温まる話だった。

  • 2回読もうとトライしたものの、2回とも数ページで断念。展開が遅すぎて自分にはちょっと退屈だったのかも

  • 西加奈子ワールドを感じた。
    最初ちょっととっつきにくさあるけど、ハッとする文がたくさんあった。
    大地くんとツマの絡みが好き。というか、大地くんのラブレターが素敵。
    色んなかたちの「夫婦」が出てきて、結婚ってやっぱ素敵だなって思ってしまった。

  • 楽しかった。
    いっぺんに読めなかったから本を開くたびにワクワクさせていただき感謝です。
    大地君の手紙、、、、やられたわーーーー。
    小学生の書くラブレターではないような素敵な手紙。
    そこのページだけを開いて何度も読み返しています。

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

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