きいろいゾウ (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094082517

感想・レビュー・書評

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  • 半分くらいまでは、ほのぼのとしたお話だなぁと思っていました。感受性豊かな奥さんを温かく見守る旦那さんという感じで。
    後半から、だんだん陰が見えてきてそこから引き込まれました。
    どれだけ仲が良くても考えてることは違ったり、わからない部分もあって、一緒にいるけど孤独という部分が巧みに表現されていました。
    目の前の人や物にもっと丁寧に関わっていきたいと思える本です。
    個人的には大地くんの将来が楽しみです。

  • 面白かったです。すらっと読めました。
    ツマとムコさんの次にも期待したい作品でした。

  • 言葉の世界の臨場感。

  • みんなそう。過去があって、今がある。毎日を大切に過ごそうと思える物語。

  • 田舎で暮らす少し不思議な優しい夫婦。そして、ご近所のお話。後半で大きく状況が動く。ずっと秘めていたムコの秘密。ツマの不安定な気持ちを置いてムコは旅立つ。繊細な気持ちのバランスを一生懸命保っているような、今にも暗い闇に落ちていってしまいそうな、そんなお話の展開。けれど、最後にはとっても温かい気持ちが膨らむ物語だった。ムコはツマを、ツマはムコを愛しているからね。この不思議な感覚を言葉にするのは難しい~(笑)

  • 幸せそうな家族にも倦怠期って訪れるのかな。ムコさんとツマが致命的なケンカをしたようにも、その原因になるようなことをしたとも思えない。日々の生活を大事に暮らしていると意外に小さな幸せがいくつも目の前に現れてくる。それが実感できていれば、日々は楽しい、と思う。そんなふうに生かされていると思うとまわりのいろんなことに感謝をしたくなる。
    アレチさんの「わしは、セイカを、好いとる」って言葉がいい。認知症になったセイカさんとの生活は寂しく悲しいときもあるだろう。でも好きは好きなんだよね。どうしようもなく好きだから一緒に暮らしているんだものね。だからアレチさんは倦怠期みたいなものに心を揺さぶられたりしないだろう。
    ムコさんの「ツマを、愛している。」の一言でふたりの時間がまた動き出した。やっぱり言葉で伝えなくちゃダメなんだ。ツマが読んでいる日記じゃなくてムコさんの発する言葉じゃなくちゃ。こんなにシンプルなことなのに、オイラもできていない。そういえば、子どもが大きくなって夫婦共通の知人っていなくなったなぁ。それもふたりの閉塞を助長している気がする。どげんかせんないかん!

  • とても良い小説だった。
    自然や動物、人間たちに対する目線の素直さや可愛らしさ、相手のことを精一杯想っているがゆえの距離感、それらを表現する言葉の選び方、各章の初めに挿入される絵本の効果など、素敵な点を挙げ出したらきりがないくらい良い小説だった。

  • 西加奈子さんの小説はやっぱすごいなぁ

    田舎の、ゆっくりとした風景の中ののんびりとした夫婦の話で、どこにでもありそうななさそうな話なんだけど

    もう思いっきり心を揺さぶられる

    この本読み終える間に
    たくさんのことに気づいて
    たくさんのこと思い出して

    たくさんの思いが私の中を通り過ぎた

    西さんの話は
    本当に誰かの他人の人生や心の中を生で覗いているようで
    だから生々しくて、
    より突き刺さる

    わかるわかる

    って感じ

    どの本読んでも全部がわかってしまう

    西加奈子さんすごいなぁ

    こんな小説書けるって本当にすごいなぁ

    書かされてるんだろうなぁ

  • 著者・西加奈子さんの考える「これがたぶん、いやきっと正しい生活」っていうのは、僕にも「賛成!」と諸手をあげられるようなイメージです。彼女の真正面性って本当に真正面だと僕は思う。人それぞれに共通する「真正面への向き方」がここにあると思った。複雑さを捨てて因数分解して出た「真正面へ向く姿勢」がある。そういう精神が根底にあって描かれた世界のように僕は感じました。ツマの文体、ムコの文体、そしてクライマックスで盛り上がったときのそれぞれの文体とその密度。書き分けと濃淡と。総じて繊細ながらもあっけらかんとして、そして著者の、「エンタメとして、書き手の真剣さを感じさせないために用いた技巧や気遣いの中での、読者の前から消し去って見せないでいる真剣さ」を感じました。

  • 名前がツマとムコという夫婦のお話。
    田舎暮らしをベースに、まったりとお話が進んでいきます。本に出てくる料理とビールが美味しそう。
    サクッと読みたかったけれどスローペースでお話が展開していきます。不思議な世界観を見せてくれました。

  • ファンタジー。
    不思議ちゃん感がなかなか共感できないけど、いい話でした。
    色んな感想読むと、こんな夫婦に憧れるってのが多いけど、なんつーか…、かたちは違うかも知れないけど、こんな夫婦たくさんいるよ。って思いました。

  • 好き・嫌いが分かれる本だと思う。

    ムコ・ツマはじめとし、登場人物たちの悩める姿。共感できるところ、考えさせられるところもたくさんあるけれど、あまりの情緒不安定っぷりに読んでてイライラすることも(笑)

    ネーミングセンスが好き。特にメガデス(爆)

    映画では、向井理くんと宮崎あおいちゃんが主演なんだよね。お似合いだろうなぁ~(*´∀`*)

  • ほわんとした世界観はとても好きで、こんな風に生活してみたいなぁと思った。
    個人的に、ムコさんが夫とよく似ていて、感情移入してしまった。

    謎のまま終わった部分があり、それも良さかもしれないけど、もう少し二人のその後が知りたかったなと思った。

  • 癒される。
    ひとつひとつのことばが
    いろ
    おと
    におい
    ふれる感覚
    色鮮やかに眼に浮かぶ。

    ツマが愛らしくて
    そんな風に
    自然に
    素直に
    やわらかく
    少しワガママに
    ただ純粋に
    愛するひとを愛したいなって思う。

    ムコさんが
    かっこよく
    強く
    頼れる男になっていく過程が
    痛み
    痛みは感じるけど
    ぐっと足踏みが深く強くなる。

    大地君の存在が
    アレチさんの存在が

    ひとりひとりが
    大切な存在。

    もう一度読みたい。

  • 初々しい夫婦のお話。ファンタジーぽいかな?一見、お似合いの二人でも、夫さんは過去の思い出を心に秘め、妻はふしぎな世界の住人だ。その二人が過去を乗り越え、今を見つめる時がきて、本当の夫婦になるまでのお話。
    ジェニーのおばあちゃんの、「夫婦ってのはな〜」の話がとっても解る解るって思った。

  • 大切なもの、おいしいもの、きれいなもの。
    笑顔、悲しい気持ち、忘れられない人。

    空、風、花、大地。
    全部、全部がゆっくりと入れ代わり、先へ先へと続いていく。

    その一端にいる、とある夫婦の再生物語。


    映画を観て「なんや、ようわからん」と諦めてしまうのは非常にもったいない。
    是非とも多くのひとに、この空気を味わって欲しい。
    (でもきっと、「なんとなくわかるひと」と「全く理解できない人」に分かれるお話だろうな。
    どちらが悪いという訳ではないけれど。)

  • 昨日一気に読んだ。ツマは本当に可愛かった。クラスや同僚にそういう子がいったらちょっと困るかもしれないけど、でも本当にとてるもなく可愛かった。
    でも一番好きなキャラクターは大地くんとヨル。なんでだろうね。
    映画のDVDが出たら観る。映像化が気になる。

  • ツマとムコ。2人が羨ましいと思った。切実に。

    こんな風に誰かと思いあって、ずっと一緒にいれたらと思う。

    どんなに仲のいい2人でも、お互い過去を持っていて、入り込めない世界があって、一つにはなれない。
    それはとても怖くて悲しいけど、それでも、ずっと一緒にいようとお互い思いあえたらいい。

  • 大学時代に購入して、その時にも読んだけど、あれから3年くらい経ってまた読むと、全然違う印象。

    大学時代に読んだ時は、あったかい話だなぁっていうくらい。
    その頃は、ベタベタな恋愛ものが好きだったから、特に印象には残らなかったのかも…

    今回は、結婚とかその後の生活とかを、以前よりは具体的に考えられる立場にいるから、
    あー、なんか夫婦って、こうだなぁと思いながら読めた。
    同じ日常の生活でも、ムコさんとツマは全然違う感じ方をしている。でも、それはそれでうまくバランスがとれている、そんな夫婦。

    最後の「ぼくのつま」の文字、ステキだなぁ。

  • ずっと気になってたものの、機会がなく読んでいなかったのですが。。。
    大好きな宮崎あおいちゃん主演で映画化するということで、踏ん切り(?)がつき、購入。

    実際には映画は、近所でやってなかったのと、ちょっと足をのばしてなら行けそうな場所のは時間帯が悪く(平日の昼間しかなかったり)、行けずじまいでしたが...

    ツマの声が、私の頭の中で完全にあおいちゃんのそれになっていて、すんなり世界に入り込むことができました。
    レビューを読んでいると賛否両論あるようですが、私は大好きな作品でした!

    途中少しわかりづらい部分もあるにはありましたが、全体的には好きです!お気に入りの一冊になりました^^

    DVDになったら観たいなぁ♪

  • さらりとあたたかい。

  • ふわふわと絶妙なゆるっと感。
    何だか最後は全部こんなに丸く収まるの?って思わなくもなかったけれど、ちいさな心臓がもっと悪意を見せるようなありがちな展開ではなく。やさしい空気が始終流れていたように思う。
    ざわざわした自然の生命感とか、冬の静けさとか、夏の満ち満ちたあおい匂いとか、かわいた埃が光を受けてきらきらする様とか、きいろいゾウのあたたかな残滓とか、子供の頃感じられた諸々を言葉にするとこんな感じだったのかなと思えるような。
    やさしいはなしだ。

  • 半分まではスローライフの心穏やかなストーリーで、半ばから、引きずり込まれるような不安感に襲われる。主人公が感じている恐怖に共感して、早く抜けたくて、読み進めざるをえない。ああ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「主人公が感じている恐怖に共感して、」
      女の子って、そう言うところあるよなぁって思いながら読みました。。。
      西加奈子って、確信を付く作家なん...
      「主人公が感じている恐怖に共感して、」
      女の子って、そう言うところあるよなぁって思いながら読みました。。。
      西加奈子って、確信を付く作家なんだ、、、
      2013/03/02
  • 「家族の話」という紹介をみて手に取った本。

    「きいろいゾウ」という絵本を主軸にした話。
    全体が絵本のような印象。

    同じ作者の本をもう1編は読んでみようとは、思いました。

  • ツマさんとムコさんのお互いを想う気持ちが とてもいいと思った。
    違う人間同士だもの。
    お互いに 努力し、想い合い、いたわりあう気持ちがないと、夫婦生活って いつか破綻してしまう。
    不器用だけど 素直にそれを手探りで続けている二人が とても好きだなと思った。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「不器用だけど 素直にそれを手探りで」
      とっても切ない話だったけど、優しさはジンワリ滲み出てましたね。。。
      「不器用だけど 素直にそれを手探りで」
      とっても切ない話だったけど、優しさはジンワリ滲み出てましたね。。。
      2013/05/20
    • しおちゃんさん
      (゚ー゚)(。_。)ウンウン
      (゚ー゚)(。_。)ウンウン
      2019/10/21
  • 途中まで、日常はいつも少しずつくずれてゆく、そう思って読んでた。
    でも、くずれても戻ったりするもんだ。そして、そうやって戻ったものは前のものよりすごく強いんだ、と読後に思い出した。

  • ムコさんとツマの互いを愛おしく想う気持ち。そして、周囲の人もまた、互いに愛し労わりあいながら生きている。
    『大人になることは、自分が好きな人と生きていけること。』
    表現は不器用かもしれないけれど、好きである気持ちは自信を持ちたい。そして、相手に伝わることを怠らないようにしたい。
    暖かいキモチになれる1冊。

  • 半分までは、日だまりにいるみたいな、ほのぼのしたファンタジー。
    宮崎あおいちゃん演じる“ツマ”さんが、素直で不思議で可愛いくて、向井くん演じる“ムコ”さんが優しくて、日記には的確で冷静なツッコミがあったりして。そんな2人がほほえましく、癒やされながら読んでいた。
    でも話が後半に入って、急に重く苦しい感じに。
    ツマさんの不思議な力と、ムコさんの秘密が、想い合っているのにすれ違ってしまうようになった2人にはとても重くて、読んでいるのがつらかった。
    最後、引力に引っ張られるようなラストは、安堵感でいっぱいだった。
    素敵な2人の素敵なお話だった。映画も見たい。

  • やっぱり私はこういう話が好きみたい。

    祝映画化!!


  • 夫婦の出逢いって奇跡なのか、はたまた必然なのかまたもや考えさせられる作品であった。
    何はともあれ、最後は2人が離れることがなくてほっとした。

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

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