羅生門・鼻 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101025018

感想・レビュー・書評

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  • 本を読んだのはずっと昔。
    今回は、シアターコクーンにて、百鬼オペラ羅生門の舞台を観ての記録。

    羅生門、藪の中、鼻、蜘蛛の糸などの短編を元に、音楽とダンスを織り混ぜながら、幻想的な舞台を作り上げている。
    藪の中のストーリーに象徴されるように、何が真実で何が幻なのか、頭の中に靄がかかり、その状態が心地よい。なるほど、こういう舞台もあるのか。
    柄本佑はやや硬いが、満島ひかりは適役。音楽のソプラノ、微妙な音のぶら下がりが気になった。

  • 芥川龍之介の著書の中でも特に有名な作品である『羅生門』・『鼻』のほかに、『芋粥』『好色』といった8編が収録されています。『羅生門』は、荒れ果てた羅生門やその登場人物、文章など総じて見事に暗い内容となっており、物語の後の行方も気になるような作品です。『鼻』は、長い鼻をもつ僧侶がどうにかして短くしようと全力で頑張る姿をユーモラスに描き、夏目漱石にも絶賛された内容(『漱石書簡集』(岩波書店刊)より)となっています。
    (土木・環境工学系土木工学コース M1)

  • 作者 明治25年(1892年)3月1日生まれ
       昭和2年(1927年)7月 ヴェロナール及びジャールの致死量 自殺

    王朝物 平安時代に材料を得た歴史小説

    羅生門
     作者はさっき、「下人が雨やみを待っていた」と書いた。

     下人の行方は、誰も知らない。


     禅智内供の鼻と云えば、池の尾で知らない者はない。

    芋粥
     元慶の末か、仁和の始にあった話であろう。

    「敦賀と申すと、あの越前の敦賀でござるかな。あの越前の―」



    袈裟と盛遠

    邪宗門
     魔利の教 魔利信乃法師 …(未完)

    好色
     平中(へいちゅう)

    俊寛

  • 羅生門、鼻などを収めた短篇集。
    短篇集なので、比較的読みやすい。

    芥川龍之介の文章は、論説文のようなロジカルな要素もはらんでいるため、とても整然としていて解りやすい。
    谷崎潤一郎が、いい文章とは分かりやすくて覚えてもらえるような文章だと言っていたが、芥川はそれを実践していた文筆家の一人だと思う。
    純文学の中で読むべき作家の一人であることは、疑いのないところであろう。

    羅生門と鼻は、表題になっているだけあって面白かった。
    特に鼻が、個人的には楽しめた。

  • 老婆の言い訳から己のこれから為そうということにある勇気を見出し、
    あっけなくそれを成し遂げてしまう様は、人間の強さなのか弱さなのか。
    言いようのない気持ちになるが、共感できるのが面白い。

  • 久しぶりだったけどよかった◎(オーディブル)

  • 久々の芥川龍之介の再読。大河ドラマ(光君へ)で関心を集めている平安時代初期の時代背景に注目。近代小説家(自然派と言われた人々)の有名人の一人である芥川龍之介の作品から王朝物文学の傑作を読む。良く勉強しているのにはただただ驚くばかり。

  • この期に及んで何故か芥川に立ち返ってみた、私も幼い頃自堕落な生活からドラマを産んで小説家になって20代で世間を騒がすような狂言自殺をすることに憧れた時期があって、この時代の小説を読んでいると本当に死ぬことに興味が湧いてきちゃう。人間のエゴイズムをここまで描き切ったのは日本で初めてなんじゃないかなあ。生きるための悪に、生命力と美しさを感じる瞬間すらある。私が死んだら全然髪の毛抜いてカツラ作っていいよ!!ブリーチ毛だけど。

  • 邪宗門が好きです。つづきが気になります。

  • 感想としては、全体的に、リアリストかつ悲観的な方だったのかなというイメージを受けた。

    知性は極めて高く、古典を原案ととる作品が多く、読書量がうかがわれる。
    残っている所謂娯楽や芸術を目的とした近代文学の最初に近い世代なので、参考とする作品が、後の文豪より少なかったと思われる。この本に関しては、今昔物語が最も多い。

    同じ文豪と呼ばれる谷崎、太宰、川端と異なり、純粋な娯楽というより、何らかの教訓を含んだ話が多い。夏目漱石より若いが、材料を古典にとっているので、さらに古典な香りがする。

    愛妻に対する手紙を読んだことがあったので、
    暗い?イメージはなかったのだけれど、なんというか
    覗いては不幸になるだけの自分の中の深淵を覗くような作品が多い。

    面白いと、単純にはいえない。

    羅生門は、人が生命の危機に面して、生きるために道徳を捨てるのかという主題。(改作前は、捨てると分かる内容。改作後らしい今著書では、どちらともとりにくい締めの一文となっている。

    鼻は、これも意地悪だ。意地悪すぎて、ちょっと私には思ったことない感情だった。単純なのかも。
    目に見える障害?がある間は、人は哀れむが、それが解消されると、その人の不幸をどことなく願ってしまうという嫌な話。夏目漱石は絶賛したらしい。

    芋粥は、気持ちがよく分かる!
    好きなものも食べ過ぎるとという話。
    私も子供の頃、ハンバーガーを注文せず、ポテトだけをお腹いっぱいになるまで食べたいと思っていた。
    でも、バランスが悪いと許されず、したことがなかった。
    それが、フランスのシャモ二を旅行中、ムール貝のポテト添えを注文したら、ビックリする量の鍋いっぱいのそれが届いた。納得(満足ではない)して、それ以降は、確かにポテトでお腹を満たしたいという気持ちは、嘘のように消え失せた。引用もあり、それだけの気持ちではないが、この作品集の中で、一番わかりやすい。

    運。
    これも意地悪だ。悪いスタートがあっても、最終的にお金持ちになった逸話を聞いて、それでいいと観音様にお参りに行くことを決める話。逸話を話した茶屋のじいさんは、お金より、まっとうな幸せがいい派で、不賛成だった。

    袈裟と盛遠
    出店元では、貞女という設定らしい袈裟を、実は計算高い女ではないかという疑いから描かれた話。
    袈裟と盛遠側の両側から語られる。
    サスペンス仕立てになっていて、うまい。

    邪宗門
    解説によると、苦手な長編にトライしようとして、面白くなってきたところで、まとめきれないと断念した作品とのこと。
    天罰の力を弄ぶ神父と、仏教の戦いの様な感じ。
    前半は神父優位で、なんとなく、キリスト教非共感の私からは不愉快で、おっ、逆襲の開始か?と思われたところで、終わり。。。

    好色
    これは、汚い。
    好みではない。
    好きな人のどこまで、受け入れられるかという話だけど、精神的なつながりを意味しない。

    俊寛
    あの悲劇の俊寛が流行ったらしい。
    倉田百三の書いた、今の文楽の俊寛と同じ恨み節。菊池寛が書いたらしい、実は幸せだった説。
    それに触発されて書いたとの内容。
    有王を語り手として進む。菊池寛よりかな?

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著者プロフィール

1892年(明治25)3月1日東京生れ。日本の小説家。東京帝大大学中から創作を始める。作品の多くは短編小説である。『芋粥』『藪の中』『地獄変』など古典から題材を取ったものが多い。また、『蜘蛛の糸』『杜子春』など児童向け作品も書いている。1927年(昭和2)7月24日没。

「2021年 『芥川龍之介大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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