- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101001500
感想・レビュー・書評
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通勤電車の中で読破完了。
阪神淡路大震災を絡めた6つの短編集。
各短編とも村上春樹らしさというか、
独特の世界観というかが出ていたと思う。
最後の短編(蜂蜜パイ)だけは
そこまで「らしさ」を感じられなかったのだが
その短編が一番今の自分にはぐっとくるものがあった。
あるきっかけで、
人は変わり、
人は前に進むのだと感じた。
かつての自分のように。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
阪神大震災、オウム真理教の一連の事件等を通じ、
我々日本人は心の奥底にあった、なにやら正体不明の漠然とした不安と向き合わなければならなくなりました。
小説内の6つの短編はいずれも、阪神大震災とは直接関係のない人物や土地の物語であり、その設定が「正体不明の不安」であり、かつ「確かにそこにある不安」を顕著にさせているようです。
その不安は小説の中で解決はされません。再生されることなく各短編の各々の主人公達は現実に晒され続けています。
「それでも生きていく」
そんな現実に晒されています。
だけど、最後の「蜂蜜パイ」では、そんな現実に対抗?(上手い言葉がわかりません)するヒントというか光明が示されているようで、救われる気分がしました。
「それでも(みんなで)生きていく」
正体不明の不安の中にも、正体不明の安心があるんだと思います。 -
村上春樹の阪神大震災をテーマにした短編集。
直接被災した人は出てこず、どこか別の場所で、新聞やテレビなどからのニュースで間接的に影響を受けた人たちを描いていく。
「カエルくん東京を救う」「蜂蜜パイ」あと焚き火する話が印象深かった。
やっぱりハルキは面白いなあ。 -
地震のあと、読み返したくなって少しずつ読みました。
「蜂蜜パイ」であったかくなりました。 -
私は表題作よりも、断然「アイロンのある風景」がいいと思った。けれど、なぜか「かえるくん、東京を救う」を読んでいて、ものすごく泣いてしまった。
「片桐さん、実際に闘う役は僕が引き受けます。でもぼく一人では闘えません。ここが肝心なところです。ぼくにはあなたの勇気と正義が必要なんです。あなたがぼくのうしろにいて、『かえるくん、がんばれ。大丈夫だ。君は勝てる。君は正しい』と声をかけてくれることが必要なんです」
この言葉は、私に滂沱の涙を引き起こした。私はとても悲しくなった。真理をつきつけられたような気がした。ガラスの小箱を託されたような気がした。
私はダメだ……こういう、「完全に信じているもの」にものすごく、打たれてしまうのだ。それが全くあり得ないものだからこそ、それが純潔であり、かつ自分の持ちうる最高の真実だからこそ、涙が止まらなくなるのだ。
誰も知らないし、誰にも知られることのない真実だからこそ、その穢れなさを誰かが……絶対にいない「誰か」がそっと「でも、僕はそんな君の努力を知っているよ」と言ってくれることに、涙が止まらなくなってしまうのである。そんなことはありえないから。
そんなことはありえないから……だって、その真実は私の中にしかないのだもの。 -
僕と君とは友だちでいるべきなんだ。どちらかだけが与え、どちらかだけが与えられるというのは、本当の友だちのあり方ではない。
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(レビュー・感想というか、読むに至った経緯)
村上春樹作品。何を読もうかと考えた結果、かえるの表紙があまりにも素敵なので読む事にした。
震災をきっかけとして、主人公たちがその以前から抱えていた"廃墟"と対峙する話が集まってできた本。
個人的には「蜂蜜パイ」が良かった。 -
地震。熊。アイロン。蛙。夢。
どの短篇も面白かったが、好みはカエルくんよりは蜂蜜パイとタイランド。村上春樹の魅力は自分の言葉で説明するのがすごく難しいが、つい何度も読み返したくなる。 -
最後の短編を読み終えた瞬間、涙が出た。執拗なまでの固有名詞、あまりにわかりやすいストーリー、短編としてはあまり出来が良いとは言えないかもしれない、でもあの短編が最後に来たことで、1Q84の率直なラブストーリーを受け入れられなかった自分が、すこしだけ納得したのを感じた。わたしはもう、ただ作品を受け取るだけの読者ではない。こんなにも、影響を受け、その作品をすべて読んで傾倒してきた村上春樹という作家のその在り方と変容を、ただ見て行きたい。願わくば何かしら受け取り続けることのできる自分であるように。
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短編集。阪神淡路大震災後に書かれたようで、「地震」という言葉がキーワードになっている。311もあったので 色々考える。直接被害がなくても 自然の猛威っオラっ! みたいなのを目の当たりにして 色んな人のネジがすこしずつ 気がつかないくらいずれてたりして 結局気づいた時には 人生おおきく変わっちゃう。地震のことに関わらず 人生そういうものなのかしら。