一千一秒物語 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101086019

感想・レビュー・書評

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  • 一千一秒物語はお月様や流星を突き飛ばしたり突き飛ばされたり(笑。
    軽妙洒脱。ショートショートの元祖かぁ。なるほど、と。
    星を売る店が好き。
    うーん、全体通すとおもしろいと思ったのは美のはかなさの途中までかな。後半は論文的で眠くなりますよね…。
    A感覚とV感覚は会話としてはそこそこ。
    Yさんとのやり取りが良かったかも。
    内容はまぁ…、下ネタかよ!と突っ込むのは野暮なんですかね!
    前半の童話めいた部分は、やっぱりいろいろな幻想文学的な作家さんの原点になっているんだろうなぁと感じました。
    理化学に対する文学的な憧れの想い。

    ずっと探していて、もういっそAmazonのマーケットででも買おうかなと思った矢先に、又吉さん推薦特集で書店に並んで無事購入できたのでした。感謝!

  • 新潮文庫のフェアで購入。探せば家の何処かに改版前のがあったような記憶があるが……。
    初めて読んだのは中学生だか高校生だかそれぐらいだから、もう20年以上前になる。当時はぼんやりとしかイメージ出来なかったが、20年経って読むとかなりはっきりして来た。若い頃に好きだったものは、ふとした拍子に読み返したくなるものだ……。

  • 大学生の頃読んだ本が事務所にあったので、思わず再読。もう、この表題作が大好き。表題作以外はあまり…という感じなんだけれども。

  • 表現が綺麗だと思うところが沢山あって、詩を読んだいる気分になった。例えば、「弥勒」の中の「六月の夜の都会の空」という言葉や、「黄漠奇聞」に出てくるお城の描写。表現が豊かで、美しい風景が容易に目に浮かんだ。
    ただ、本全体で考えるとおおむねちんぷんかんぷん…後半は特に哲学的なお話が多くて、わたしが読むには難しかった。
    2014/10/30

  • ☑一千一秒物語
    ☑黄漠奇語
    ☑チョコレット
    ☑天体嗜好症
    ☑星を売る店
    ☑弥勒
    ☑彼等
    美のはかなさ
    ☑A感覚とV感覚
    解説 松村実

  • 類い稀なる作家
    表題作『一千一秒物語』は星と月と宇宙の物語。
    句読点はなく、一文字明けることで詩のような体裁になっている。
    お月様を食べてしまったり、流星と格闘してみたり、不思議な世界が広がっていく。
    一個の星のようなショートショートが集まって、遠くから見るとそれが銀河となっているように、広く、果てなく、物語という宇宙ができている。
    叙情的ながら一種のニヒリズムをも内包する、不思議な世界観だ。

    クラフト・エヴィング商會が実際にここからとって名づけたという『星を賣る店』。
    本書にはその元の『星を売る店』が載っている。
    個人的なイメージとしては、表題作の方がよりクラフト・エヴィング商會の世界観に近い気がする。

    黄漠奇聞は、砂の王国にまつわる昔語り。
    今は昔、星を疎かにする王がいた。
    そんなものと一笑に付した王と、その王国は......。
    優秀な人物をなくし、国を滅ぼし、辿り着いた先はどこだったか。
    絶望的な結末ではあるが、おとぎ話の持つ美しさが蜃気楼のように物語を覆い尽くし、悲惨さは無い。
    心動かされる物語だ。

    『A感覚とV感覚』
    一体これがどんな感覚なのか。
    考察を進めていくうちに全ての物事がこの二つに集約し、そして一元的になっていく様は思考に寄る壮大な実験、ゲームである。
    エロスを語れば語るほど、異なるもの同士が実は大変に近しいと知る。

    それにしても、この幻想的な世界観と現実の肉体感覚がうまくまじっている。
    この混合が巧みな稲垣は全くもって希有な作家である。

  • 一千一秒物語/黄漠奇聞/チョコレット/天体嗜好症/星を売る店/弥勒/彼等/美のはかなさ/A感覚とV感覚

  • 一千一秒物語には面白い話もあったが、その後の作品は、妄想を延々話すような内容で、途中で読書断念

  •  稲垣足穂、著。ショートショートのような詩的断片「一千一秒物語」の他、「黄漠奇聞」「チョコレット」「天体嗜好症」「星を売る店」「弥勒」「彼等」などの短編、「美のはかなさ」「A感覚とV感覚」の二つのエッセーを収録。
     非常に衝撃を受けた。まず、星や月に対するほとんど性欲のような嗜好を感じる。加えて何となく江戸川乱歩のような、大正時代あたりのロマンチックでモダンな空気が充満している。そして何より言語感覚が尋常ではない。特に表題作に顕著だが、目の焦点が合っていないような異様な文体だ。これは書こうと思って書けるものではないだろう。正直、著者の頭がおかしかったとしか思えない。
     その頭のおかしさの中身らしきものが後半のエッセーでは解説されているようだが、難解すぎて歯が立たなかった。この二作品を完璧に理解できる人は果たしているのだろうか。私がこれらを読んで感じたことはただ一つ、やはり本というものにはまだまだ理解不能・分析不可能な領域が存在している、ということだ。

  • 20140121

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著者プロフィール

稲垣足穂(1900・12・26~1977・10・25) 小説家。大阪市船場生まれ。幼少期に兵庫・明石に移り、神戸で育つ。関西学院中学部卒業後、上京。飛行家、画家を志すが、佐藤春夫の知己を得て小説作品を発表。1923年、『一千一秒物語』を著す。新感覚派の一人として迎えらたが、30年代以降は不遇を託つ。戦後、『弥勒』『ヰタ・マキニカリス』『A感覚とV感覚』などを発表し、注目を集める。50年に結婚、京都に移り、同人誌『作家』を主戦場に自作の改稿とエッセイを中心に旺盛に活動し始める。69年、『少年愛の美学』で第1回日本文学大賞受賞、『稲垣足穂大全』全6巻が刊行されるなど「タルホ・ブーム」が起こる。

「2020年 『稲垣足穂詩文集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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