神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001500

感想・レビュー・書評

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  • 心がざわざわして死に近くなっていたような時に先生から教えてもらい、初めてちゃんと読んだ村上春樹の本。

  • 押し付けがましくなくて好き

  • 阪神淡路大震災が起きた1995年1月、地震が起きた場所とは、全く違うそれぞれの場所で震災を経験した人たちを描いた短編6本が収録されている。

    震災のニュースを見た妻が実家に帰ってしまった男は、友人に頼まれて小包を釧路へと運ぶ。家出した少女は、茨城の町で知り合った関西弁の中年の男と焚き火をして過ごす。新興宗教の信者である母を持った青年は、神様だと教わった父の姿を追って、自分が神の子であることを自覚する。アメリカから日本に帰国することを決めた女医は、タイで夢のお告げを受ける。かえるくんと出会った男は、東京に地震を起こそうとするみみずくんを倒すため、夢の中でかえるくんを助ける。

    印象深かったのは、6本目の「蜂蜜パイ」だった。
    物語は、小説家である「順平」が、友人の「高槻」に代わって、「小夜子」と結婚することを決意するまでを描く。「小夜子」の娘「沙羅」は、阪神淡路大震災のニュース映像を見て以来、「地震男」が自分を箱に詰めようとしてくるという想像に恐れるようになってしまう。「順平」は、彼女ために熊のまさきちととんちきの物語を創作して話してあげるが、彼の作る物語は、いつも悲しい結末に至ってしまう。
    「順平」は、自分の人生観が、子どもに対して語る物語の中に表れて、それを言葉にしていくうちに考えさせられていく。

  • 本編に通ずる地震とはなにを表しているのだろう

  • 1日で一気読み。すらすら読めました。阪神淡路大震災がどの物語にも背景として描かれる短編集です。地震という突発的な災害にふとした気づきや教訓教示みたいなものが春樹さんにあったのでしょうか。でも、それほどには地震そのものには深く触れられていません。
     いくつかの物語の中ではタイランドが一番良かった。
     “石をかかえて生きている” それは心の重荷のことなのか?ずっとこだわり続けている過去に起こったうらみつらみごとに束縛され生き苦しくなっているということなのだろうか。
     蜂蜜パイがその次。高槻という友人はほかの小説にも出てくる村上節(ぶし)のような気もした。
     「ノルウェイの森」はこの本よりもずっと前に書かれたものというのが少し意外な気もする。村上ワールドというやつですか。よく意味の分からないところがありました。そういうところは深く考えずに読み進みました。

  • コレはイマイチピンとこなかったなぁ…

  • とても好きな作品になった。
    どの話も一貫して阪神・淡路大震災の後の人々について書かれたものだった。
    特にタイランドが好きだ。主人公の生活ぶりや物事に対する考え方や解決法が魅力的で、こんな女性になりたいと思った。村上春樹が書く女性はどこかしらに深い闇を抱えている。だからこそこんなにも魅力的に見えるのだろうか。
    蜂蜜パイは想像していたよりずっといい終わり方でよかった。こんなおわり方をするのは今まで村上春樹作品を読んできた中で初めてだった。
    私が小夜子たちの関係を側から見ていると、奇妙な3人だなと思うだろう。
    私も高橋に備わっている正しい友人を見つける能力が欲しい。

  • この短編集が好きで何度も繰り返して読んでいる。
    「かえるくん、東京を救う」で、かえるくんが「最高の善なる悟性とは、恐怖を持たぬことです」(165ページ)と言ってて「悟性」って何だろうと疑問に思った。調べてみたけど、難しくてかえってわからなくなってしまった。「蜂蜜パイ」よりも他の5編の方が好き。もやもやざわざわする感じを引きずる感じが好き。

    「悟性」はもとは禅用語。「最高の善なる理解力は、恐怖を持たないこと」。「最高の悟りを得るためには、恐怖を持たないこと」。「最高のパフォーマンスを繰り出すためには、恐怖をもたないこと」ってこと?

  • 面白かった。村上春樹はよく長編を連作にして上梓しがちだが、こういう短編集も綺麗にまとまっていて良いと思った。文章の空気感、曖昧だが確かな形容、やはり村上春樹の書く文章は美しい。特に好きだったのは、『かえるくん、東京を救う』と『蜂蜜パイ』。

  • 東日本大震災のあった3月ということもあり、地震に関連したこの短編集を読み直してみた。最初に読んだ時は、本書辺りで変質していった著者の小説に戸惑った記憶があるが、今読むとすんなりと受け入れられた。「蜂蜜パイ」は素晴らしいし、「アイロンのある風景」や「タイランド」もいい。
    自分のなかの、あるいは他人の、喪失(過失)や欠落(不可能性)にきちんと向き合うという行為は、勇気と忍耐のいることだと思う。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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