予定日はジミー・ペイジ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.89
  • (116)
  • (158)
  • (121)
  • (15)
  • (4)
本棚登録 : 1147
感想 : 179
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101058276

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 不妊治療中だが読み終えた。
    主人公は排卵検査薬の2周期目で妊娠。妊娠中もなんの問題もなく経過。

  • 流石サスガの角田光代。素晴らしい。素晴らしく良い。いやもう、何度でも言いますが言えますが、これは、凄く良いです。「読んでよかった!」って、何の留保も衒いもなく言う事が出来る本というのは、素敵ですよ。そんな本に出会うことができるのは、素敵なことですよ。何度でも言います。コレは、とても素晴らしい本です。

    赤ちゃんができた夫婦の、妻寄りの内容の日記体裁の小説、という感じなのですが、うーむ。ばりリアル。最初は、まあ、王道の誤解だと思うのですが、角田さんの実体験だと思って読んでました。つまり、小説というより、エッセイ寄りの小説、私小説、みたいなもんだと思って読んでましたね。ええ。

    全部創作かい、っていうね。こんなにとんでもなくリアル(に俺にとっては感じられた作品)なのに。それは即ち、角田光代さんの創造する世界は、俺にとっては、とても「他人事とは思えない」から、なのだろうか。

    「ああ、、、そうだよなあ、、、あんたの気持ち、、、マジ分かるよ、俺。それは『わかった!という錯覚』なだけなのかもしれないけれど、でもマジであんたの気持ちわかるよ、って思う俺の気持ちは俺にとっては真実なんだよ」

    って感じ。ちょー回りくどいですね。でも、そういう感じなんだよ。

    ちなみに、俺は勝手に、

    角田光代の感覚 ≒ チバユウスケの感覚

    説を提唱している次第です。「≒」は「ニアリーイコール」ってヤツですね。「いっしょ」ではなく「ほぼいっしょ」って記号です。

    初期作品に漂う、圧倒的な寄る辺なさ、ひねくれさ加減、斜に構えた感じ、いたたまれない感じ、てやんでえべらぼうめえな感じ。

    そこからの、

    中期~現在?に至る作品に感じる。圧倒的な強さ、明るさ、一周回ったヘンなてやんでえべらぼうめえ感、正しく成長している感をヒシヒシ感じさせてくれる感じ。

    そこらへんが、あくまでも個人的には、角田さんとチバさんの創造物に通じる共通点、だと、勝手に感じている次第です。

    まずもって全然この作品の解説になっていないのですが、もうね。言いたいんですよこの事が。

    角田光代 ≒ チバユウスケ

    説。誰かこの説を共感してもらえる人と、一晩でも語り明かしたい感じ。

    ま、んで、この作品のどこが素晴らしいか、というと、、、うーむ。とりあえず、読んでください。という、超投げやりな結論です。だってもう。凄く良いんだもの。読んだら分かるよ。って感じなんだもの。本当にイインダヨ。この作品は。

    ちなみに、あとがき、も、めちゃくちゃ良いです。あとがきで判明する、「まずこの小説は最終章が短編?としてあって、そっから逆算で最初から話を作っていって長編小説になった」ってネタばらしとか、もう最高です。あと、角田さんの「作家の書く実体験風の話はわたしは基本てんで実体験だと信用しない」みたいな論とかマジ最高。

    当然ながら本編は最高。いやもうホンマに素晴らしい本です。

    あ、そうそう、角田さんご本人の描き下ろしの絵(イラスト?)も、ちょこちょこ収録されています。角田さんと、イラストレーターの唐仁原教久(とうじんばらのりひさ)さんの共作?というところでしょうか?

    このイラストが、バリ良い。不思議な哀しさと孤独と優しさがある。ように感じられる。角田さんのこの感性が、やっぱ好きですね。小説内で、主人公のマキが、ネット上で妊婦同志の「きのうちつやこ」さんのホームページを見つけて、そこにアップされていた「きのうちつやこ」さんの撮影した写真に「なんということはない写真なのだけれど、不思議なさみしさがある」という評が、まさに俺が角田さんのイラストに対して感じた思いと ≒ なのよね。うーむ。素敵。

    あと、夫の「さんちゃん」と、妻の「マキ」の関係性も、マジ最高。こんな夫婦、最高です。「さんちゃん」の頼りなさそうで頼れそうな所が最高です。こんな男になりたい。

  • 角田さんの描く女性像が本当に好きだ。
    今回の主人公マキも、予期せぬ妊娠による戸惑いから、次第におなかの中の子へ湧いていく「ただ無事に生まれてくれればいい」という愛情の変化を遂げていく心理描写が、自身の妊娠体験とも重なる。
    母親学級で知り合った、気の合わない妊婦に「うるせえ、うるせえ、うるせえ」と心の中で吐き捨てたり、無事出産できたらタバコを吸ってビールを飲みたい!と素直に言える「不良妊婦」なマキは、私そのものだ…。
    女性は妊娠したら、聖母マリアのような慈悲深い愛を持つ母親になるわけではない。出産の苦しみ、その後も続く乳児期のお世話を経て、時間をかけて子どもと一緒に「母親」になっていくのだから、世間が思い描くようなお花畑なマタニティライフでは決してないし、そう過ごせない自分に劣等感を感じることもないんだ、がんばらなくてもいいんだと思える、救われる一冊だった。

  • まずは自分は女性ではないので。と前置きし。
    出産へ向けての気持ちの変化がよくわかった気がします。
    最後は嫌いだった父も受け入れることができた。
    そこまで思わせる出産。
    やはり素晴らしいことですよね。

  • ぽか〜んと幸せ。

  • 常に流れ続けている時間が見えるようになる瞬間
    興味深いフレーズだった。

  • まだ子どもを授かった経験はないけれど、このご夫婦の様に、ふたりで過ごす最後の生活、3人になるこれからの生活も楽しめる様になりたいと思いました。

  • すごくいい夫婦だと思った。
    妊娠してみたくなる。
    角田さんの小説が好きだと改めて思った。

  • フィクションだけど、妊娠が発覚してからまた読んだ。

  • 2016.9読了。
    共感する。とにかく共感する。
    角田光代さんって本当にすごい。
    わかる!って思う部分が沢山。
    切ない部分もあるけれど、必ず温かい気持ちにもさせてくれる。
    本当に素敵な作家さん。

全179件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

角田光代の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×