羅生門・鼻 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101025018

感想・レビュー・書評

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  • 平家物語で、俊寛の喜界島流刑の場面を読み、同じ題材を芥川龍之介はどう書いたのか興味があって読んでみた。

    三人中、俊寛一人だけ恩赦が得られず発狂するのが平家物語での描写だが、芥川龍之介は、達観した俊寛を描いている。世界に囚われているのは皆同じ、という論法は、芥川自身の人生観だろうか。

  • 羅生門、鼻など芥川龍之介の王朝物8編を収録。その中の1編、邪宗門は80ページほどあり、かつ未完である。注釈が約50ページあり。名作なんだろうが、面白いかと言われたら、イマイチですね。

  • 小学校だったか、中学校だったか、
    国語の授業で羅生門を習ったなぁという記憶があったが、
    会社の方がお持ちだったので、一通り読んでみた。

    大人になって読んでみると、子供の頃に描いていた想像とは
    また違う世界が。

    邪宗門が個人的には一番面白いと思ったが、まさかの未完(^^;
    先が気になるのに・・・。

  • 素晴らしいとしか言いようがない。すっかりファンになってしまった。全作品を読破したい。

  • 新潮文庫の芥川龍之介短編集その1。『羅生門』『鼻』『芋粥』『運』『袈裟と盛遠』『邪宗門』『好色』『俊寛』の8編を収録。

    芥川龍之介は国語の教科書に載っていた『羅生門』と『鼻』のみ読んだことがありました。(鼻は載ってたか記憶が曖昧だけど、読む理由が他に見当たらない)
    ちゃんと読みたかった理由は、黒澤明の『羅生門』がヴェネツィアで受賞した理由を考えたことと、遠藤周作がキリスト教ものとしての芥川作品について書いていたため。

    読んでみた結果、「芥川龍之介ってホラー作家だったのか!!」と驚きました。

    例えるなら『世にも奇妙な物語』とかスティーヴンキングとか、あるいは今で言うイヤミスってやつに近いと思う。不条理な話や、後味があまり良くない、余韻を残す話が多い。黒沢清みたいな。(よくわからんやつを黒沢清フォルダについ分類してしまう悪いクセ)

    不条理な話というのはつまり教訓的な話ではない、話が丸く収まってめでたしめでたしではない、ということです。これは実際の人間がそもそも不条理だから、よりリアルになる。
    もうひとつ特徴としては、人間の心理描写が細かい点が挙げられると思います。『羅生門』なんて善悪の彼岸とか善悪の相対化の話だもんね。

    『鼻』は若い時には気づかなかったけど、これってどう考えても陰茎の、男根の…オティンティンの話なんじゃないでしょうか。そして実際に芥川龍之介は巨根だったそうで。もうちょい拡大解釈するなら、性欲の話としても良い。ありすぎれば性欲をもてあますし(CV大塚明夫)、なさすぎても困る。まあ普通に読むなら自意識の話ですけど。
    芥川龍之介って、日本人離れしたイケメンだし学も文才もあるし巨根だしで、天は一物も二物も与えるという例。

    この中で一番面白かったのは『邪宗門』で、最近の韓国映画の『哭声』なんかに近いと思う。あとなんだろ、『陰陽師』とか『帝都物語』とかあれ系の、いややはり『哭声』かな。
    話がクライマックスになってさあいよいよこれから!って時に〈未完〉。あー風呂敷広げすぎたんだなってなんとなくわかる。でも面白いです。

    『俊寛』は『インタビューウィズバンパイア』いや『小さな巨人』的な、「後世にはこう伝わってるけど本当はこうなんですよ」って話。

    のちに谷崎潤一郎と論争をするけど、芥川龍之介はストーリーがまとまるとかそういう作家ではないよなと思う。とにかく描写。
    話してて「で、オチは?」って訊いてくる奴たまにいてめっちゃイラッとしますよね。「オチなんてねえよ!」って思うんだけど、そういうタイプの作家だと思う。

    お話自体はどれも好きだけど、読点が多すぎて文章のリズムが今と違っていて、最初の方は読み辛かったです。

  • 「邪宗門」
    素敵な若殿様と美しいお姫様の恋物語かと思っていたら、あやしい宗教を広めようとする奇妙な男が出てきて、あやしい宗教対仏教の話が主になる。
    みんな奇妙な男を恐れ抵抗しないが老僧が戦いを挑む。しかしあっさりと負けてしまい、えー、と思っていたところに、われらの若殿様が、奇妙な男の対戦相手として名乗りを上げる。
    そして、若殿様があの男をどうやってやっつけてくれるのだろう、その後どうなるのだろう…、というところでなんと(未完)と書いてある。
    つまりこの作品は途中で終わってしまう(涙)。一番のお気に入りでした。

  • 現代の小説とはやはり一線を画す作品。
    知らない言葉がたくさんあるからこそ注釈を確認しながら読み進めるのだが、それがまたいい。
    星新一が好きな私にとってはこのショートショートが飽きずに読めてまたよかった。中学生の時以来に羅生門を読み直したが、やはり当時でも引き込まれた面白さは変わらない。鼻も芋粥ももっと早く読んでたらなぁ。中でも邪宗門は続きが読みたかった。

  • 「好色」が衝撃的
    それだけでも読む価値あり。

    世に出た当時は先鋭的な小説だったのでしょうが、
    全体的に私にはあまりフィットしませんでした。。
    読解力が足りないのかな。。。

  • 総国課題↓

    この作品は、禅智内供が持つコンプレックスの話を通して、人間のエゴイズムについて描かれている話だと思った。「芋粥」同様、登場人物の願いは叶うものの、いざ叶ったあとには思わぬ弊害が生じ当人が心を悩ませている。その原因は、内供の周りが以前よりも嫌な笑い方をして彼の自尊心をさらに傷つけたからだが、こうなった理由として、私は内供の周りの人達の利己主義が作用していると考えた。はじめは、珍しく異質な鼻に対して、又その鼻をもつ内供の不幸を面白がっているが、内供が不幸を克服すると、逆に物足りなくなるという周囲の人の利己的な感情が描かれているからだ。最後に、「はればれとした気持ち」が戻ってきた内供は、自分の精神的なコンプレックスを乗り越えて、自己肯定ができるようになっていた。

  • 精緻な文書で語られる、今昔物語から引用したエピソード集。「羅生門」は黒沢監督の羅生門を見たのちなのであまりに違う内容に驚いた。
    また、なんといっても印象深いのは「好色」。作者の作品であり、優雅な文体でなければ吐き気をもようす内容でこちらも印象深い。また、「鼻」についてもあまりの展開に苦笑。その他どの作品にも味はあるが、この3作品のインパクトで印象が薄くなってしまいます。邪宗門はとても面白い人物設定と展開なだけに未完であることがとても悔やまれる。しかし、読んだ人がその先を夢想する楽しみはある。

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著者プロフィール

1892年(明治25)3月1日東京生れ。日本の小説家。東京帝大大学中から創作を始める。作品の多くは短編小説である。『芋粥』『藪の中』『地獄変』など古典から題材を取ったものが多い。また、『蜘蛛の糸』『杜子春』など児童向け作品も書いている。1927年(昭和2)7月24日没。

「2021年 『芥川龍之介大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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