歌行燈・高野聖 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101056012

感想・レビュー・書評

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  • さすがとしか言いようのない筆力。

    「歌行燈」は鏡花の芸能への知識の豊富さと、その知識を作品に散りばめる巧みさが際立つ一作です。
    プロットが些か複雑ですが、「草迷宮」よりはましかと。

    「高野聖」は言うまでもなく、傑作。森のシーンの迫力ある描写が個人的に好きです。謎を残したまま寸断されたように終わるところも乙ですね。

  • 2011年2月博多座坂東玉三郎特別公演『高野聖』を観て以来、鏡花を読みたくて。
    とにかく芥川が好きで好きでたまらず、学生時代も芥川一色で、鏡花をちゃんと読んだことがなかった私。
    中村獅童の演じる高野聖の素晴らしかったこと、玉三郎演じる女の妖艶さ、今も忘れられず夢のような時間。

  • 同じ日本語とは思えません。
    本文がルビだらけである(笑)
    っていうか、「古典の授業か!」と言いたくなるくらい、一つ一つ文を読んで味わうのに苦労する。
    文句を垂れつつも、面白いので本から手が離せないのも事実。

    泉鏡花先生の豊かな語彙力や、独特の旋律にはひたすら感服。
    個人的に「高野聖」が一番好きです。
    おどろおどろしいような、幻想的な、“よくわからない”雰囲気が何とも言えない。
    「売色鴨南蛮」も素敵。

    その一方で、読み進めようとは思うのだけれども、1ページ1ページを消化・吸収するのが大変で、進まないのも事実。
    好き・嫌いが分かれますね。

  • きれいな文章だけど、これまたちと読みにくい。川端ほどじゃないけど。平安期の古文直訳みたいな文体だな〜。
    女の描写がうつくしい。
    売色鴨南蛮が良かった。艶やかで哀しい話。
    お化けの出てこない話を集めてみたって言ってましたが、それでもお化け話二つ混入してるのに笑った。

  • これ以上見事な物語の終わりを知らない。

  • 特徴的でありながら美しい文章が織り成す、現実感の希薄な幻想的物語。
    星が四つなのは私の理解がその素晴らしい世界観に追い付けないからです。
    再読する時には読解力を上げていたいものです。

  • 鏡花先生の文は今の私にとって、まだ理解しがたいですが、今度はただその格別な趣を覗き、些かなイメージをとってみました。 それにしても途中にすごく感動していました。 その女に対する美しく侘しい世界の描写、ユーモアの会話、生き生きと読者をその書かれた場に素早く深く連れていき、そこで色んな謎の様な体験を歴々と味わわせて、とても面白いです。 これからもまた読み返し、新しいコメントを作り上げたいですもの。

  • 読むのに超時間かかった…! これは現代文じゃなくてほとんど古典だよ! 訳文で読めばよかった…!
    妖しすぎてひき込まれます。山奥に足を進めていく描写も妖しいけれど、山奥に住む女が妖しすぎて怖いよ。
    歌行灯が、思っていたよりずっと面白かった。というより、悲しくて心に残った。

  • 美しさの中に潜むグロテスク。
    マザコン文学と言われようが鏡花が好きです。
    「歌行燈」のラストのどんでん返しはもうミステリの謎解きも真っ青です。

  • 三年前挫折したこの本に今なら立ち向かえる!多分。と意気込んで読んでみました。高野聖に蛭の大変グロ気持ち悪いシーンがあるのを忘れていて心の中で阿鼻叫喚しながら読んでおりました。いやー面白かった、のはいいんだけど本当に読みづらいったらないよ!今は一体何の話をしていて、誰が主語で何が目的語なのかわかりゃしないとです。事典の校外読んで初めて理解したぜというのも、実はあったり……先生もやっぱり読みにくいだろうねえと仰ったし。しかしそれに目をつぶれば何という幻想世界。男女の恋愛もきゅんとくる。儚いほどに美しい世界を作った鏡花はやっぱすげいなあと思うのです。

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著者プロフィール

1873(明治6)年〜1939(昭和14)年)、小説家。石川県金沢市下新町出身。
15歳のとき、尾崎紅葉『二人比丘尼色懺悔』に衝撃を受け、17歳で師事。
1893年、京都日出新聞にてデビュー作『冠弥左衛門』を連載。
1894年、父が逝去したことで経済的援助がなくなり、文筆一本で生計を立てる決意をし、『予備兵』『義血侠血』などを執筆。1895年に『夜行巡査』と『外科室』を発表。
脚気を患いながらも精力的に執筆を続け、小説『高野聖』(1900年)、『草迷宮』(1908年)、『由縁の女』(1919年)や戯曲『夜叉ヶ池』(1913年)、『天守物語』(1917年)など、数々の名作を残す。1939年9月、癌性肺腫瘍のため逝去。

「2023年 『処方秘箋  泉 鏡花 幻妖美譚傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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